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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
五章 ゲート編
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魔王の霊

少し投稿が遅れました


俺たちは村の教会(食堂)へと帰還した。

地下に避難していた人たちがわらわらと這い出てくる。

教会の地下は避難所になっており、200人程度なら余裕で収容出来る広さを誇る。

俺は取り敢えずこの人たちを助けられたことに安堵しながら一息ついた。


「しっかし、最近多いっすね〜。異形種(ヴァリアント)

「何かあった?」


ベルが短く俺に問いかけた。

やはり外で起こったことは話すべきだろう。俺もほとんど事情を飲み込めていないが、知っている限りのことは話すべきだ。


「外では今、ゲートが大量に発生しているんだ。大方、それに飲み込まれてこっちに何か良くないものが来たんじゃないか?」


ただ、俺のこの意見には少し穴がある。

外界から来たというのなら、何故俺たちが見たこともない生き物である異形種(ヴァリアント)がこの世界にいるのか。

異形種(ヴァリアント)はこの世界の固有の生き物と考えて間違い無いだろう。

だからこそ異形種(ヴァリアント)が大量発生している理由がわからないのだ。


「外でのゲート発生と異形種(ヴァリアント)の大量発生は同時期に起こっている出来事だ。無関係じゃないとは思うが……。すまん、俺にも詳しい事はよくわかんのだが……」


不意に、顎に手を当ててウンウン唸りながら考え込んでいた祐奈が立ち上がって言った。


「ねえ、外界から来た奴が異形種(ヴァリアント)に変身したんじゃないの?さっき戦った古龍種(ドラゴン)異形種(ヴァリアント)に変身してたし」


この世界に来たら変身する……?確かに考えられないことじゃあない。

だが、そうだとしたら何故俺たちが変身していないんだ?


「実は、まだ根拠はあるの。この世界来てから私一回も魔獣を見てない。私、もしかしたらって思ったの。異形種(ヴァリアント)の正体は魔獣何じゃないかなって……」


確かに……!この世界に来てから魔獣を一度も見ていない!

その説が真実だとしたら俺たちが変身しないのにフレイムが変身したのも頷ける。


「辻褄は合うっすね……。そうだとすれば、この世界そのものに魔獣を変身させる力があるのか、それとも誰か魔導士が人為的に魔獣を変身させているか……。おそらく前者ですが……いや、後者の訳が無いっすよね……」


その通りだ。というかもし後者だとしたら何が目的なんだ?世界征服か?

後者が真実だとして、どれだけ広範囲に魔法を仕掛けてるんだ?

そんな大規模な術式を組む魔力を持っているなら何故直接手を下さないんだ?

答えの見えない疑問ばかりが浮かんでくる。この説はほぼ却下だな。


「そういや、話は変わるけど『オーラ』って何の話だ?」

「やっぱり知らないんすか?『オーラ』のこと……。その様子じゃあ他の能力も知らないんすよね?」

「他の能力?」


何?俺にはまだ隠された力が?

と思ったが、よく考えたら俺の持ってる特殊な力は大体が龍種の血によるものなので、自前の能力なんてスタンダードな強化魔法とちょっと特殊な『ソウルイーター』だけだ。

俺は3年間修行して強化魔法を極めたと思ってたんだけどなぁ……上には上がいるってやつだな。百とか千とか頭おかしいだろ。


「魔族の王の血筋にのみ伝わる三つの能力です『魂喰(ソウルイーター)』、『絶対不侵圏(アブソリュートライン)』、『魔力反射(マジックカウンター)』。この三つの能力の発現が魔王になることの条件とされています」

「マジですか」


成る程な。つまり、俺は『ソウルイーター』しか使えない状態で魔王になるとか言ってたのか。超恥ずかしいわ。

まぁ、知らなかったのだから仕方が無いと言えば仕方が無いのだが、それでも恥ずかしい物は恥ずかしいのだ。


「でも、魔王の血筋にのみ伝わるって事はアスタも使えないだろうし、どうやって覚えりゃいいんだ?」

「はい、そこでれっきとした師匠がいるっすよ!ついて来てください!」


そう言ってアスタは村の奥の方へと向かって歩き始めた。俺はどこに行くのか分からなかったが、着いて行く。

歩きながらアスタはぶらぶらと手を動かし、時たまブルッと何かに脅えるように身体を震わせていた。物凄い嫌な予感がする。


---


「ここっす」


ついた場所は墓地のような場所だった。


「墓地……だよな?」

「はい。目的地はもうちょい奥なんですけどね」


そういって案内された場所は墓地の少し奥まった場所にある小屋だった。

びっしりと苔が生えており湿気の多い匂いがする。

戸を開けるとキイィ……と建てつけの悪い耳障りな高音が響いた。

アスタが中へと入り、言った。


「ネルヴァ様、次期魔王のリュート様です。お会いになってくれませんか?」

『何?魔王?次期魔王ってお前、儂の息子はもう魔王じゃぞ?』

「ネルヴァ様のお孫さんです」

『孫⁉︎』


俺はアスタが何と喋っているのか皆目見当もつかなかった。

アスタは何もいない場所に向かって独り言を言っているようにしか見えないのに、虚空から返事が返ってきているのだ。

話の流れからして俺のじいちゃんなのか……?親父も見たこと無いし、勿論祖父母なんて見た事どころか聞いたことすら無いぞ。


『孫かぁああ‼︎ウヒョォー!テンション上がってきたぁああ‼︎』


凄いはっちゃけた半透明のジジイが棺桶からスーッと出てきた。軽くホラーな光景である。

え、何?この人。幽霊?


『お前か⁉︎お前が孫なんか⁉︎そうなんか⁉︎』

「ちょ、ネルヴァ様……落ち着いて下さいっす……」

『これが落ち着いてられっかぁぁああ‼︎』


爺さんは俺の周囲をフヨフヨぐるぐるとしながらテンションアゲアゲで叫んでいる。

ここ墓地なんですけど。

俺は心霊現象にビビる前に爺さんの剣幕にビビってしまった。


『名前は?名前言うてみい!』

「リュ、リュート・エステリオです。一応魔王見習いって感じです」

『そっかそっか!孫か!』


人の話聞いてねえなこのジジイ。


「ネルヴァ様は結構前に死んでるんですけど。魔力が強く残ってた棺桶に取り憑いてるんです。この棺桶がある墓地の中だけなら自由に行動が可能です」


地縛霊みたいなもんか。俺の爺さんが地縛霊とは……。

一応この人も昔は魔王だったということだし、強いんだろうけど。

アスタはジジイに向き直り、頭を下げた。


「で、お願いっす!ネルヴァ様!リュート様に三大奥義を教えてあげて欲しいっす!」

『うん?いいよー』

「本当に!この通りっす!お願い……アラ?」

『いや、可愛い孫の前に爺ちゃん働けばいいんじゃろ?しゃーないのぉ、孫よ!儂は厳しいぞ!』


軽っ!

この爺さん、孫に相当に甘いな。

ぬるい修行じゃ意味ないぞ?大丈夫なのか?

俺は少し心配になったが、目の前のできることをやるしかないのだ。

取り敢えずこの爺さんがボケてないっぽいのが分かっただけでも良かったんじゃないか?

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