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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
二章 魔界編
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エルフのフェリア


俺たちはエルフが何するかわからないので取り敢えず縛った。

俺が縛ったら趣味が出る可能性があるので、禁欲的なジェイドにやってもらった。

そして、気が付いたエルフの第一声がこちら。


「くっ、殺せ……‼︎」

「何でくっころなんだよ……俺らはオークか」

「この様な辱めを……だが、私は絶対に屈しない!」

「いやいや、何もしないから。そもそも辱めてないから。というか服着せてるじゃん」

「やめろ!後悔するぞ……!」

「話が通じない」


服は着せてるのだ。俺のやつじゃ小さかったのでジェイドの服だが。

このエルフ、いやエロフ、話が通じない。脳内お花畑ですかそうですか。

なんでこのエロフは女騎士みたいなこと言ってるんだ?何もしてないじゃん。


「何もしないって言ってるだろ」

「貴様は私の服を剥ぎ取ったじゃないか!」

「……リュート……剥ぎ取ったの……?」

「剥ぎ取って無いわ!人聞きの悪い!」


大体、俺は8歳児だぞ。忘れがちだけども。

このエロフはどう考えても高校生か大学生くらいの年齢だ。

そもそもあれは不幸な事故だ。うん、事故だ。


「ところでさっき見ちまったんだが……腹にあるそいつぁ……奴隷紋かい?」


不意にジェイドがすまなさそうに切り出した。

エロフは目を逸らしながらも答えた。それは肯定を意味する言葉だった。


「だったらどうしたというのだ……」

「主人に命令されたのか?」

「私が口を割れるとでも……?」

「フッ……奴隷が口を割る訳が無えな」

「え、どういうこと?」

「奴隷は主人に不都合なことは喋らねえし、不利益になる事はしねえようになってんだ。それを無理矢理強制させるのがこの奴隷紋ってわけだ」


そう言ってジェイドはエロフの腹の辺りを指差した。

成る程……奴隷制度のない国で育った俺はそもそも奴隷がどういう存在なのかも知らないのだ。

でも、奴隷紋とはまた魔法的なワードが出てきたな。そんなもんは地球には無いぞ。


「……この奴隷紋って、削ったり焼いたりしたら消えるの?」

「さぁな、でも兄ちゃん物騒なこと考えるな……」

「ねぇ、奴隷って楽しい?」

「楽しい訳があるか。私たちは既に人間では無いのだ。家畜のような扱いを受け、時には娼婦のような扱いを受け、時には兵士のような扱いを受ける。そんな日々に希望など無い」


エロフはそう言いながらも虚ろな目をしている。俺は服の袖をまくりながらエロフに近付いた。


「じゃあ……多少痛くても我慢できるよな?」

「おい、兄ちゃん……本気でやる気かよ……?」

「やるよ……この爆弾を作ったやつの話も聞きたいし。で、我慢できるよな?っていうか我慢しろ」


俺は有無を言わさない調子でいった。


「『炎熱掌(フレアハンド)』」


俺は魔法で熱した手をエロフの腹の奴隷紋に押し付けた。


「くっ……あ……あぅう……ぐぁぁあっ……‼︎」


エロフは我慢していたが、声を堪えきれない様子で叫び始めた。

よくここまで我慢出来るものだ、俺なら無理だぞ。


「アクア……頼む」

「『治療魔法(ヒーリング)』……」

「はぁ……はぁ……うっ……」


エロフの腹は奴隷紋ごと焼け爛れていた。直ぐにアクアが腹の火傷を治す。


「消えてる……やっぱり燃えるのか……」

「奴隷紋はインクで書かれてるからな、熱で消えるんじゃねえか?」

「成る程ね……それで、エロフちゃん……喋ってくれるよね?僕は恩人だよ?」

「それが恩人のセリフか?お前は私の腹を燃やしたからチャラだ。それと、私はエロフじゃ無いぞ、フェリアだ」

「おっけ、フェリア。僕はリュート、君の命の恩人さ」

「恩着せがましい恩人だ……」


そう言いながらもフェリアは楽しそうに微笑んでいた。さっにまでくっころしてた奴には到底見えない。

コイツ割と痛みは我慢出来るタイプか。


---


「それで、フェリアの主人は誰なんだ?」

「アストレア領主、ベルナ・ベルグスだ」

「何だいそいつぁ……?知らねえな」


ジェイドも知らないらしい。ジェイドが知らない間に領主が変わったのかな?


「それはいいとして、何でそいつが俺達を狙うんだろ?」

『考えられるのは我か……』

「それって、ドラゴンが欲しいってこと?」

「その通りだ。奴は収集癖があってな……どんな種族の奴隷であろうとコレクトせずにはいられないのだ……私の知る種族で居ないのは古龍種(ドラゴン)くらいだったな……」

「マジでか……」

「しかも人型の奴隷は皆女性で、娼婦の真似事までさせられる始末。身籠ったものも何人もいる」


成る程……でも奴隷の使い方としてはそれが普通なんだろうな……。俺もエロいことした……おっと、えーと、けしからんな。


「エロ……じゃない、フェリアは?領主に抱かれたりしなかったの?」

「私は魔力、暗殺技術共にその辺の兵士よりも高かったからな、そんなことせずに済んだ。断じて胸が小さいからでは無い」


気にしてるんだ……触れないでおこう。

抱かれなかったら抱かれなかったで女のプライドとやらが傷つくのだろう。


『しかし、狙われてるとすれば面倒だな。既にエルフがこちらの手に落ちているのは奴も気付いているのでは無いか?』

「だとすれば早めに仕掛けるのが吉ってもんかな?」

「奴隷の女の子を無理矢理なんて許せない。クズは死ぬべき」

「アクアさん、突然の流暢な毒舌マジ怖いです」

「保護者としては止めるべきなんだろうけどなぁ……コレ。無駄なんだろうなぁ」

「それならば私も力添えをさせて貰うぞ。友人達を助けねば」

『目障りな人間は須らく排除だ』

「……やっちゃえフーちゃん」

「お前ら加減しろよ?殺すなよ?」

「兄ちゃん、お前もだかんな、それ」


そんなこんなで俺たちは団結して領主の家に殴り込みをかけることにした。

向こうの目的は古龍種(フレイム)だ。下手するとロリ魔族のアクアも狙われる可能性がある。アクアは身内贔屓に見ても美少女だからな。

こちらの目的は奴隷の解放とフレイムを狙われるとウザいので敵の壊滅。

簡単だね、何せこちらにはフレイムが居るのだから。


「お前達、油断はするなよ?屋敷には様々な種族の奴隷が居るのだぞ?全員が高い戦闘能力を持っている」

「わかってるわかってる」


俺は油断していた。

しかし、本当に様々な種族の奴隷がいる場合はヤバイということには終ぞ気づかなかった。

くっころがしたかっただけです

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