間話二 拝啓、親愛なる妹へ
ちょっとした伏線プラス気分転換(←オイ
形としては手紙なので、菜月の一人称です。手紙の書き方として間違っているところも多々有ると思いますが、そこら辺はスルーでお願いします……。
なお、第二章終了時……つまり菜月が精神的に色々キてる状況で書いているので、微妙にテンションがおかしいです。
拝啓 梅雨前線が果たしてこちらの世界にもあるかは分かりませんが、恐らくそちらの世界では猛威を振るっているであろうと存じますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。ああでも、もしかするとこちらの世界とそちらの世界では時間の流れが違い、そちらはもう七月、梅雨も明けているかもしれませんね。
十代後半の坂を駆け上がり、いよいよ大人の階段でも上っちゃうかーなんて心ぴょんぴょんしていたところでまさかの後輩からのラブコール&デッドエンドを迎えた貴女の兄こと、東雲菜月です。
さて、堅苦しい言葉など兄妹の間では不要でしょう。ここからは近況報告も含めて私の胸の内を語らせて頂く為に、親愛なる佳夜にいつも語り掛けていた言葉で綴らせて頂きます。
ハロー・アナザーワールド、ハロー・マイシスター! 元気か? 元気だろう。元気であって欲しいとお兄ちゃんは常々思っている。
初っ端からウザいキャラなのは許して欲しい。何せこのところ、精神的にクル事が多すぎるからな。少しくらいはっちゃけさせてくれないと、正直どうにかなりそうだ。
初めてのラブレターがまさかの心中願いで、しかも死した後に遭遇した女神のキャラがぶっ壊れ、更に実は自分は人間ではないとステータス様からのご報告。そんな訳分からんファンタジーに巻き込まれただけで頭を抱えたくなる事なのに、何故こんな事になったのか。ちょっと優しくない世界に一言物申したいところなのだが、それは自分の甘さ故のところもあるので、文句を垂れ流しても仕方ないと今は納得している。
だが何だろう。色々おかしくはないだろうか、この世界。いや異世界。
まずこの世界、『ラグナスヘイム』とやらを照らすお天道様は、何故か三つも輝いていらっしゃるのだが、なんだそりゃ。三位一体でも主張したいのか。意味が分からん。暖かく明るい恒星は一つで十分です。……あ、でも恒星が一つだと星が無くなっちゃうのか。それは勘弁。
つぅかそもそもこの世界は丸いのか、太陽を中心に公転しているのか、重力は存在しているのか、エトセトラエトセトラ……言い出したらキリがないからもういいや。
はてさて、そういや異世界転生もの? いや異世界転移もの? っていえば、テンプレ展開ってあるけど、突然の美少女との邂逅が無かったんだがその辺どう思う?
いやまぁ、超絶美少女でちょこっとアブナイ後輩ちゃんこと一条優莉とは一緒にこっちに来たから美少女成分はあるがな? でもさ、ラノベのテンプレ展開だと、街を案内してくれたり、世界の常識を教えてくれたりする美少女との出会いがあるもんだろ?
それがまさかの半妖精種美幼女だったんだが、その辺どうなのだろうか。ロリコンになれと? お巡りさんこちらです。
とりあえずまぁそこは置いておくとして、『天霊樹』っていう世界樹みたいなでっかい樹が中心にある街で冒険者登録しようとしたら、テンプレらしくちょっと頭の残念な冒険者どもが絡んできたんだよ。で、そこは普通主人公が力を示す絶好の機会だろ?
そこで何で守られてんだよ俺!?
いやまぁ同行者が強い事は良い事だけどさ。なんか、ほらさ、もうちょっと俺に活躍の場とか……いや、何でもない。
そもそもこれ、物語みたいな世界でも、空想ではなくれっきとした現実だしな。簡単に活躍なんて出来る訳もないんだけど。
……他にも色々ツッコミたい事はあったけど、今はとりあえず心のうちにとどめておく事にしよう。最近は人攫いとか帝都の襲撃とか、物騒な事が多すぎて、とても佳夜に話せる内容じゃないし。
で、そっちはどうだ? 学校とか、俺と優莉が死んでから、なんか変わったか?
その……色々迷惑かけちゃったと思うけど、本当にすまん。もう顔も見れないし、この手紙も届くとは思えないけど、気持ちだけは伝えさせてくれ。御免なさい。
冬悟に貸してた漫画とか、貰っちゃって良いって伝えておいてくれ。逆に借りてたやつは返しておいてくれると有り難い。迷惑かけた上にまた面倒をかけるけど、宜しく頼む。
そういや、奏渚はどうしてる? アイツ、昔からドジで泣き虫だったから、俺がいなくても大丈夫か?
いや、俺が気にする事じゃないか。アイツももう十六だし、一之瀬家の教育も長い間受けてたから、俺の存在なんて関係ないよな。逆に俺が迷惑かけてた気もするし。……あ、なんかちょっと泣けるこれ。
でも幼い頃の性格とか癖って抜け難いものだし、できれば佳夜もアイツの事、気に掛けてやってくれ。
さて、父さんと母さんは元気か? 母さんはちょっとメンタル弱かったから、佳夜が支えてやってくれ。……って、いくら何でもお前に頼みすぎか。
ごめんな、佳夜は頼りになるから一杯頼んじまうけど、まず自分を第一に考えてくれ。佳夜が幸せになってくれないと、お兄ちゃんは悲しいっす。
……長くなってきたな。この世界、紙が少なくてあんまり無駄遣い出来ないから、そろそろ筆を置かせてもらう。
と、その前に。
佳夜。お前の会いたがってた大智って人には会えたか? 良く分かんないけど、ソイツが佳夜の大切な人なら、お兄ちゃんは応援します。……余計なお世話? いいえ、可愛い妹には幸せになってほしいという兄心です。
いつか、もしそっちの世界に行く事が出来たのなら、その時は紹介してくれよ。なんでも願いが叶うって言われてる『流れ星の泉』ってとこに行けば、もしかしたら異世界旅行も叶うかも知れないから、そん時は宜しく!
それじゃ、またいつか。
佳夜が元気でいてくれる事を、俺は祈ってる。 敬具
聖火暦一二五三年六皇の月十日
東雲菜月
追伸
最近、魔法とか魔術とかファンタジーな事が身近になってきたけど、未だに一番傍に居る人が謎なままなんだが、何なんだろうか。もしかして地球にも神秘は溢れていたのだろうか、と思う今日この頃。でも佳夜は危ない事には手を出しちゃ駄目だからなー!
……あれ? 頭に浮かんだ事を勢いで書いたけど、魔術なんてあったけ? まぁいっか。
一人称って思ってたより難しいですね……。
菜月の妹である東雲佳夜は、『ヤンデレ後輩』ではあまり出す予定はありません。ちょろっと番外編や間話で出る程度です。一応、佳夜は書き直す(と言いつつまだ全然書き始めていませんが)『イリアステル』の主要キャラの予定なので。
そして、非常に申し訳ありませんが、まだ三章は始められません。もう暫くお待ちください。
次回も読んで頂けると有り難いです。




