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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
六章 帰還編
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薪斬り


翌日


俺はズキズキと痛む頭を押さえながら起き上がった。

疲れがたまっていたのか、今朝は目覚めが良く無い。

昨日はマイルとカイリは自室で寝て、俺たちは客間に布団を敷いて寝たのだ。

しかし、祐奈の寝相が想像を絶するほどに悪く、俺の布団に乱入してきた後、俺を布団から叩き出したのだ。

それに気づいたのは朝目覚めてからだったが。

俺の頭痛の原因はコレか……。

大体、間違いが起こらないように布団は距離を離したし、つい立まで立てたのに何故乱入してくるんだ?

俺は嘆息しながら祐奈の頭を蹴飛ばして言った。


「この馬鹿ヤロ!起きろ!」

「んにゅ……むにゃ……」

「むにゃ……じゃねえよ」


俺はさらに頭に一発入れた。


「うぐ……いひゃいです……」


祐奈は寝ぼけ眼で俺を非難するようにジッと見つめてくる。

しかし、俺には全く良心の呵責とか無いな。全く無い。驚くほど無い。


「何で俺の布団の中で寝てんだ」

「え……。あっ……。え……っ⁉︎」


何を言っているんだ?見たいな目で俺を見た後、自分の寝ている場所が俺の布団だとわかって恥ずかしくなったのだろう。

しかし、俺の顔見て「え……っ⁉︎」って言ったのは何だ?俺は何もしてないぞ。

この半年の間そういう事はずっと我慢しているのだ。そういう理由でもアクアとの再会が待ち遠しい。


「そ、その……。ごめんなさい」

「気にすんな」


俺はさっさと部屋から出て行った。

多分あの二人は起きてるんだろうな……。

そう思いながら居間に入ったのだが、予想に反してマイルだけがいた。

せっせと食卓の拭き掃除をしている。

居るのならカイリだろうと思っていたのだが。

マイルはどちらかというと起こされるまで寝ているアクアのようなタイプだと思っていた。

すると、マイルはこちらに気がついたのか、


「あ、おはよ〜」


と、ふわふわした満面の笑みを浮かべながら挨拶してきた。


「おう、おはよう。昨日はありがとな」

「いえいえ〜」


言いながらも掃除をする手を止めない。


「カイリは寝てんのか?」

「カイリは毎朝起きるの苦手なんだ〜。起こして〜っていつも言われるんだけど〜、あんな幸せそうな顔して寝てたら起こせないよ〜」


どうやら相当力の抜けた顔して寝てるらしい。俺のイメージとは真逆だな。

まぁ、そういう事なら俺は家主の意向には反対しないが。


「何か手伝える事とか無いか?」


俺は少し手持ち無沙汰になっていたので何か仕事が欲しかった。それに、二人に恩返しもしたい。


「じゃあ外で薪割りをお願いしても良い〜?」


マイルは拭き掃除を終えて水回りの掃除をし始めた。

すぐそばには綺麗に整頓されたピカピカの食器類が並んでいる。昨日の内に全部洗っておいたのか……。手際良いな。


「おう、任せてくれ」


俺はそんなマイルを尻目に外へと出た。

すぐ近くの切り株に斧が突き刺さっている。さらに横には積み重なった木が。

これを斧で割って薪にするんだな。

俺はトンと切り株に木を立てて、斧を振り下ろした。


『孫ぉ、お前下手じゃの〜』

「うっせ!」


うまいこと割れずに木っ端微塵になってしまった。力加減が難しいな……。


「あれ、何してるんです?」


その時、後ろから祐奈がやって来た。

どうやら準備万端のようだ。失くしたので鎧はつけていないが、しっかりと腰には剣をぶら下げている。


「薪割りだよ。お前出来るか?」

「やった事無いです」

「だよなぁ……」


どうする事もできないので斧を置いて切り株に置いた木をボンヤリと眺める。


