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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
三章 獣人界編
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カイル村


俺たちはサナリアの片隅にあるアギレラの故郷であるカイル村へと到着した。

獣人族は亜人界だけでなく様々な場所に数十人〜数百人程の規模で集団生活をするらしい。

亜人界に街が少ない主な理由がそれらしい。


村の人々は俺たちを歓迎してくれた。人間を嫌う獣人族も多いんじゃないかと思っていたのだが、よく考えたら俺は人族ではなく魔族だった。忘れてた。

フレイムは怖がられるかと思ったが、獣人族は魔獣を怖がる様な種族では無いので割と直ぐに打ち解けていた。

それでも最初は怖がられていたが。

アギレラはフェリアと共にアギレラの両親に会いに行った。多分結婚の報告だろう。


その間俺とアクアとフレイムは豪華な肉料理を食わせて貰っていた。

実を言うと美味い肉料理はかなり久しぶりなのだ。

そりゃあ肉料理自体はずっと食べていたが、それが美味いかと言えば答えは否だ。

魔王城に住んでいた時代は美味い肉料理もよく食べていたが、それはメイドの料理が上手かったからだ。

旅を始めてからは自分で料理をせねばならなくなった。そして、俺はそこまで料理が上手く無い。味付けも下手だった。だから、肉料理は基本的に味気無いし、固いしで散々だったのだ。

しかも周囲の人間はこの世界の味に慣れてしまっている舌馬鹿ばかりで、唯一マシと言ってもいいフェリアはエルフなので肉を食わないと来たもんだ。

つまり、俺にとって美味い肉料理はご無沙汰なのだ。


「おいひいね……ひゅーとははべないの?」


アクアは口一杯に肉を頬張っている。


「食べる食べる」

『む……なんと美味な肉だ!これでは今までリュートに食わされていた肉はゴミだな!』

「お前、今度から料理しないぞ」

『む……それは困るな』


そんなこんなしているとアギレラがフェリアの手を引いて戻ってきた。


「なんだ、もう始めているのか」

「あー、ごめんごめん。肉が美味すぎて忘れてた」

「薄情なガキだな」


アギレラは笑いながら俺の隣に座った。

フェリアはアギレラの隣に座る。

アギレラは改まった様子で話し始めた。


「お前には感謝している。お前がいなければ俺は今でもあの馬鹿領主の元で奴隷をやっていただろう。その内フェリアも奴に手篭めにされていたかもしれない。お前には感謝してもしきれんな」

「何だよ、辞めろよ。俺なんか何にもしてないのに……」


俺は本当に何もしていない。あの時はフレイムが居なければ俺は死んでいただろう。


「いや、お前がいなければ俺は今ここには居なかった。それだけは分かる。

お前は不思議な奴だ……ガキの癖にどこか大人びてて、強くて、でもどこかまだガキっぽいところがある」


あの、俺はとっくに大人なんですけど……。

アギレラは酒を一気にあおった。


「お前達とはここでお別れだ。だから、今日は目一杯付き合え」


そう言って飲みかけの酒瓶を俺の前にドンッと置いた。

飲めということか。

しかし、去年お酒を飲んだところとても苦くて不味かったのだ。今の舌には合わないので、あまり飲みたくはない。

というか9歳児に酒を飲ますなよ。酔ってるな?

