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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
二章 魔界編
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狼と転送魔法陣


その日の夜はフレイムが見張りを買って出てくれたので俺たちは就寝していた。

しかし、俺は眠れなかった。寝てる間に襲われるのは軽くトラウマなのだ。


『暇だな……』

「俺も起きとこうか?」

『お主は寝とれ』

「まぁ、こないしな……」


来ないのだ。一向に。

奇襲をするのなら夜襲が1番だ。なのに狼どころかネズミ一匹出てこない。


『奴ら……何故来んのだ……』

「夜は動けない……とか……?」

『そんな使い魔がおる訳無かろう。だとすれば奴ら……使い魔とちゃうんか?』

「混ざってる混ざってる」


使い魔の事は良く知らないが、常識的な使い魔の動きでは無いらしい。


『まず、使い魔があんな大量に出てくる事自体おかしい……』

「じゃあ使い魔じゃないんじゃないの?」

『む……そうだな。我の思い違いかも知れんな……』


その日の夜は結局、襲撃は無かった。


そして次の日。

また昼間から襲撃があった。


「な、何……?コイツら……」

「昨日話しただろ、例の狼だよ」

『心配はいらぬ。すぐに全員消し去ってくれるわ』


相変わらず頼もしいドラゴンだ。ついでに魔法陣も燃やし尽くしといてくれ。

今回は心なしか数が多いな……なんていうか三方向からどんどん狼が襲ってくる。


「しっかしどうなってんだいこりゃぁ……昨日より数が増えてねえか?」

「魔法陣そのものが増えてるんじゃ無いかな……多方向から湧いてきてる」

『その様だ……小僧、手分けするぞ。我が右と中央をやる、お主は左をやれ』

「小僧って……」

『早くしろ』

「はいはい、了解っと」


俺は適当に返事しながら戦闘態勢に入る。


強化魔法(ブースト)‼︎」


俺はすぐに自分に強化魔法をかけて狼の首をはねていった。今となっては強化魔法もこなれてきたのかこの程度の仕事は容易くこなせる。

そういえばギースにもらった杖、殆ど使ってないな……。正直いって近接戦闘には邪魔だから荷物の中にしまっているのだ。本当にごめんなさい。

振り向くともうフレイムは仕事を終わらせたらしい。流石は古の龍種を自称するだけはある。


「俺も急がないとな……」


俺は狼の首を切り落としまくって、ようやく魔法陣まで到達した。


豪炎弾(ブレイズボール)!」


俺は4級魔法の豪炎弾で魔法陣を一気に焼き払った。


「兄ちゃん!危ねえ!」

「ッ⁉︎」


背後から殺気がリュートを襲った。

背後からフードを深くかぶった男がダガーを持って切りかかってきたのだ。しかも恐ろしく無駄のない動作だ。人を殺す事に特化した動きをしている。

瞬時に反撃体制を取ろうとするも、すでに首筋に刃が迫っていた。

あっ……死んだかも……。

俺は一瞬、死を覚悟した。

強化された感覚が首筋に刃を向けられていることを悟ったのだ。どう考えても避けられない。


「リュート……!」

「兄ちゃん!」

『小僧!』


その時、リュートの左手から緑色の光が輝いた。


「こ、これは……」


それは、エルザがリュートの誕生日に渡した魔石の指輪だった。


『これはリュート様の身を守ってくれるものですから肌身離さず持っていてくださいね?』


エルザの言葉がリュートの頭をよぎった。


「……ふふっ……、ありがとう……エルザ……肌身離さず持っていて良かったよ……」


実際、エルザのくれたものだというだけで、リュートは頼まれても外してやるつもりなど無かったが。

魔石の光によって必殺の一撃を防御された刺客は体制を崩した。リュートはそれを見逃さない。


「そこだっ!」


研ぎ澄まされた一撃が刺客の体を一閃した。


「くっ!」


呻き声を上げながら木々をなぎ倒しながら吹き飛んでいく。

しかし、刺客は吹き飛びながらも態勢を立て直し、一瞬にしてその場から忽然と消えた。


「なっ⁉︎」

『消えた……だと……?』

「一体どういう事だ……?」

『まさか……そういう事か!』

「何か分かったのか?」

『ああ……』


フレイムが得心した様に羽を震わせた。

何だよ勿体振るなよ。

するとアクアがリュートに駆け寄ってきた。


「大丈夫……?」

「ああ、大丈夫大丈夫。擦り傷一つ負ってないぜ」

エルザの魔石のおかげでリュートの体には傷一つ無い。魔石はもしもの時のためにアクアにも持たせていた方がいいな……。


「念のため治しとく……」

「いいってば、心配性だなお前」

「治す」

「はいはい」


有無を言わせない様子だ。こうなったらアクアは話を聞かないので仕方が無い。治療されておこう。


一通りアクアが満足するまで治療魔法をかけられた後、飯の用意をしながらフレイムの仮説を聞く事にした。ちなみに今日の献立はブラッドウルフの肉オンリーである。臭みが酷かったので酒をぶっかけて焼いてみた。


「で、何か分かったんだろ?おしえてくれよ」

『よかろう、まず、奴らは使い魔などでは無い』

「でもよ、ここらにはブラッドウルフは一匹たりとも住んじゃ居ねえぜ?それはどう説明するんだい?」


ここらの地理に詳しいジェイドが突っ込む。


『まあ聞け。我は使い魔にしては数が多いと言ったな?やはり数が多過ぎるのだ。

我の仮説が正しければここらにブラッドウルフが居ないにも関わらずあれだけの数に襲われた事にも説明がつく。

全てはあの人間が忽然と消えた事によって得心した。

奴が使っていたのは召喚魔法ではなく……転送魔法だったのだ』

「転送魔法?何それ」

『転送魔法とは遠く離れた魔法陣と魔法陣を繋ぐ魔法だ。大量の狼がここに現れたのも、奴が突然現れお主の首を掻き切ったのもそれだろう』


あれか、危うく死にかけたぞ。


「成る程……で、どうやって対策すんの?」

『そんなものは出来ない』

「え?」

『そんなものは出来ない』

「うそん……」

『あれ程高精度で大規模な転送魔法使いが相手では対策のしようがない。次出てきた時には確実に息の根を止めるんだな』

「それしかないか……」

「でもよ、なんで夜には来ねえんだろうな?」

「そこなんだよなぁ……何でなんだろ……」

「ま、その辺は後で考えよう。取り敢えずご飯にしよう」


俺はそう言いながら試行錯誤した末にほとんど焼肉しかレパートリーの無い狼肉を持ってきた。フレイムの分に至っては味付けすらしていない。

全員ガツガツ食べていたが、やはり俺の口にはあまり合わなかった。


「…………マズイ……」

「そうかぁ?美味えじゃねえか。たいしたもんだぜ?」

「リュート、コレ美味しいよ……?」

『我の肉味無いねんけど』

「フレイム……混ざってるぞ……」


2日目の夜はこうして更けていった。

犬肉は戦後少しの間食べられていたらしいですね。私は食べたこと無いですけど。犬飼ってるのであまり考えたく無いです

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