第二十二話 深夜の吸血鬼
久し振りに少し長めです。
前線都市であるエミルフィアには、『天霊樹の迷宮』の攻略に乗り出す冒険者が大勢滞在する為、必然的に冒険者達が利用する宿屋や鍛冶屋などといった店は他の町と比べて倍以上の数が揃えられている。
その中でも『天霊樹の迷宮』との行き来が楽な中央区が最も栄えているのだが、別に他の区に有る数が少ない訳ではない。中央区に質では敵わないが、安い値段のものが多く存在している。
何とか無事に部屋が空いている宿を取る事が出来た菜月と憂莉は、宿の食堂で軽く夕食を食べてから、後は部屋でゆっくりするという事になった。実際は憂莉が「二人部屋のダブルでお願いします!」などと言って菜月が慌てて「一人部屋二つで!!」と訂正するという事態が発生したのだが、何とか別の部屋で安心して夜を越せそうである。
宿屋『ミリアードの止まり木』の代金は東区にある他の宿と比べても平均的だったので部屋や料理の質は悪くなく、風呂は客全員で共同の物――と言っても、きちんと男女別には分けられているが――となるが存在した。そこで汗を流し、着替えはエルドに呼びだされる前に購入してあったので、そのそこそこな金額の綿製の服を寝間着代わりに着用した。制服は素材が良く貴族の紋章のようにも見える校章が付いている事からこの世界で着るには少し目立つので、インベントリーに収納しておく事にする。もう着る事も無いだろうと思うと少し哀しくなる菜月であった。
今になって込み上げてきた寂しさを感じながらも部屋に戻ると、どっと疲れが菜月の身体を襲う。今日一日慣れない地で動き回ったからだろう。午後は読書詰めだったが、それでも普段やらない事を長時間した為、疲労度が予想以上に溜まっているようだ。
「……寝るか」
別段今すぐしなければならない事も無いのだ。
情報は魔道士ギルドの地下書庫で得る事が出来るし、金銭だって女神がインベントリーに入れてくれた物がまだかなり残っている。憂莉の方は武具を揃える為に結構な金額を使ってしまったらしいが、剣舞闘師に登録する為の実技試験でアマネフ洞窟に行った際にゴブリンの魔石を持ち帰ってきたようで、その売却額でじわじわとだが貯まっているようだ。元の白金貨一枚と金貨五枚まで戻すのはゴブリンの魔石程度じゃ何百個も集めなければならないので難しいが、これからもっと金になる素材や魔石を保有する魔物と戦えるようになればすぐに貯まるだろう。
(金になる魔物、か)
金になるという事は、発見ないし討伐が困難な魔物という事だ。
例え運要素が絡んだとしても前者ならまだ良い。しかし後者は、命の危険が増すという事だ。
今日一日だけでも、菜月は五度の戦闘を経験している。どの戦闘も一歩間違えれば死ぬ可能性のあるものばかりであり、そこで憂莉やエミアリスなどの助けが無ければ碌に生き残れなかった現状では、高い売却額の魔石を持つ強力な魔物などと戦うのは自殺行為だ。
更に――菜月の目的は、
「『流れ星の泉』……」
――そう。その名をエミアリスから聞いた時から、菜月は何故かそこへ行かなければならないと感じていたのだ。
理由は不明。だが、あの時、無意識のうちに中から響いた何かの声が、『泉』を目指せと言っていたのを菜月は聞いた。そしてそれを菜月は肯定し、いつの間にかそれを自身の目的と決めていた。
不思議と、今もその目的を変える気はない。
だから菜月は書庫で、魔法やこの世界の歴史についても調べたが、優先的に『流れ星の泉』について調べていた。
だが分かった事は多くなく、概ねエミアリスが言った事と同じだった。
星世界の一つである『ラグナスヘイム』を支える天霊樹の最上階層に存在し、到達者の全ての願いを叶える事が出来るという夢の泉。世界の始まりであり、世界の要であり、世界の終着点とも言われるが、その本当の姿は誰も見た事が無く、またそれらが真実かどうかも誰も分からない。――だが、伝説には残されているという、幻の存在。
