第3章:気付かない人達
第3章
プリムは、ランドを町へと引きづってきた。
「まったく…いつまで倒れてんのよ!ランド!」ランドの方を振り向くと、どうやら引きずっていたのは、猪だったらしくランドの姿では無かったが、後ろの方でランドが歩いてきた。
何処でスリ変わったのかしら…。プリムは思った。
殴って倒れたのはランド。
森から入口までは、確かにランドの姿だった…。
入口から草原を通り、町の入口までもランドだった…。
町に入り1分も経って無いのに、いつの間にか猪にスリ変わってた。
本当に、不思議だ。
プリムは不思議がっていると、ソフィアが走ってきた。
「あっ!プリムさん!お兄ちゃんに何してんのよ!」プリムはまた猪の方を見ると、ランドに変わっていた。
猪はバタバタと走って逃げる姿が見れた。
何故だろう…。何故ランドはこんな面倒臭い事をするんだろう…。プリムは悩んだ。
悩んだ末に出た答えは、意味が分からないで良いや…となった。
そして、プリムはランドを離してため息をついた。
「ソ…ソフィア…お兄ちゃんはもぅ駄目だ…。後は、頼んだ!あの猪を捕まえてくれ!」と倒れながらもソフィアに頼む。
「うん!分かった!待ってて!」とソフィアが猪を追い掛けて行った。
「ねぇランド…何でこんな面倒な事をするの?」とプリムは聞いてみた。
「まぁ、気まぐれかな…」ランドは立ち上がり答えた。
「猪…どうするつもりだったの?」
「エイツリーの代わりになるかなって…茶色だし」と真面目に答える。
「なるわけ無いでしょ!」とプリムはパンチをするが、ランドは軽く避けた。
プリムは何と無く悔しかった。まぁ、当たる訳は無いのだが…。
「そう言えば、グランツ(以下省略)さんは何処に居るんだろう…」とプリムは辺りを見回した。
まぁ、いるハズは無いのだろうけど…。
グルっと見回すと、グランツ(以下省略)は白い犬と話していた。
「ソフィアちゃん。次は何処に行けば良いの?」と話しているようだ。
ランドが駆け寄って行った。間違いを指摘するんだろうと思い、プリムも近寄る。
「ソフィア!こんな所で獣人化を解いたら駄目だろ!」と白い犬に怒るランド。
「ランドさん!ソフィアちゃんは、悪気は無いの!だから、怒らないで!」とグランツ(以下省略)は止めた。
白い犬は、へっへっへっへっと舌を出している。
ちなみに、首輪もしている。
ただの白い犬なのに、気付かない2人にプリムは思った。
この2人、似たもの同士ね。まるで、ランドが2人居るみたい…。
そうしているウチに、ソフィアが猪を引きずって来た。
「あれ?どうしたんですか?2人とも、犬と遊んでたんですか?」と聞いてくる。
「それよりお兄ちゃん!猪を捕まえて来たよ!」と猪を前に放り投げた。
首が180°曲がっているが。
「あっグランツ(以下省略)さん!エイツリー見つけました!」とランドは元気に言った。
「うん…ちょっと似てるケド、違うかな。」とグラ(以下省略)は答える。
「大分違うでしょっ!」とプリムは頭の中でツッコむ。
「やっぱり、見つからなかったんですね…」とグラ(以下省略)は言った。
「う〜ん…なぁ、プリム。木に縛られてたのが外れたら、何処へ行く?」とランドは聞いた。
「誰かに拾われたんじゃないの?例えば狼とかに」
「狼!?いや、それは無いな。狼だったら、人間を見つけたら狩りをするかもしれない…」とランドは言った。