でも、今日はアギレラとフェリアの祝いの日だ。今日くらい付き合うべきだろうな。

そう思って俺は酒をグイッと飲んでみた。

一瞬で全身に酒が回ったのか、ふらふらとした酩酊感に襲われる。

視界がグラグラと揺れ始めた。


「なんだ、もう酔ったのか……?」


アギレラがそんな事を言っているのが遠くの方から聞こえる感覚がした。

俺は次の瞬間には気絶して床に寝転んでいた。


---


「起きて、リュート……起きて」

「んん……う〜ん」


俺はアクアに揺すられて目を覚ました。

窓の外を見るともう既に暗くなり始めていた。

あの後アギレラが部屋まで運んでくれたらしい。

ここはアギレラの家だそうだ。

この村に住む獣人族は結婚する時に自分で家を作るらしい。

その為、アギレラは宴会が終わった後、せっせと家を作っているらしい。


「あら、起きた?」


部屋の入り口から頭に狼の耳を生やした女性が顔を出した。

手にもっているお盆には木のコップに入った水が載っている。


「全くあのバカは……こんな小さい子に酒飲ましたのか……。ごめんね、後でキツく言っとくから」


そう言って女性は俺に水を差し出してきた。


「ど、どうも」


俺は水をすぐに飲み干した。キンキンに冷えてて美味しかった。


「私はシエル。アギレラの姉です。よろしく、リュート」

「よ、よろしくお願いしますシエルさん」

「そんなに固くならないで。そっちの子は彼女?」

「か、彼女じゃ無いです!」


なんて事を聞いて来るんだこの人は!


「私はアクア……。リュートの許嫁」

「お前も何てこと言うんだ!」

「アッハッハ!許嫁か!良いねぇ良いねぇ!」

「良い」


なんかこの二人は波長が合っているのだろうか。

なんだか似た匂いがするんですが。


その後二人は恋愛話に花を咲かせ始めた。今すぐ退室したい。


「10年以上前に居なくなった弟が突然帰ってきたと思ったら嫁を連れてくるんだから私は驚いちゃったよ全く」

「私も四年後にはリュートのお嫁さん」


アクアは澄まし顔でそんなことを言い出す。


「そりゃあ良かったねえ、この子の事がそんなに好きなのかい」

「好き」

「どこが?いつから?」

「前に私を家族だって言ってくれた時。優しいとことか強いとことか好き」


ちょ、もうやめて下さい!コレなんて公開処刑⁉︎

目の前で女の子に好き好き言われるのは悪い気はしない。というか嬉しいのだが、人前で言われるのは恥ずかしいのだ。

多分一対一で言われても死ぬほど恥ずかしいと思うが。

てか、アギレラは結婚の報告に行った時このお姉さんに散々弄られたんだろうな……。

結局俺は夜遅くになるまでずっとシエルとアクアの話を聞き続けたのだった。


---


翌朝


俺が目をさますと隣に何だか柔らかい感覚が。俺はその柔らかいものをふよふよと揉んでいた。

ちょっと待て、ラブコメのテンプレだと今俺が触っているのは……。

俺は微睡んでいた意識を覚醒させ、隣を凝視した。俺の隣でアクアが寝ていた。アクアの隣ではシエルがベッドに突っ伏して寝ている。

そして俺はアクアの少しずつ成長している胸を揉みしだいていた。

昔より格段に大きくなっている。

アクアは「ん……んん……あふ……」とかちょっとエロい声を出して俺の方に寝返りを打ってきた。

俺はすぐにアクアの胸から手を離そうとしたが、目の前に女の子の寝顔があるので心臓がバクバクしてうまく手が動かない。

アクアを起こさ無いようにそーっと手を離して反対側を向こうとしたらアクアに身体をがっちりとホールドされた。

ヤバイ、何がヤバイってムスコがヤバイ。今立ち上がるのはマズイ。

俺が首にかかっているアクアの手を解いて、定位置に戻そうとしてると、


「んん……ん、リュート?」


アクアが目を覚ました。

その時、俺はアクアの手を元の位置に戻そうと右手をアクアの左手に重ねていた。

簡単に言うと床ドンみたいな状態。


「いや、コレは違っ……」

「ん」


そう言ってアクアは俺の首に腕を絡めながらまた寝てしまった。

俺は動けない。


「んん〜、よく寝た〜」


俺が一人で騒いでいたからか、シエルが伸びをしながら起き上がった。


「ん?」


目と目があう。


「ンフフ、頑張れ、男子!」

「ちょ、助けてえええ!」


シエルは鼻歌を歌いながら行ってしまった。


結局俺はアクアかわちゃんと目覚めるまでずっとその体制を維持し続けた。

エルフはベジタリアンという設定です

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