それが『流れ星の泉』なのだという。
「願い……願い、ね。何を望んでそんなものを求めんのか……」
自分も『泉』への到達を目的にしておきながら、菜月は他人事のように呟いた。
多くの冒険者が『天霊樹の迷宮』の攻略を試みているが、しかし未だ最上階層に到達できた者は歴史上ただの一人もいないとされている。事実現在でも、トップクランと言われているS級クラン〝真理の探究者〟でさえ第二十七階層までしか到達出来ていないのだ。
当然その他の冒険者達がそれ以上上の階層に行ける訳もなく、無理をして実力に見合わない階層に登って死亡する冒険者が後を絶たない。それでも諦めず夢を追う冒険者が次々と『天霊樹の迷宮』に飛び込んで行くのだから、余計に死者が増えて国や冒険者協会にも問題視されているらしい。
しかし例え国が『天霊樹の迷宮』への侵入を禁止しようとも、彼らが止まる事はないだろう。それほどまでに彼らは『流れ星の泉』に魅せられているのだから。
「…………」
菜月は無言のままベッドに転がり、染みのある天井をぼんやりと眺める。
脳裏には、自分の魔法で殺したルアーナッチュと、自分の目の前でエルドの手によって殺された、〝虐殺する双角獣〟に所属しているという事以外何も知らない冒険者の姿が浮かんでいた。
ルアーナッチュは、この手で殺した。魔法で殺した為、直接触れてはいないのだが、それでも殺した感覚というのは残っている。そしてそれは、容易に消えるものではない。
生きる為に殺す――それはこの世界では必要な事だろう。いや、前の世界だって、食という形で他の生物の命を奪って生を繋いでいるのだから、どちらの世界も変わらない事なのかもしれない。
だがそれをすぐに容認できるほど、菜月の心は強くはない。
ルアーナッチュの時は咄嗟の事だった。
直前にガリガリに痩せた巨犬を憂莉が殺した事もあっただろう。更に、躊躇していればシャルロッテが殺されてしまうという事もあった。だから、手に掛ける事が出来た。
「命を守る為に命を奪う……か。結局、殺した事に変わりはないのにな」
そう。命を守る為などと言って正当化しても、結局殺したという事実は変わらない。
しかし、それでも――また獣や魔物が命を奪おうとしてきたら、菜月は殺すだろう。
そうしなければ、この世界では生きていけないのだから。そしてそれが、冒険者の仕事でもあるのだから。
――だが、だからこそ。
「……俺は、人は殺さない」
それだけは超えてはいけない一線。
東雲菜月という人間は、殺人だけはしないと、改めて誓うように呟いて――菜月は全身を包みこむ睡魔に身を任せ、深い意識の底に落ちていった。
◆ ◆ ◆
洞々たる夜闇が町を包んでいる。
深夜と呼んでも差し支えないこの時間では、既に外に出ている人間などおらず、静かに流れる風に乗って鳴る虫の音だけが彼らの耳に届いた。
エミルフィア東区の空き倉庫の中。あちこちがガスバーナで焙られたように焦げ付き、廃棄されずに残っていた荷物は炭化し、地獄の業火に焼き払われたそこでは、二十数名の冒険者達が悪鬼の如く怨念の籠った呻きを漏らしていた。
茶髪の魔道士――菜月の魔法によって蹂躙されてから、既に二時間近くが経過している。
弓使いの戦狩人のような菜月から離れていた者達は他の者達より比較的軽症で、三十分から一時間の間に立ち上がって歩行する事も可能になっていた。その行動が可能になった者達の手によって重傷者の手当てが行われようとしたのだが、傷自体は菜月の【広域治癒法式】で治されていた為に後は自力で起き上がれるようになるのを待つしかなく、すぐに行動を起こせなかったのだ。