「薪なんてこうすりゃ良いじゃないですか」


祐奈はそう言ったかと思うと剣をヒュッ!と振って木をバラバラにした。

良い感じに薪として使えるサイズになっている。


「す、すげぇ……」

「ふふん、ちょっとしたモンでしょ?」

「長いこと剣振ってるだけはあるなぁ」


そんな感じで俺はほぼ何もせずに薪割り(薪斬り)は祐奈がやりきってしまった。


「終わった〜?あれ、お仕事早いね〜」


その時、ちょうどマイルが窓から顔を出した。後ろには半分目を閉じているカイリの姿が。

起きたはいいが、まだ意識が覚醒していないらしいな。


「ご飯できたから入っておいで〜。薪はそこの箱の中に入れといてね〜」


そう言ってすぐそばにある箱を指差す。

中を覗くとそこには大量の薪が乱雑に入れられていた。此処こそ整理しろよ。

俺達はそこにガラガラと薪を入れ、家へと入っていった。


---


朝飯になったら流石に起こすらしく、家に戻るとカイリは既に起床していた。半分目を瞑っているが。


「おはよう、カイリ」

「あ、はい……。き、昨日はよく眠れましたか?」

「ああ、お陰様でな」


カイリは物凄く眠たそうにしていたが、俺への対応はかなりいつも通りっぽかった。

所々、意識がはっきりと覚醒していないのかどもってはいるが。

ちなみに爺さんには黙って貰っている。ジジイが喋ると説明がややこしいのだ。なにせ、自分でもこの爺さんが何で喋れるのか分かっていないのだから。


今日の朝飯はパンと肉とスープだった。

俺はこんなに朝飯らしい朝飯を食ったのは久し振りだった。

アクアは意外と家事万能なのだが、朝は低血圧気味なので基本的に朝飯は俺が担当しているのだ。

しかし、俺が担当すると料理はあまり俺の好みでは無い単純なものになってしまう。

旅をしている間は料理全般が俺の担当だったしな。

まぁ、リーシャと生活している間は交代制だったし、結婚してからはアクアが昼飯と晩飯を作ってくれる様になったが。


さて、ここで分かったことだ。

雰囲気は真逆なのだが、マイルは家事万能キャラだったのだ。もう俺は今後、見た目には惑わされないだろう。

アクアが家事万能キャラという時点で当時の俺は結構驚いたと言うのにここに来てまた似合わないキャラしたやつが出てきやがる。

対してカイリはポンコツだった。

基本的に毅然とした態度で決断力と行動力はあるが、生活力がほぼ皆無である。

コイツ、マイルが居なきゃ死ぬんじゃ無いか?


「おいひー♪」


祐奈が口にパンを含みながら感嘆の声を漏らした。ちゃんと飲み込んでから喋れよ。

しかし、昨日の飯も美味かったが、今日の朝飯も美味い。普通の飯にしか見えないのにな。


「そう〜?それは良かったよ〜」


マイルはもう既に食べ終わったらしく、ふわふわした笑みを浮かべながら皿洗いを開始していた。

カイリも食べ終わったら食器をマイルに渡しに行った。おれもさっさと食べて食器を渡す。


「ごちそうさん。すげえ美味かったわ」

「ふふふ、そうでしょうそうでしょう。何せマイルの料理ですからね」

「何でお前が自慢げなんだ」

「私の手柄は2人のもの、マイルの手柄は2人のもの。それが双子でしょう?」

「それって片方だけが優秀な時は只の理不尽じゃねえ?」

「なっ!わ、私だって家事とかは苦手ですけど……得意なこともあるんです!」

「そうかそうか」

「その言い方は、信じてませんね」


話していてわかったが、カイリはかなり負けず嫌いだな。

双子ってのは何かと比べられるからなぁ……。


そのとき、家の裏側でパチパチと火の手が上がっていることに俺たちは全く気がつかなかった。

ちょっと辛いのでペースを毎日更新から二日に一回更新に変更しようかと思ってます。でも、出来るだけ毎日更新にしたいと思ってます

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