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氷の魔女と・・・

作者: 赤黄 緑

拙い分です。時間を無駄にしてもいいなら、是非読んでください!!

 むかしむかし、とある村から少し離れた場所に、魔女の家が一軒建っていました。

 その家に住む氷のような水色の髪の魔女が住んでいました。とても優しく思いやりのある魔女でしたが、人見知りで寂しがりやでした。

 そんな魔女を村の皆は気味悪がって、嫌っておりました。



 ある日、魔女は思いました。

 誰もこの家に遊びに来てくれないのは、道が舗装されていないからではないかと。

 魔女はその日、せっせせっせと魔法を使って、氷の道を作りました。

 しかしだーれも、魔女に会いに来てはくれませんでした。

 魔女は変だと感じ、使い魔の雪ガラスに村を探ってくるように頼みました。

 しばらくして、雪ガラスが帰ってきました。


「あるじさま、あるじさま」

「どうだったの、雪ガラス?」

「村の皆は一日で氷の道を作ったあるじさまが攻めてくると、怖がっております」

「そう」


 魔女はとてもがっかりしました。

 作戦は失敗したのです。魔女は氷の道を割ってしまいました。

 今日も独りぼっちです。

 話してくれる友達はいません。いるのは使い魔の雪ガラスだけです。

 魔女はとぼとぼと寝室に行き、人知れず泣きました。



 それから数日がたったころ、魔女は思いました。

 誰もこの家に遊びに来てくれないのは、建物の外観が悪いからではないかと。

 魔女はその日、せっせせっせと魔法を使って、氷の彫像や門を作りました。

 しかしだーれも、魔女に会いに来てはくれませんでした。

 魔女はおかしく感じ、使い魔の雪ウサギに村を探ってくるように頼みました。

 しばらくして、雪ウサギが帰ってきました。


「あるじさま、あるじさま」

「どうだったの、雪ウサギ?」

「村の皆は一日で氷の彫像や門を作ったあるじさまを、気味悪がっております」

「そう」


 魔女はとてもしょんぼりしました。

 作戦は失敗だったのです。魔女は氷の彫像や門を壊してしまいました。

 今日も独りぼっちです。

 遊んでくれる友達はいません。いるのは使い魔の雪ウサギだけです。

 魔女はとぼとぼと寝室に行き、人知れず泣きました。



 魔女は独りぼっちです。

 ずっとずっと、独りぼっちです。

 そのことに何度涙したかは分かりません。

 それでも魔女は友達が欲しくて、何度も何度も作戦を考えました。

 けれど、一回たりともこの屋敷に来る人はいませんでした。

 次第に魔女は、自分は死ぬまで人と話すことはないのだと思うようになりました。

 作戦を立てる回数も段々と減ってきました。

 魔女は今日も独りぼっちです。



 そんなある日のことでした。

 珍しく慌てた様子で雪ウサギが魔女に話しかけてきました。


「あるじさま、あるじさま」

「どうしたの、雪ウサギ?」

「門の傍で誰かが倒れています」

「何ですって?」


 魔女はさっそく雪ウサギに連れられて、その『誰か』の元へ行きました。

 確かに門の傍に人が倒れていました。

 太陽のような温かい色の髪の青年です。

 魔女は使い魔を全員呼んで、その青年を自分のベッドへと運びました。


「あなた、大丈夫?」


 魔女が尋ねます。


「ぅう……こ、氷を…くだ、さい」


 青年は苦し気に答えました。

 魔女は慌てて氷を出して少年の頭を冷やしてあげました。

 少年はすごい高熱をだしていました。


「あなた、大丈夫?」


 また、魔女が尋ねました。


「ぅう……み、水を…くだ、さい」


 青年は苦し気に答えました。

 魔女は慌てて氷を出して青年の口に入れました。

 氷は直ぐに溶けて青年の喉を潤わせました。



 次の日になると、青年はすっかり元気になりました。

 どれもこれも魔女の手厚い看病のおかげです。


「お嬢さん、私はあなたに助けられました。何かお礼をさせてください」

「お礼なんて、いいわ」


 魔女は、そう答えました。

 それは、本心でした。魔女は彼の笑顔を見ただけで、胸がいっぱいでした。


「いえいえ、そういうわけには参りません。どうか、お礼をさせてください」


 そう言われると、魔女にも欲が出てきました。

 もっとこの青年と話していたくなりました。


「じゃあ、私の友達になって。私と一緒に遊んだりお話ししたりしましょう」

「かしこまりました」


 こうして、魔女と青年は一緒に暮らし始めました。



 それからの日々は、とても楽しいものでした。

 魔女は青年と一緒に、お喋りしたり、散歩をしたり、釣りをしたり。

 魔女の今まで生きてきた中で一番楽しい日々でした。

 魔女はだんだん青年が好きになっていきました。

 これからもずっと一緒にいられるようにと、魔女は毎晩毎晩星に祈りを捧げました。



 魔女と青年が一緒に住み始めてから、しばらく経ったある日のことでした。

 その日はとてもきれいな空をしていて、冬と春の間くらいの雪が解け始める季節でした。


 青年はいいました。


「お嬢さん、私は帰らなければなりません」

「どうしてですか?」

「使命だからです」


 魔女は泣きそうになりました。

 青年は魔女の人生の中でたった一人の友達でした。きっとこれから新しい友達ができることはないでしょう。

 そう考えると、魔女はとても悲しくなりました。


「ずっとここにいてはだめですか? 使命など忘れて、ここで私と一緒に暮らすことはできませんか?」

「できません」

「そうですか」


 魔女はついに泣き出してしまいました。

 ポロポロポロポロ目から流れる涙を止まろうとはしませんでした。


「お嬢さん、一つお願いを聞いてはくれませんか? 最後のお願いです」

「何ですか?」


 俯きながら魔女は聞き返しました。

 最後という言葉を聞いて、さらに魔女の胸は締め付けられました。


「お嬢さん、私と一緒に来てはくれませんか?」

「え?」


 涙でボロボロな顔を上げて、魔女は茫然としました。


「お嬢さん、私はあなたに恋をしてしまいました。私のお嫁さんになってくれませんか?」

「こんな、私でいいんですか?」

「そんな、あなたがいいんです」


 魔女は泣きました。いつまでも泣きました。

 しかしそれは今までの涙と違って、とても暖かい涙でした。



 二人は手を繋ぎながら屋敷を去っていきました。

 その後のことは誰も知りません。

 ただ、太陽のような明るい髪の立派な王様と、氷のような水色の髪の后様の話は皆がよく知るお伽噺となりました。

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