しかし今ようやく殆どの者が起き上がり、走ったり武器を振るったりする事は辛くても何とか自分達の宿泊場所まで戻れるようになった。
一番最初に立ち上がった戦狩人の男が、焼き払われた事で細かい部品が溶けて使い物にならなくなった弓を苛立たしげに石床に叩きつけると、形の悪い歯をギリギリと軋りしながら吐き捨てるように言う。
「クソがッ! あの野郎、何が命は奪わない、だァ!? 舐めやがって……ッ!」
同意した周囲の冒険者達も癇癪を起したように空き倉庫に落ちている荷物――殆ど炭化しているが――に当たり散らし、怒鳴り、憤怒の表情を浮かべている。そこには菜月が半殺しにしておきながら不殺をほざく事への怒りと、襲った相手の手によって傷を治された事の屈辱が色濃く映っており、もはや彼らの頭は菜月を殺す事しか考えられなくなっていた。
「あの女もそうだ! ひらひらひらひら躱しやがって……正々堂々剣で戦えってんだよっ!」
「ああそうだ! 剣士なら剣をぶつけ合うべきだろうに、あの女は碌に攻撃もせずに俺らの攻撃だけ躱しやがってぇ……っ!」
「可愛いからって調子のってんのかぁ? クソが、あの女ぜってー犯してやる」
彼らが望んでいなかったとしても折角治してもらった傷口なのだが、そこから血が吹き出しそうなほどの怒りを顕わにし、また肉欲を隠す気も無く表に出す冒険者達。眼が釣り上がり、嫌らしく口元を歪め、下卑た笑いを漏らすなど、忙しそうに表情を変化させていた。
「はははっ! イイなそれ、そん時は俺にも回せよ」
「ばーか、誰がお前に回すかよ。お前がヤると壊れちまうだろうが」
「違いねぇや。てことでお前ラストな」
「はぁ? それじゃ既に壊れちまってるだろうが。やりがいがねぇだろ」
「はははっ! いいんじゃねぇの? お前、前に新人襲った時一人でやりすぎたんだしよ、自重しろっての」
「ああ、あん時か。いやぁ、アレはよかったなぁ。嫌がる顔がもう最高でさぁ」
「うっわ、下種だ。下種がいる」
「五月蝿え。テメェも大して変わらねぇだろうが」
「まーな。ぎゃははは!」
「あ、そうだよ、こうしようぜ。あの茶髪の魔道士ぶっ殺した奴が一発目って事で」
「ぎゃはははッ! そりゃいいや。よっしゃ、処女いただきぃ!」
「処女とは限らんだろうが」
「だな。ぎゃはははッ!」
焼き焙られた痛みもすっかり忘れてしまったのか、愉しそうに笑う冒険者達。しかし菜月への怒りは忘れていないのか、それとも憂莉を犯す事への楽しみが強いのか、誰もが自分の手で菜月を殺して一番最初にヤる権利を得ようと表情を歪ませていた。
――と、最も重症だったエルドを含め、二十数名全ての冒険者達が動けるようになった時だった。
空き倉庫に響く男どもの下卑た笑いを斬り裂いて、鈴鳴りのような少女の声が響いた。
「――そろそろ、お話は終わりましたか?」
瞬間、冒険者達は声を失った。
喉に何かを詰まらせたように錯覚して誰も声を出せず、その体は摂氏マイナス一九六度の液体窒素にぶち込まれたように凍りつく。
しかし彼らは何とか首を壊れたロボットの如くギリギリと動かし、その声の主の方へ視線を向けた。そこに先程までのハイテンションさは欠片も無く、命すら危ぶまれる恐怖を前に彼らはプルプルとみっともなく脅える子羊に変えられていた。
そしてそんな彼らの姿を冷然と見詰めながら、声の主は紫苑のツインテールを靡かせて倉庫の中心へと跳び下りた。トンッと静かに着地すれば、彼女は感情の読めないラベンダーの瞳を妖しげに光らせて周囲を見渡し、やがて彼女自身によって造られた沈黙を自ら破る。
「……襲わないんですか? 先程までは随分と意気込んでいた気がしたんですけど?」
――挑発だ。
