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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
六章 帰還編
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アスタとベルとの再会


俺たちはその時、呑気に椅子に座っていた。

マイルだけ掃除をしていたが。


「ねぇ、なんか『パチパチ』って聞こえない?」


おもむろに祐奈が少し神妙な顔をして言った。


「『パチパチ』?そんな音するか?」

「何かが弾けるような……まるで何かが燃えてるような……。ま、まさか……!」


そこまで言ったところで祐奈は弾ける様に椅子から立ち上がり、脱兎の如く家から出て行った。


「おいおい……まさか……嘘だろ……?」


俺たちも急いで外に出る。


「ちょ、リュートさん!マイルちゃん!カイリちゃん!い、家が、燃えてる!」

「う、嘘だろ⁉︎」


しかし本当に燃えている。

何故気がつかなかったんだ?


「大丈夫です。落ち着いて下さい」

「カイリ。行くよ〜」


落ち着いた様子で2人は魔法を唱え始めた。


「「『撥水雨(スプラッシュレイン)』!」」


2人で同時に魔法を発動する。

すると、火の手の上がっていた場所の真上から水が降り注ぎ、瞬く間に炎は鎮火された。


「流石だな……二人共」

「ふふん、魔法は得意なのです」

「そりゃあ良かった……俺たちは水魔法は苦手でな……」


そう言いながらも俺は唖然としていた。

何故突然火の手が上がるんだ?

俺たちのいるところにピンポイントって事は無いだろうが……。


「リュートさん……!森から煙が……」


やはり、燃えてるのはここだけじゃ無いらしい。

道なりに燃えてないという事は……隕石の様に炎の玉が落下してきたと考える方が自然だ……。

ここにはたまたま落下してきたのか、それとも必然的に落ちてきたのかで、犯人への対応が大きく変わるぜ……。


「行きましょう!」

「ああ……!」

「私達も行きますよ、マイル」

「了解〜」


俺たちは魔法の発生源であろう場所へと向かった。


---


「これは……⁉︎」


そこら中一帯は完全に更地と化していた。

焼け野原とかじゃ無い。更地。

所々焼け焦げた場所もあるが、何かにゴッソリと削り取られた様に森が禿げ上がっていたのだ。


「これは一体……!」


カイリも驚愕を隠せない様子で驚き慄いている。


ドゴォォン!


遠方から轟音が鳴り響く。


「行くぞ!」

「はい!」


俺たちはその音にすぐに反応し、駆け出した。


---


そこはまさしく戦場だった。

誰かと誰かが戦っている様だ。


「『獄炎流星(ヘルフレイムメテオ)』!」


何処かから声がしたかと思うと、極大の炎の隕石が次々と着弾する。


「うおおおおお!逃げろおおおお‼︎」

「きゃああああぁぁぁぁ!」

「危ないマイルっ!」

「か、カイリ〜っ!」


俺たちは間一髪のところで隕石を交わし切った。


この魔法は……。


「べ、ベルっ⁉︎ベルなのか⁉︎」

「そ、その声は……リュート様……?」


そう言うと、茂みからベルが姿を現した。小脇にアスタを抱えている。


「アスタ!無事だったか!」

「な、何とか死んでは無いっすけど……、ちょっとキツイっす……」

「あ、あの時手を離してごめんなさい!」


殆ど満身創痍な二人を見て祐奈は深々と頭を下げた。

実際自分があの時手を離さなければこうはならなかったと、自責の念に駆られているのだろう。


「き、気にしないでくださいっすよ……。こうして無事なんすから……」

「そんな事より、ここは危ない」

「あ、ああ……」


ベルにそう言われ、俺たちはすぐそばの物陰に避難した。


---


「一体何なんだ?アレ……」

「見たところ、魔族を狩っている様子。私たちを見るなり襲ってきた」

「何人くらいだ?敵の種族は?」


俺たちはまだ刺客の姿を見ていないのだ。

取り敢えず人数だけでも把握しておきたい。


「人数は確認したところ7、8人程度。もっといるかも」


そして、ベルはふぅ、と一息ついて言った。


「それと、種族は……人族」

「人間か……」


人間と戦うのは久しぶりだな……。

約5年前になるがカイル村の近くの森で戦ったのが最後だ。祐奈を計算に入れなければの話だが。


「敵は腕の立つ魔導士が多い。かなり辛い戦いになる」

「大丈夫ですよ!こっちには勇者と魔王が居るんですから!」


祐奈が元気良く言った。


「いや、人族の奴らに俺とお前が行動を共にしてるところを見られたくない。殺すのなら見られてもいいが、殺すつもりはないだろ?」

「え……まぁ、殺したくは無いですけど……」

「じゃあお前は留守番な」


俺は祐奈の頭にポンと手を乗せて言った。


「大丈夫だ。人間に遅れは取らねえよ。まぁ、これがフラグにならなきゃいいが……」

「私も行く」


ベルが身を乗り出した。

勿論ベルには来てもらうつもりだ。アスタと違って怪我は治ってるみたいだしな。

実際ベルとアスタは強いのだ。ベルも怪我人さえいなければ、あの程度の人間、容易に片付けることができる筈だ。

そして、どうやらアスタはここ数日の間、ベルを何度も庇って重傷を負ったらしい。それでもこれだけ傷が治ってるなら大したもんだ。


「私達も行きます」

「私も〜」


カイリとマイルも名乗りをあげる。


「いや、でも……危ないし……。俺にお前らを止める権利なんて無いけどさ、やっぱりここで待っててくれないか?」


俺は恩人に危ない目にあってほしくなかったのだ。

クジラから助けてくれた時、カイリは片手でクジラをぶっ飛ばしていた。

あの攻撃から推察するに、カイリは相当な手練れだ。そして、マイルも同程度の実力を持っている可能性は高い。

しかし、もしもの事があったらどうする?

人数は多いに越したことは無いが、それでも相手の方が多人数なのだ。

だったら出来るだけ懸案事項は排除して戦いたい。


「もう……。私達の事弱いと思ってます?」

「いいや、そんなこと無いさ」

「じゃあどうして……」

「カイリ〜。リュートさんはこう言ってるんだし〜、ちょっとお留守番しとこ〜?」

「…………」


そう言ってマイルはやんわりとカイリを黙らせた。


「悪いなマイル」

「怪我はしないようにね〜?」

「ああ、了解。祐奈!ここの守りは任せたぞ!」

「分かりました、任せといて下さい!」


よし、守りは頼りになるやつに任せたし、後は刺客をぶっ潰すだけだ。


「行くぞ、ベル」

「はい」


俺たち二人は森の奥地へと向かった。


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