「狩り!あああ…エイツリー!死んでしまったのね」とグランツさんは泣き出した。
「じゃあ、ランドは誰に拾われたのよ!」とプリムは叫ぶ。
「俺は、ロクサス兄さんに拾われたんだよ」と普通に答えた。
ランドの後ろでソフィアがはっ!としていた。
どうやら気づいたらしい…。
「お兄ちゃん!お兄ちゃんが、人間に捨てられたのはいつ?スリッパさんも、子供を捨てたのはいつ?」と2人に訪ねた。
「16年前」
2人は声を揃えて答えた。
どうやらコレで、ソフィアは疑惑から確信になった様だ。
「もしかしてプリムさん…気付いてますか?」とソフィアはプリムに聞いた。
プリムは黙って頷く。
それを聞いていたのか、ランドも頷いた。
「あれ?お兄ちゃんも気づいてるの!?」とソフィアは驚いた。
「ああ…、さっきだが確信したんた」とランドは深刻な顔をしていた。
「ランド!やっと気づいてくれたのね!」とプリムは安心した。
「ああ!ここに居る白い犬はソフィアじゃ無いんだな!」
「そうよっ!」プリムとソフィアは声を揃えて叫んだ。
「あああ、お兄ちゃんって鈍感な上に、鈍くてオトボケで、もう最悪ね」とソフィアはガクッと肩を落とした。
「へへっまぁな!」とランドは照れ臭そうに答える。
「誉めてないわよっ!」ソフィアはダメダメな兄に怒った。
「話の腰を折って悪いんですけども…私、そろそろ国へ帰ります」とグ(以下省略)は言い出した。
「えええっ(以下省略)さん帰っちゃうんですか?」とソフィアは叫んだ。
「ええ、夫がそろそろ帰って来るんです」
「えっ?アクアランドの?ここから、3日かかるんじゃないの…」とプリムは呟いたが誰も聞いていない。
「早く帰って、夕飯を作らなきゃ!」
「大丈夫でしょ?間に合わないじゃん」と呟いた。誰も聞いていないが。
「ねぇねぇ!お兄ちゃん!せっかくだから、夕飯をご馳走になりましょうよ!猪も居る訳だし!」とソフィアがいきなり言い出した。
「本当ですか!?皆さん来てくれるんですか?一緒に行きましょうアクアランドへ…」とグ(以下省略)は言った。
3日かかるのよ?ランドだって3人も背負え無いでしょ?
しかし、ランドの反応はイマイチだった。
「アクアランドかぁ…どうしようかなぁ」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「アクアランドって言うと、腹から血を出して倒れてたって言う記憶しか無いんだよなぁ」といつになく真剣なランド。
「それよりもさぁ!どうやってアクアランドに行くのよ!」とプリムはランドを無視して言った。
「私とお兄ちゃんの背中に乗って行けば早いですよ!もちろん、プリムさんは私の背中ですけどね!」とソフィアは力を込めて言う。
「ねぇランド。お姫様ダッコでも良いわよ?」と軽く無視してランドに聞いた。
「ちょっと!無視しないでよ!プリムさんはコッチよ!」とソフィアは叫んだ。
「大丈夫よ。私、軽いから」とグ(以下省略)は言いながら、ソフィアの首に後ろから腕を回した。
「好き嫌いは駄目だよね?お兄ちゃん」とプリムはランドに聞いた。
「俺、アクアランドに行くって言ってないのに…」とランドは言うが、プリムは笑顔で拳を握った。
「よし!行こうかな!」とランドは獣人化を始めた。そして、プリムをダッコする。
人間に負けた狼…。
ソフィアもクソッ…とか思いながら、獣人化を解いた。
そして、アクアランドの旅が今!始まるのであった!
