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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
三章 獣人界編
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リーシャとリュート


エルフのリーシャは亜人界の森を一人で歩いていた。

リーシャはエルフと言っても正確には純粋なエルフではなく、魔族とエルフのハーフだが。

リーシャは生まれた時から父親は居らず、父親の故郷である魔界に母親と共に住んでいた。

だが、ある日、病気がちだった母が死に、魔王城が崩壊した。

それを契機に、リーシャは母親の故郷である妖精界へと行こうと思ったのだ。

リーシャは生まれつきエルフの母譲りの高い魔力適正値、魔族の父譲りの高い身体能力を併せ持っていた。

リーシャの実力を持ってすれば、魔界から亜人界への旅も一人で余裕だった。


もう直ぐ竜人界と亜人界の界境に差し掛かる、という所で森の中から叫び声が聞こえた。

小さな男の子の声だ。

この森にはブラッドウルフという狼魔獣が群れで生息しており、非常に危険な地帯なのだ。

普段なら放っておくところなのだが、何故かリーシャは声のした方向へと向かった。


声の主は相当奥地にいるらしく、なかなか見つからない。

もし生きていたら治療を施す必要がある。生きているわけが無いが……。

リーシャは特に子供が好きというわけでは無い。別段嫌いでは無いが。

だが、生きているか死んでいるかもわからないような子供に数日を費やす女性ではなかった。

だが、リーシャは何日も声の主を探し続けた。特に理由はなかった。そうしなければならない気がしたのだ。


そして、見つけた。


その少年は開けた場所に横たわり、こちらを見つめていた。まるでリーシャが来ることがわかっていたかのように。


---


俺が見つめていた先から出て来たのは、年の頃は高校生くらいの、白い髪に浅黒い肌の女の子だった。そして何より目を引くのは顔の横から長く飛び出した耳だ。

褐色エルフというやつだな。

取り敢えず、狼じゃなくてよかった。


「な、い、生きているの⁉︎」


その子は驚いたように俺に駆け寄ってきた。


「け、怪我ひとつ無い……奇跡だわ……」


その子は俺の身体をまじまじと見つめ言った。


「あ、私はリーシャ。見ての通りエルフよ。あなたは?」

「俺はリュート、半魔族。実は動けなくて困ってたんだ」

「いいわ、界境まで連れて行ってあげる」


リーシャは俺をお姫様抱っこで抱き抱えて歩き出した。

抱き抱えられて気付いた。リーシャは超巨乳なのだ!

今まで出会った女性はみんな大体貧乳だったが、ここで巨乳キャラの登場か。

リーシャの巨乳が俺の顔にふよふよと当たっている。実に幸せな感触だ。


歩きながらリーシャは俺に色々ものを尋ねた。


「どうしてあんなところに倒れていたの?」


正直に全てを話そうか迷ったが、行きずりの人に話しても信じてもらえるか分からないし、適当に話をでっち上げることにした。本当のことも混ぜるけど。


「実は、俺は父さんと妹と3人で竜人界に行く予定だったんだけど、途中で変な人に襲われて、父さんが殺されて妹は奴隷にされたんだ」

「な、何ですって⁉︎」

「俺は父さんに隠されて怪我をしなかったんだ」

「そうだったの……辛かったわね……」


そう言ってリーシャは俺を抱きしめた。巨乳が俺の身体を包み込んだ。ヤバイ。


そうやってリーシャと行動を共にして数日たち、竜人界との界境へと到着した。

俺たちはそれまでの間今までの身の上話をしていた。

少しずつ本当のことを混ぜたでっち上げ話をリーシャは涙しながら聞いていた。

コイツ涙もろいな。


「実は私も半魔族なのよ」

「魔族とエルフのハーフなの?」

「そうそう、あなたは?」

「俺は人間と魔族のハーフ」

「私はね、今からお母さんの故郷の妖精界に行くつもりだったの」

「つもり?」


「私、君について行く事にしたわ」


「えええ⁉︎」


リーシャは微笑みながら続けた。


「リュートと話しててあなたが家族を本当に大切にしているのが分かった。なんていうか、あなたの家族に会いたくなったの。だから、手伝わせて?こう見えて私強いんだから」


これは願っても無い話だ。俺一人じゃそもそも生きるのが困難だ。荷物も何もかも持っていないし。

だが、リーシャと行動を共にするのも問題だ。俺はリーシャに嘘をついているのだ。現実の深刻さは俺のついたウソの比ではない。


「ちょ、ちょっと待って……」


話さなければならない。このままではリーシャに命の危険があることを伝えられない。


「じ、実は……」


俺は結局全てを話した。


---


「えええ‼︎あなた、魔王様だったの⁉︎」

「信じてもらえないかもしれないけど……。だ、だから、危ないし、その……」

「ううん、信じる!というか尚更行くわ!私がいた方が助かるでしょう?」


なんかあっさりと信じられた。


「そ、そうだけど……」


不安は他にもある。一緒に生活するのはいいが、毎日横にこんな巨乳があったら俺の理性もヤバイ。

俺はまだ10歳だが、俺たち魔族は身体の成熟速度も速いのだ。

あと数年で完全に大人と同じ身体になる。

この様子じゃあリーシャは完全に俺のことをガキだと思ってるし。見た目はガキだけども。


「じゃあ決まり!まず、ここから近い奴隷市場をあたろう。何か手がかりがあるかもしれない」

「わ、分かった。行こう」


俺はなし崩し的にリーシャと共にアクアを探す事になった。


今日は寝坊して今電車の中で死ぬほど焦ってます

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