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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
三章 獣人界編
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家造り


俺たちはアギレラの家づくりの手伝いを始めた。

別に手伝ってはいけないなんて掟はないらしいので、アギレラに協力することにした。

しかし、妻は手伝ってはいけないらしく、フェリアだけは見学だ。

家づくりは何ヶ月もかかる大仕事らしいが俺たちも手伝うし、予定よりも少しは早く終わるだろう。

というか、そこらの馬の何倍も馬力のあるフレイムが手伝ってくれると言うだけで、かなり作業の効率は良いハズだ。


ある日


俺はフレイムと二人で木を切りに行った。

材料の調達はフレイムともう一人誰かが行く事になっているのだ。

フレイムがいると荷物の運搬が楽だからだ。

しかし、フレイムだけだと木をうまく切ることができないので付き添いが必要なのだ。


『家なんて洞穴で良いではないか』

「そりゃあフレイムはそれで良いかもしれないけどなぁ。ホラ、俺ら人間だしー」

『我を見下しとんのか』

「混ざってる混ざってる」


そう言えばこうしてフレイムと二人きりで会話するのは久し振りだな。いつもなら隣にアクアが居るからか。


『というかお前はよく自分のことを「人間」と言うが、それはクセか?お前は魔族の王だろう?』

「あ、いや、まぁ、クセみたいなモンかなぁ」


俺は元々人間だしな。約10年前まで俺は日本で普通に社畜やってたからな。


『魔王が人間を自称するなど、笑えんぞ』

「でも俺は半分人間だし」

『何、そうだったのか』

「知らなかったのかよ」

『んなモン知るか、聞いてへんわ』

「混ざって……いや、混ざってなかった」


よく考えたら俺が半分人間って設定誰も知らないんじゃないだろうな。


また別の日


その日俺はアギレラの作業を手伝っていた。

アギレラは俺の仕事ぶりに感心したように言った。


「お前は力があるし手先が器用だから、助かる」

「力があるのは強化魔法使ってるからだけどね」


俺はトンカチで釘をカンカン打ちながら答えた。

俺は重い物を運ぶほどの膂力がまだ無いので、大工仕事中は強化魔法を微力だが使っているのだ。

アギレラは現在、屋根の仕上げに取り掛かっている。


「ねぇアギレラ。俺が半分人間って知ってる?」

「何、お前半魔族だったのか⁉︎」


ほらやっぱり知らない。


また別の日


俺たちはみんなで一緒にフェリアの手料理をつついていた。

フェリアの料理は格別に美味い。肉が一切入っていないところ以外は文句のつけようが無い。

肉を入れて欲しい。


「美味しい……。フェリア、今度料理教えて……?」

「なんだ、アクアも花嫁修業か?」


フェリアは嬉しそうに笑いながらアクアの頭を撫でた。

アクアは犬みたいに気持ち良さそうに目を細めた。


「花嫁修業?」

「だー!余計な事をアクアに吹き込むな!」

「良いじゃないか、どうせお前が貰うんだろう?」

「別にそうと決まったわけじゃあ……」

「なんだ、貰う気満々か」

「もう良いだろ!この話題は終わり!」


俺は無理やりこの話題をシャットアウトした。

フェリアの作った精進料理みたいな飯を食いながら俺は別の話題を切り出した。


「そうだ、フェリアとアクアにも聞いとこうと思ったんだけどさ、俺が半分人間って知ってる?」

「知らないな」

「知ってる」

「やっぱり知らない……あれ、アクアは知ってんのか?」

「うん」


まぁ、アクアとはずっと一緒に居るし、言ったかも知れないな。

ふと横に視線をずらすと出入り口からアギレラの母親とシエルがニヤニヤしながら俺たちを覗いていた。


「良いわね〜、家族団欒」

「ちっ、出て行け!馬鹿女ども!」


アギレラがいきり立って二人を追い出した。恥ずかしがり屋さんめ。


そして、家が完成した。


完成までにかかった期間は約5ヶ月。

本当はもっと早く終わる予定だったのだが、俺もアギレラも凝り性な所があったので何かと手を加えまくって終わらなかったのだ。


「やっと完成か……長かった……」

「終わった〜。疲れたもう働きたくない」

「立派な家だ……!」


アギレラと俺とフェリアは感無量だった。


『脆そうな家だ』

「頑張った割に小さいね……」


フレイムとアクアがボソッと呟いた。


「そこ!感動に水を差すな!」


なんだか台無しだった。


「まぁまぁ、中に入るぞ……」


取り敢えずアギレラに言われて俺たちは中に入った。


「うおお……」


色んなところに思い出がある。

ここの工事はほとんど俺とアギレラだけでやってたからな。

家をぶち抜いているデカイ柱を撫でながらアギレラが呟いた。


「ふふ、なかなかの出来だ……」


構造は二階建てで、一階に生活スペースが集中しており、二回は寝室のみという簡単な作りになっている。

俺はハシゴで二階に上がって寝室を眺めた。


「ここでアギレラとフェリアはギシギシヤるのか……」


俺はちゃんと気を利かしてベットがギシギシいうようにスプリングをきかせてみたのだ。我ながら良い仕事をした。


「このクソガキが!お前はその事しか考えてないのか!」


聞こえていたらしく、アギレラに頭を叩かれる。


「でも初夜ってどうしたら良いのか悩まない?ヤりたいけどそればっかりだと相手に失礼だし……」


コレは割と真面目な話だ。


「うむ……そこが難しいところだ」

「アギレラ、聞こえているんだが……?」


後ろからフェリアがハシゴを登ってきた。アカンで旦那ぁ、聞かれてもうたでぇ。


「なっ、いや、その、別に、そういう訳では……」


無理無理、誤魔化せないから。俺のせいにしても時すでに遅し。


「わ、私は別に良いぞ……?そ、その……いつでも……」


フェリアが赤面しながら上目遣いでそう言った。

あ、これはやばい。アギレラの理性飛ぶんじゃないだろうか。


「リュート、もう夜も遅い。俺たちはここで寝るからお前はお袋の家に戻れ」

「アッハイ」


アギレラが俺の背中をグイグイ押してくる。茶化せる雰囲気じゃなかったので、俺は素直にアギレラの言うことに従った。

その日はシエルとアクアと三人で寝た。

途中でアギレラ達を覗きに行こうかと思ったが、辞めておいた。


次の日にフェリアが妙にツヤツヤしてて、アギレラがげっそりしてた話は割愛する事にしよう。


まぁ、そんな感じで俺たちはすっかり長居してしまっていた。

アギレラとフェリアの子供はどんな子なんでしょう。犬耳エルフかな?

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