「着いたぁぁぁぁ」
ソフィアはバタッとその場に倒れた。
4人はアクアランドの一角の町に辿り着いた。
辺りは、もう夕方になっていた。
「ソフィア…大丈夫か?」とランドは聞いた。
「大丈夫…じゃないかも…お兄ちゃん、早すぎよ!普通の狼のスピードじゃ無いわ!」とハァハァ息を切らせながら言う。
「そうかなぁ…ソフィア、歩けない様だったら俺が担いで行ってやるよ」とランドは言う。
「うん!歩けない!走れない!無理!お姫様ダッコが良い!」とソフィアは急に元気になり、獣人化を始めた。
ランドは笑顔でソフィアの頭を撫でると、ソフィアを持ち上げようとした。
すると、一連を見ていたプリムがランドを押し退けて、担ごうとする。
「プリムさん!大丈夫ですよ!お兄ちゃんが、優しくダッコしてくれるから!」とプリムに言うがプリムは
「お兄ちゃん、走って疲れてるからワガママ言っちゃ駄目よ!」と言いソフィアを担ぐ。
「プリム…ありがとうな!」とランドは言うと、獣人化を解いた。
「皆さん…ありがとうございます!探してくれたのに、こうして送ってくれるとは!」と(以下省略)は言い出した。
「私の屋敷は、コチラにございます!」と案内を始めた(以下省略)。
3人は歩き出した。(と言っても、1人担がれているが)
この町の風景は、とても和やかに佇んでいた。
穏やかな空気。
ランドは少し、懐かしいような気分に浸っていた。初めてくる町なのだが。
「コチラです!」と言い案内された家を見ると豪邸だった。当たり前だが。
門の前には兵士が立っており、(以下省略)が歩いて行くと兵士が門を開けた。
ソフィアはプリムから逃れると、自分の足で歩き出した。
最初に(以下省略)が通り、プリムが通る。
2人が通ろうとすると、兵士が止めに入った。
「失礼ですが、この格好だといくらお客様でも、お通り出来ません」
と兵士が言ってくる。
ランド達は自分の格好を見た。
ランド…穴だらけの黒いシャツ(この穴は、カブトムシに刺された後に出来た)ボロボロの黒いスボン。血にまみれた、髪の毛(途中で獲物を捕った為)
ソフィア…白いボロボロの服に血がついてる。白いボロボロのスボン。所々に血のり(同上)
ランドの装備品:後ろ足だけの猪。(獲物と間違えて食べた)
明らかに怪しい2人。
「そうかなぁ…変な所、あるかなぁ」とランドは兵士に聞いた。
「気づかないんですか?」と兵士は逆に聞く。
「お兄ちゃんは異常だけど、私は…」とソフィアが言うが兵士は
「貴方も異常です!」
と答えた。
「まぁまぁ、じゃあ私が2人をお風呂に入れて、綺麗にするから許してあげて」と(以下省略)は言い出した。
「うん!お兄ちゃんと一緒なら入る!」とソフィアが答えた。
「ちょっと待って!ソフィア!恥ずかしいでしょ?男の人とお風呂って!」プリムが叫んだ。
「何でですか?だって、お兄ちゃん裸を見たり見られたり、興味0ですよ?狼だから」とソフィアは答えた。
ランドはポケッと立っている。本当に興味が無いようだ。
「大丈夫よ。ちゃんと、男と女で分かれてるから」と(以下省略)は言った。
「えぇー分かれてるんですか!良いですよ一緒で!」とソフィアが言う。
他人の家まで勝手に来てお風呂の文句まで言うメス狼。
「ふぅー良い湯だった…」とソフィアは、頭からバスタオルを被り出てきた。
「はぁースイマセンね…、お風呂のお湯…赤く染めちゃって」とランドもバスタオルを頭から被り出てきた。
どうやら、そのまま湯船に入った為に髪についていた血が溶けて、お湯を赤く染めたらしい。
先に体を洗うと言う常識は無いらしい。
2人がお風呂から出てくると、(以下省略)は夕飯の準備をしていた。
何故か、使用人はご飯の準備だけはしていない。
「もうすぐ、旦那が帰って来ますので、席に着いててください」と(以下省略)は言うので、3人は席に着いた。
「なぁ、旦那さんの名前って何だっけ?」とランドが聞いた。
「(以下省略)スリッパダベナヨさんでしょ?」とソフィアは言う。
「違うわよ!ペペロンチーノ・タベタイ・ケド・オカネナイさんよ!」とプリムが指摘をする。
「スリッパ・タベタイ・ケド・オカネナイさんか…」とランドは言う。
