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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
六章 帰還編
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菩薩の心


この半年間の事はリーシャやフェリアに聞いた。


どうやらゲートが大量発生した後、仲間たちは二手に別れたそうだ。

俺と祐奈が転移してすぐに妊娠が発覚したアクアはリーシャ、ルシファーと共にアギレラの元へと身を寄せる事に。

そして、完全に消え去ったシャガルの街を復興するため、ジルは竜人界にとどまった。

祐奈がいつ帰ってきても良いようにメイとルーナはジルと一緒だそうだ。


転移地点に帰ってくるかと思ったら全く関係ない無人島に戻って来ちまったからメイとルーナの予想は外れだな。


ゲートの事はルシファーとリーシャが主に調べていたらしいが、結局詳しい事はわからずじまいだったらしい。

リーシャとルシファーは定期的にシャガルにいるジル達の元へ行き、街の様子を見たりしていたそうだ。


そして、半年が過ぎた頃、突如ゲートが消え去り、俺から音信(コール)があって今に至るという訳だ。


その話を一気に聞き、俺も半年間の話をした。

ゲートでアスタとベルに出会った事。

墓地の棺桶に爺さんが幽霊として居た事。

エレボスと戦ってフレイムが死んだ事。

勿論その時に爺さんの話も通しておいた。喋れないと爺さんはストレスで天に召されそうだからな。


現在の心配事はと言えばアクアの妊娠中の生活だな。

それも子供が生まれればスッキリするだろう。

もはや心配事なぞ無いも同然だな。肩の荷スッキリってやつだな。久し振りに家でぼーっとしよう。

しかし、竜人界の俺の家はそう言えばバラバラなんだった……。


---


その日の夜


「アクア……その、この半年の事だけど……」

「ん……ユウナに聞いた。無事で良かった……」


アクアは横向きに寝転がりながら言った。

なんだ、あいつ話したのか。俺から話そうと思っていたが……まぁ、いいか。

ちなみに祐奈はアスタとベルと共同生活中だ。余ってる空き家があったのでそこに住んでいるのだ。

俺の今いるこの家ではシエルとリーシャとアクアが住んでおり、俺も一緒に寝泊まりしている。


「マッサージでもしようか?」

「お願い……」


そう言ってアクアは足を投げ出した。ちなみに片足は折り曲げていると楽だそうだ。

妊婦って上向いて寝るの辛いんだな。よくよく考えたらわかる事なのに知らなかったぞ。

何をすればいいのかよくわからんかったが、取り敢えず足を揉んでやった。


「どうだ?」

「ん……気持ち、いい……」


と、エロい吐息も漏らしながら言うアクア。

ちょ、ヤメロ。エロい声出すな。ムラムラするだろ。

お前が妊娠してるから我慢しているというのに。


「腰も痛いから……。お願い……」

「お、おう」


そう言ってアクアは服の背中あたりをはだけた。

だからムラムラするから!

ああ……、待て待て。平常心平常心。諸行無常諸行無常。

仏説摩訶般若波羅蜜多心経観自在菩薩行人般若波羅蜜……。


もう心の中般若心経。

俺は菩薩の心でマッサージを続けた。油断したらイケナイ所に手が伸びそうだった。

もう「どうだ?」とか聞かない。エロい声出されたらムラムラしてやばい。

全国のお父さん方はこれを乗り越えたというのか……恐ろしいまでの精神力だ。普通なら多分三日と持たない。


明日にでもアギレラに相談しよう……。


と、思いながら足を揉む事10分程。

なんか足むくんでないか?言わないけど。


「ん……、もういいよ、リュート。ありがと……」


アクアはゆっくりと体を起こした。


「お、おい、寝なくていいのか?」

「あんまり寝られない。首とか肩も痛いし……」


おおう、妊婦やばい。

アクアはだるそうに首を振って椅子に腰掛けた。

背もたれに深くもたれかかるのが一番楽だそうだ。


「肩揉んでやろうか?」

「ん……、お願い……」


さっきはもういいって言ってたが、やはり辛いんだろうな……。

でも、こうして甘えられると嬉しいな。

アクアはワガママな所があるが、こういう時に不平不満を積極的に言うタイプではないからな。

しかし、つまらん事で矢鱈とワガママなんだよなぁ。


「もうちょっと首のところがいい……」

「了解了解」


うなじのところをグリグリとほぐすようにマッサージ。


「痛くないか?」

「うん……。今は気持ちいい……」

「そ、そっか……そうかそうか」


そして無言になった。やべぇ、こういう時何話せばいいんだ?


ふとアクアの顔を見やると気持ち良さげに目を細めていた。まるで小動物のようだ。


「ねぇ、リュート……」

「な、何だ?」

「我慢してる……?」

「な、何の事だ?」

「分かってるくせに……」


何故ばれたし。

俺は声をうわずらせながら答える。


「な、何でそう思うんだ?」

「何だか、手つきが遠慮がちだし……。それに、久し振りだし……。我慢してるかな……って思った」

「い、いや……でもな……」

「リュートは平気なの……?」


え、俺は今迫られてるの?

これは雰囲気的にシてもいいの?いいよな?

あぁ……、スマホが欲しい。だったら今すぐにグーグル先生に聞くのに!

妊娠七〜八ヶ月ってヤっても良いんですかね⁉︎って。


「平気じゃないです」


俺は正直に答えた。

大丈夫な訳あるか。さっきから滅茶苦茶我慢しているというのに。


「じゃあ、してもいいよ……?」

「ダメだ」


俺はキッパリと言い切った。

確かにしたいけど。それはダメだ。

アクアの負担になる可能性がある以上、やっちゃダメだ。


「もしそれでお前が体調崩したら俺は絶対後悔するし、子供がどうにかなったりした日には俺は死ぬかもしれん」


そんな俺の欲望のためにリスクを犯したくない。

俺にはそんな事よりもずっとずっと大切なものがある。


「……そっか……」


アクアは少し嬉しそうにはにかみながらそう呟いた。


「じゃあ……」


その時、アクアはこちらを振り向いて、唇で触れるようにキスをした。


「今日はこれで我慢する……」

「お、おう……」


お前も我慢してたのかよ。逆に俺が我慢出来なくなりそうなんですが。

もう良いんじゃないか?逆に考えるんだ。ヤっちゃっても良いさと。


まぁ、前言撤回なんてしたくなかったので本日はそのまま就寝だ。


勿論エロい事なんて何もしてない。

後半の夫婦の会話は友人のリアルな話を聞いて書きました。

友人曰く、妊娠半年からは本気で我慢したそうです

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