それが分かっているのかいないのか、つい先程『菜月を殺した奴が憂莉を一番最初にヤる権利を得る』という事を提案していた盗賊武者の男が、威圧を感じた為か驚愕した為か一時的に消されていた怒りを、憂莉の言葉で取り戻す。
そして、憂莉の体を見直して――菜月と居た時は彼女の腰に差してあった筈の双剣が無い事に気付く。
「は、ははっ! 一人で丸腰かぁ女? いいぜ、俺らの相手になれよ。ま、全員ヤったら体がもたねぇだろうけどなぁ!」
「ふふっ。それはそれは、中々面白い事を言いますね。わたしの体は菜月先輩専用なんですけど」
「はっ! テメェ、この状況で何言ってやがる? 強がるのも大概にしろよなぁ!」
その盗賊武者の言葉で、憂莉が仲間も連れず一人――しかも丸腰で、更に自分達はその二十数倍の人数がいる事を思い出し、調子に乗ったように同調する。
「そうだ、そうだよ。お前一人で何が出来るってんだ! 武器も無いんだぞ? 大人しくしておけば、命だけは助けてやるぜ」
「精神は死んじまうかもしれねぇけどな! ぎゃはははッ!」
「はははっ! そん時は俺にヤらせろよ! 存分に可愛がってやるからさぁ!」
自分達が優勢だと気付いた途端に調子を取り戻し、下劣な言葉を次々と投げかける冒険者達。しかし憂莉は彼らのその醜い姿に何の感慨も湧かず、依然として冷たい表情を浮かべていた。
それから憂莉は暫くの間男達の嫌らしい笑みで交わされる下品な会話を受け流していたが、やがて彼女の中で何か区切りでも付いたのか、その桜色の唇を開いた。
「……もう、よろしいでしょうか?」
「はぁ? 何言ってんだお前? 状況分かってんのか?」
「捕食者が被食者の気が済むまで待っててあげてるって状況ですよね?」
違いますか? と可愛らしく首を傾げる憂莉。
彼女のその姿に馬鹿にされたと感じたのか、盗賊武者の男が先程まで浮かべていた笑みを苛立ちに歪めて腰に差していた短剣を抜き放った。その銀刃の先端を憂莉に向け、額に青筋を浮かべながら、
「テメェ……あんま舐めた態度取ってると、加減間違えて殺しちまうぞ?」
「あなたにそれが出来るとは思えませんけど」
「ああッ!? 本当にぶっ殺すぞテメ――」
しかし盗賊武者の男の言葉尻が消える前に、一陣の風が走った。
――否。それは風などではなく、長く伸ばされた爪――
「きゅ、吸血鬼種!?」
そう、吸血鬼種の能力として備わっているものの一つ。憂莉がその能力で爪を人間の持つそれとは比べ物にならないほど鋭く、そして長く伸ばし、その切れ味で盗賊武者の男の首を引き裂いたのだ。
本人も気付かぬうちに刈り取られた盗賊武者の男の頭が、自重に耐えられずに辛うじて繋がっていた肌を引き千切ってごとりと地面に落ち、バランスを失った身体が遅れて後方に崩れるように倒れる。噴き出した血が水溜りを形成し、不快な血臭が周囲に広がった。
そこでようやく、他の冒険者達が今の現象を理解し始めた。
しかし誰も言葉を紡げず、絶句したように口を開閉させている。
憂莉は一度爪を振るって血払いすると、元の長さに戻しながら口を開いた。その声色は酷く冷たく、その場に居るだけで凍死してしまうのではないかと勘違いするほどであった。
「……覚悟は良いですか? まぁ、良くなくても殺しますけど」
「ま、ま、待ってくれ! おま、てめ、な、何で!?」
慌て、取り乱す〝虐殺する双角獣〟の冒険者から吐き出される言葉は、きちんとした体を成していない。しかし単語から意味をなんとなく推測すると、憂莉は何故彼らが慌てているのか理解出来ないといった調子で首を傾げ、
「何で殺すか……ですか? それはただ単に、菜月先輩に危険を齎す輩は早々に排除すべきだと判断したからですが?」
どこかおかしいでしょうか、と不思議そうに訊いてくる憂莉に、冒険者の男は発狂者のように髪を乱暴に掻き毟り、それから訴え掛けるように叫んだ。
