プロローグ:謎の男と女
この作品は、第8巻くらいです。
プロローグ
「エイツリー…ゴメンね!ゴメンね!」
と女はまだ幼い子供を木に縛る。
その後ろに男が居た。
「オイッ!早くしろ!この森の夜は危険だ!」と叫ぶ。
「いつか…いつかまた、会いましょうね。私の可愛い坊や」そう言いながら、かなりキツく少年を縄で縛る。
エイツリーと呼ばれてた子供が叫ぶ。
しかし、女は振り向きもせずに男の元へ走って行った。
そして、待たせていた馬車に乗り込んだ。
「うう…エイツリー…ゴメンね」と女は顔を両手で隠し泣いている。
男はそっと女の肩に添えた。
「しょうがない…今の時代、子供1人すら養う金が無い。食糧すら無いんだ」と男は呟いた。
「生きていたら、会えるかな…。でも、会えたとしても私達を恨んでるかな…」と女は手を顔から離し言う。
「いや…エイツリーは生きては居られないだろう…」と男は首を横に振った。
「何で?何でそんな事を言うのよ!もしかしたら、生きてるかも知れないじゃないっ!」と女は叫んだ。
「良いか?良く聞け!縄で縛られた2歳児が、どうやって生きてられるんだ?」と男も叫んだ。
「縄で縛れって言ったのアナタじゃないっ!」
「あぁ!確かに言ったさ!けど、それは一時的にと言う意味で言ったんだ!両手両足を縛られて、更に固く結び直してたじゃないかっ!あんな固く縛ったら、誰であろうとも逃げられないだろ?」と男も反論をする。
「隣の村のマジシャンのマッドピエロなら抜けられるわ!」
「違うんだ!気付く所はそこじゃ無いだろ?」と男は驚く。
「ウチの村のヘイホー爺さんなら、出来るって言うの!?」と女も驚く。
「だから、違うんだって!誰が縄から抜けるのが上手いって話じゃ無いんだ!それより前だ!」
「それより前田?隣の前田さんがどうしたの?」
「前田さんじゃなくて、ま・え!」「前?縄を固く結んだって事?しょうが無いじゃないっ!だって、逃げられない様に結ばなきゃ!」と女は叫んだ。
何かこの女のオトボケは、何処かで見たことがある。そんな感じであった。
やれやれ…と言った感じに男は首を横に振る。
クルシスの森の夜道を、馬車は通り過ぎて行った。