「違うって!スリッパは奥様のお父様の方よ!グランツ・ゾンビラアッチ・ヘクトパスカル・スリッパタベナヨさんとグランツ・ゾンビラアッチ・ヘクトパスカル・スリッパタベターヨさんの子供がグランツ・ゾンビラアッチ・ヘクトパスカル・スリッパタベタヨさんで、旦那さんがペペロンチーノ・タベタイ・ケド・オカネナイさんよ!」
「うわぁ〜…プリムさん、ちょっと引きました」ソフィアはかなりドン引きをしていた。
そんな中、いきなりドアが開くとアクアランドのペペロンチーノ城の騎士団長が入ってくる。
背は高い方だが、髪は黒い。少し痩せた男。
「おや?お客さんかね?」と周りを見渡した。
白髪の女の子と、茶髪の男の子…金髪の女の子…
「ん?もしや、クルシスランドの王女様ではありませんか?」とプリムを見て話す。
「あっ…はい。そうですけど…」とプリムは答えた。
「おお…私を覚えてないですか?確か、私が騎士団長になった時に一度クルシスランドに参ったのですが…」とペペロンチーノは、プリムに近付く。
「う…う〜ん。覚えてないですね」とプリムは思いだそうとしていたが、まったく思い出せない。
「そうですか…。あの頃はまだ小さかったですからね」とペ(以下省略)は言った。
「あっハイ。スイマセン…」と謝るプリム。
「そうですね…今も昔も変わらぬお姿で…確かあの時は17歳くらいでしたね」
「えっ!2年前!?」
何故かソフィアが驚いた。
「2年前の事、覚えてないんだ…プリムさん」とプリムを見た。
「ち…違うわよっ!ほら!色々あったじゃない!それで、ちょっと忘れただけよ!」と慌ててプリムが答えた
「はっはっはっ。良いですよプリム様…ところで、コチラの方々は何方ですかな?」とぺ(以下省略)はソフィアを見て聞いた。
「あっ私、奥様をここまで運んだ皆のアイドルのソフィアって言います!んで、コッチの礼儀知らずが兄のランドです!」とランドに手を向けてソフィアは答えた。
ランドは一応、紹介をされたので頭を下げた。
パタパタ足音を立て料理を運びながら、グ(以下省略)は話しかけて来た。
「ランドさん達、エイツリーを探す手伝いをしてくれたんですよ?」と言う。
「何だと?お前はまた、もう生きて無いだろうな子供を探してたのか?」とペ(以下省略)は言う。
「そんな事言わないで貴方!でも、生きてる可能性があるらしいよの!」とグ(以下省略)は言う。
「何故!そんな根拠があるって言うんだ!」
「コチラのランドさんが昔、同じ時期に同じ方法で捨てられたのですよ。でも、こうして生きてらっしゃる!だから、エイツリーも生きてるハズだ!って言ってて」
「な…に?」とランドの方を見た。
そして、ランドに聞いた。
「君が捨てられた時の状況を教えてくれないか?」
「えっと…今から16年くらい前で、当時の俺は2歳だったかな。女の人が俺を木に縛って、泣きながら馬車に乗って行った感じかな」とランドは鮮明に思い出した。
「世の中、酷い人も居るもんですね?」とグ(以下省略)
ペペロンチーノは少し考えていた。
そして、答えが出たようだ。
「そうか…そうか。確かにエイツリーは生きてるみたいだな」とぺ(以下省略)は独り言の様に呟いた。
「君のお母さんは、どんな方何だい?」とぺ(以下省略)は席に着きながらランドに聞いた。
「俺の母さんは、クルシス母さんとルナ母さんで、クルシス母さんは森で迷っていた俺を拾ってくれたんだ。ルナ母さんは、俺を育ててくれた」とランド。
「君にはお母さんが、2人居る様だね?」
「そうなんだ。でも、クルシス母さんは人間に殺されちゃって…」とランドは口を塞いだ。
「俺をカバって、人間に銃で撃たれて死んだ。俺は、人間に殺されかけて命からがら逃げた所をルナ母さんが助けてくれたんだ」
「そうか…世の中、酷い奴らが居たものだな!」とぺ(以下省略)は机を叩いた。
回りの食器がカタカタと揺れた。
「おっと…スマンスマン!つい、熱くなってしまったよ」と笑って答えた。
笑った顔が妙にランドに似ている気がした。
「それで、ルナ母さんに引き取られた俺は、プリムと出会い…ソフィアに出会ったんだ!」と笑う。本当に、笑うとペペロンチーノに似ているランド。
「ほらほら、冷めないウチに食べて!」とグ(以下省略)は言う。
いつの間にか、料理が机にまんべんなく置いてある。
プリムとペペロンチーノは、フォークとナイフを手に取るが…ランドとソフィアは、皿を両手で持ちガツガツと食べ始めた。