「いや、おま、だって、あの茶髪の魔道士は殺さないって言ってたじゃないか! お前だって、殺すなって茶髪に言われてただろ!」
「ああ……それですか」
ようやく得心が行ったとばかりに呟く憂莉。
しかし呆れたように溜息を一つ零すと、再び絶対零度の如き冷たさを持った視線で冒険者の男を射抜き――まるで死刑宣告のように、冷然と告げた。
「――それは菜月先輩の掲げたものであって、わたしのものではないですよ?」
「……は?」
間の抜けたように呆然と聞き返したのは、誰だったか。
だが憂莉は、返事など特に気にも留めずに言葉を続ける。
「わたしの目的は、菜月先輩と末永く幸せに暮らす事です。それはどこの世界だろうと変わりません。そして、それを邪魔するような奴がいるのなら……それを排除するのはわたしの役目だと思ってますから」
「お前、何言って……」
「ですから、……まぁあなた方にも分かるように簡単に言いますと、あなた方は菜月先輩と幸せに暮らすにあたって邪魔者以外の何者でもありませんので、ここで死んで頂こうかと」
にっこりと、そこだけ笑って言ってやれば、その顔を見た〝虐殺する双角獣〟の冒険者達は首に死神の鎌を掛けられたようにピクリとも動けず、そして動こうとする意志すら消してしまう。
「さて……それでは、そろそろ終わりにしましょうか。早く帰ってもう一度汗も流したいですし、何より菜月先輩の布団に潜り込まなければなりませんし」
そんな事を独り言のように漏らして、憂莉は尖らせた爪で薄く血管を傷つける。生じた傷口から血が吹き出し、『血器術』を発動させた。
「真祖の血を以って刃と成せ。形状・双長剣」
月光を反射する真紅の血液が、憂莉の意思に従って二本の長剣の形に凝縮される。そして噴き出した血液の一滴も残らず双剣へと形を変化させると、憂莉はその柄を握り、もう一度だけにっこりと笑った。
直後に振り撒かれた殺気に意識を強引に引き戻された剣舞闘師の青年が、詰まった息を吐き出すように叫び出そうとして、
「こ、殺っ――ぁア!?」
しかし――剣舞闘師の青年の腹を、一瞬の内に双剣のリーチに収めた憂莉が左の血器長剣で斬り裂いた。肉を抉り、飛び散った血液が石床を汚す。が、青年が身体を上手く捻ったからか両断には至らなかった。
剣舞闘師の青年は痛みを堪えて何とかバックステップで距離を取ろうとしたようだが、しかしそれより速く憂莉の右手が動き、青年の右眼を長剣が突き刺し脳を貫通する。一瞬青年は身体を痙攣させ、そしてぷつりと糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
「……さて。次は誰が良いですか?」
そう言って、誰もが凍り付いたように表情を固まらせる中、憂莉は一歩一歩ゆっくりと歩を進め――一人、また一人と、その命をまるで野原に茂る雑草のように刈り取っていく。
反撃しようとする者もいたが、しかし憂莉は掠りもせず躱して見せ、カウンターの一撃でその首を飛ばした。
弓矢で射殺そうとした者は、まず放たれた矢を剣で弾き、次に血器長剣を作る際に作った傷口から血を取り出し、『血器術』の力で短剣の体に成して飛ばした。その攻撃方法を予測していなかった弓使いは頸動脈を切り裂かれ、応急処置の追い付かぬうちに憂莉が二本目の短剣を放ち止めを刺した。
空き倉庫から逃げ出そうとした者もいたが、しかし一つしか無い出入り口へ辿り着く前に憂莉が跳んで回り込み、一刀で斬り伏せた。
誰の反撃も彼女には傷一つ付けられず、彼らは一方的に殺されていく。
そこは、彼らにとって二度目の地獄と化していた。
憂莉様無双。一発ドカンで終わりの菜月より質が悪い。
次回も読んで頂けると有り難いです。




