ダークネスフレイムの仲間入り
毎日更新が目標だったのですが、昨日はあまりに忙しくて無理でした。明日からはまた毎日更新します
無事に帰ってこれた。
帰りはフレイムの背中に乗ったから一瞬だった。
街の入口まで来たところで降ろしてもらい、フレイムは待機だ。デカイから街に入ると家を壊してしまう。
門では門番らしき人がギョッとした顔をしていたが無視して待機だ。
正直言って、あのドラゴンは人間何人かで戦えるような魔獣じゃないぞ。
さて、取り敢えず約束の時間までには帰ってこれたが……ジェイドになんて説明しようか……。
街の外に出ないという約束を思いっきり破ってしまったのだ。怒られるかもな……。
いや、怒られる事を恐れてどうする。
新しい仲間が増えるんだし、俺も無事だったし、大丈夫だよな。
そう思って俺はジェイドにありのままを報告した。
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怒られた。
フレイムの目の前まで連れて行かれて怒られた。
しかしまあ、よく考えたら普通怒るわ。俺だったら怒る。子供にはなるべく危ない事をして欲しくないものだ。
それをドラゴンに会いに行って、挙句仲間にしてくるなんて……普通の親だったら卒倒するな。
「危ねえだろうが!兄ちゃんが居れば大丈夫だと思ったて約束したんだぞ⁉︎怪我したらどうする気だったんだ⁉︎」
「「ご……ゴメンなさい」」
俺たちは素直に謝った。別に後悔してるわけではないが反省はしている。
見てられなくなったのか、フレイムが助け舟を出した。
『お主もう許してやらんか?』
「ダメだ。悪い事をしたらよく言って聞かせなきゃダメだ」
『そ、そうか……』
ドラゴン弱っ。
というか、正直こんなに怒ると思わなかった。
普通、どうでも良かったら怒ったりしない。つまり、ジェイドは俺たちを大切に思ってくれているのだ。
俺たちなんてまだ会って一月程しか経ってないのに、そんなに俺たちの事を大切に思ってくれているなんて思ってなかった。
「ごめんなさいジェイドさん。もう絶対約束破りません」
俺はなるべく誠実に聞こえるように努めて声を出した。
横ではアクアが涙目でコクコク頷いている。泣くなよ……。
「どうしても、ドラゴンに会ってみたくて……ゴメン、なさい……」
アクアも謝った。俺は前世も含めて長い事怒られていなかったのでなんだか新鮮な気分だった。
上司の小言はノーカンで、だが。
「もういいから、顔上げろ。で、もう一個言わせてくれるか?」
ジェイドは俺たちに優しく笑いかけながら頭をポンポン撫でた。
そして、ドラゴンを見て、柔らかく微笑んでいた顔から、フッと笑いを消して言った。
「何でドラゴンなんて仲間にしてくる⁉︎」
まさか本当にドラゴンを仲間にしてるとは思わなかったんだろう。
『「ドラゴンなんて」とは失敬な。ダークネスフレイムだ』
「何だ、その変な名前は」
『燃やすぞ』
「フーちゃん、燃やすのはダメだよ」
「コイツ、連れて行っちゃダメかな?」
「いや、ダメじゃねえけどさ……普通なら仲間にしねえだろ⁉︎てか、出来ねえだろ⁉︎何で仲間にした⁉︎てか、出来た⁉︎」
「あー……」
ジェイドにフレイムが仲間になったくだりを詳しく話した。
簡単に言うとアクアが飯で釣ったのだが。
しかし、ジェイドは中々納得してくれなかった。当たり前か……最強の魔獣が飯なんかで釣れたら世話ないよな。でも事実なんだよなー。
ジェイドは頭を抱えていた。
「ドラゴンを飼うって……何でこの兄妹には常識が通じねえんだ……?」
『細かい事は良いではないか』
「細かくねえよ……」
初対面のドラゴンと平気な顔して話している時点でジェイドもかなり常識が無くなってきているという事にまだ本人は気付いていない。
「もうこの街に長居は出来ねえぞ。準備は出来てんだろうな?」
「「あ”」」
フレイムに会いに行っていたせいでロクに準備なんてしてなかった2人だった。
---勇者side---
現在祐奈とメイは大きな森を突っ切っていた。その方が街が近いからだ。
メイは勇者である祐奈の速度にしっかりと付いてくる。流石は獣人族だ。
祐奈はメイと旅をする事になった。
メイは戦闘能力は低いのだが、それ以外なら何でもそつなくこなした。
まずは毎日のご飯だ。
祐奈の料理はかなりフィーリングでやってるので毎回味が変わる上にあまり美味しくないのだ。
しかし、メイは違った。毎回味が同じな上、美味しいのだ。
メイは小さい頃からお母さんに料理を習っていたらしい。
衣類の洗濯も手洗いなんてやった事のない祐奈は毎回手間取っていたのだが、メイは難なくこなした。その上速い。
メイは計画力も高く、愚痴や弱音を絶対に吐かない。さらに、読み書き計算も出来る。聴覚、嗅覚は人間の何倍も優れてるし、夜目も効く。その上可愛い。
獣人族とは旅のお供にはこの上なく有用な存在だったのだ。
この世界の常識に疎い祐奈でもメイのスペックが高いのは何となくわかった。
(この娘……スペック高くない?)
こんなにスペック高い娘が自分をお姉ちゃんと呼び慕ってくれるのだ。
もともと祐奈は可愛いもの好きだ。
日本でもかなり少女趣味だったし、年の離れた妹を溺愛していた。
祐奈にはそっちの趣味はないが、百合の花が開きそうである。
しっかりしてるところが姉に似ているが、見た目や雰囲気は妹に似てる。
要するに年上のような安心感のある性格に、年下特有の可愛らしい見た目が合わさって非常にジャスティスである。
最近祐奈はそんな事ばかり考えてる。
そんなことを考えていたら少しペースが落ちてしまっていた。
少し前方でメイが振り返った。
「お姉ちゃん、今日中に次の街まで行くんだからね?ゆっくりしてたら日が暮れちゃうよ?」
「あ、うん。ごめんね、ボーッとしてた」
「もう、しっかりしてよね、お姉ちゃん」
「あはは、ごめんごめん」
「ほら、行こうお姉ちゃん。晩ご飯は街で食べたいな」
「そうだね、じゃあ飛ばすよ!」
2人は街に向かって全力で走った。