「ちょっと!ランド!ソフィア!一応、ここでは礼儀正しくしてよ!」とプリムが止めるが、ランド達は聞いていなかった。
「はっはっはっ。構わんよ。一杯食べてくれ!」と笑って答えるぺ。
グも笑っていた。
「ランド君、ご飯が終わったら一緒に酒でも飲まないか?美味い酒があるんだ!」とぺは聞いた。
「おう!飲むか!」とランドは口に物を詰め込みながら話す。
「ランド!口に物があるウチは喋らないの!」とプリムが怒る。
「お兄ちゃんが飲むなら、私も飲むー!!」とソフィアが叫ぶ。
「ソフィア!お兄ちゃん達は男同士で飲むんだから…あっ!ランド!貴方、お酒弱かったハズでしょ?」
「そうか?この前飲んだ時は、記憶が無くなっただけだし…」
「それを弱いって言うのよ!」
「お兄ちゃんが飲むなら、私も飲むー!!」
「ソフィアは駄目よ!危険分子を増やさないで!」
「ソフィアが居なきゃ俺は飲まねー!!」
「ランド!フザケないで!」
「お兄ちゃんが居なきゃ、私は飲まないー!!」
「アナタは最初から飲ませないわよ!」
「はっはっはっはっはっはっ」前の席で騒ぐ子供達を見て、ペペロンチーノは笑いだした。
「こんなに、騒がしい食事は初めてだよ。私達は、老夫婦だからあまり喋らないが…いやいや楽しいぞ!それと、お嬢さんもプリム様も飲んで下さい」と言う。
「いえ!この2人は酔って獣人化なんかしたら…いや1人か…1人は解いたら、大変ですから」とプリムは言う。
「ほう…君達は、魂を持っているのかね?」とペペロンチーノは聞いた。
「おう!俺は、母さんと兄さんの魂を宿してる!」そう言って、獣人化を始めた。
金色の毛の狼。それでも、人間の形をしていて腰まで伸びてるボサボサの髪は変わらない。
「私は、私を育ててくれた女の子の魂を宿してるの!」と獣人化を解いた。
白い毛の狼が現れる。
「なんと、ランド君のお母さんは狼だったんだ。狼に育てられた人間と人間に育てられた狼…その2人は兄妹だったと」とペペロンチーノは泣き出した。
ぎょっ!として、プリムが話しかけた。
「ちょっと、ペペロンチーノさん!どうしたんですか?」
「いや…、スワンスワン。君達の姿を見たら、涙が止まらなくて…」
ペペロンチーノは答える。
「でも、俺達は不憫でも何でも無いぜ!だって、捨てられたからこそ…クルシス母さんに会えロクサス兄さんに会え…ソフィア、ルナ母さん、ソル兄さん、ルル兄さん、そしてプリムに会えたんだから」とウルフは話した。
「そうか…じゃあ君は、君を捨てた両親の事を恨んでいるのか?」
「いや…俺は、2度と人間は恨まない!恨みは何処かで止めなきゃ永遠に続く。ルナ母さんの言葉なんだ」
「そうか…良かった。じゃあもし、両親に出会ったら何をしたい?」
「うーん…両親と言うより父さんに会えたら殴りあいたい!俺の母さん達は、父さんが居なかった。クルシス母さんの旦那は、人間に殺されて…ルナ母さんの旦那は…」
少し間を開けた。
あの時、俺はとんでも無い事をしたんだな…そう思っていた。
「俺が殺した!俺が…クルシス母さんを殺した人間を食いちぎってやった!でも、それはルナ母さんの旦那さんだったんだ。だから、俺には18年間父親と言うものに出会った事が無い。だから、会えたら殴りあいと言うか腕試しをしてみたい!」
「そうか…私は、アクアランドの騎士団長を努めている!もし、良かったら私と腕試しをしてくれないか?」ペペロンチーノはいきなり話を切り出した。
「今の君は強い!だが、君のお父さんは普通の人間だ。君が殴れば体半分は無くなる恐れがある!だから、私がお父さんの代わりとなってお相手しようじゃ無いか」とランドに手を向けた。
ランドは少し考えてから答えを出した。
「望む所だ!騎士団長と言えば、嫌な思い出しか無いからな!」
腹を剣で突き刺された記憶。
「では…10分後、庭に出てきてもらおうか」と言いペペロンチーノは部屋を出ていった。
「やってやるぞー!」とウルフは叫び、準備運動を始める。
一方、ペペロンチーノは…
「おいっ!庭に誰も入れるな!誰も来るな!俺の鎧と剣を持って来い!」
廊下を早歩きで歩く。
最初で最後の親子喧嘩が始まった!!
(ランドは気付いていませんが…)
もう、何が何だか分からなくなってきました。




