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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
二章 魔界編
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竜種との邂逅


「あ………嘘だろ……?」


空には巨大なドラゴンが旋回していた。

全身が鱗にびっしりと覆われており、背中からは大きな翼が一対生えている。

両手両足から鋭い鉤爪が、口からは鋭い牙が、頭からは鋭い角が生えており、多大な威圧感をはなっている。

ドラゴンはリュートとアクアを鋭い目つきで睨みつけて咆哮した。


『グルオオオオオオ‼︎』


突然ドラゴンが息炎(ブレス)を発射してきた。


「うおおおお!焼け死ぬううう!」

「……逃げよ……リュート……!」

「走れ走れ走れええええ!」


2人は走った。力の限り走ったが、空を飛んでいる奴から逃げられる訳がない。車より飛行機が早いのと同じだ。


「くっそ……だったら……『ソウルイーター』!」


リュートは両腕をドラゴンに翳した。

しかし、一向に魔力を吸い取れない。

周囲の岩や空気からは魔力を吸収してるというのに、ドラゴンからは何故か一切魔力を吸収できないのだ。


「な、なんで……?」

『ククク……愚かな人の子よ……教えてやろう。我ら竜種の鱗は一切の魔力を通さん。内からも外からもな……。よって、体の損傷によって魔力が漏れることもないし、他人から魔力を吸収されることも無い!』

「キエエエエエ‼︎シャベッタァァァァァア‼︎」

『なっ⁉︎』


ドラゴンが狼狽したような声を出した。

やべえ、うっかり変な声が出てしまった。冷静になれ。会話が通じる相手なら生きて帰れるかもしれないぞ……。

でもダメだ……前世ではずっとパソコンにしか話しかけてないから経験値が低い。

というか、ぶっつけ本番でこんな恐ろしい顔したやつと冷静に話せるやつなんている訳ねぇだろ⁉︎


『ど、ドラゴンだって喋るわい!なんやねん、ドラゴンが喋ったらおかしいんか⁉︎言うてみい!』


なんで大阪弁やねん。

さっきまでのカッコええ喋り方何やってん。

イメージとちゃうわ〜、これは無いわ〜。


「何で大阪弁……?」


思わずどストレートに聞いてしまった。


『大阪弁……?それは知らんが……我に言葉を教えた人間がこのような言葉使いだつたのだ……因みに今話している話し方はもソイツに教えてもらった……』

「あ、そーなんですか」


何で元に戻ってるんだ。どっちが素なんだ。多分大阪弁が素なんだろうけど。

大阪弁を聞いた途端に恐怖が薄れていった。

かなり怖い見た目のハズなのに現在の俺ビジョンではコミカルに加工されている。むしろちょっと可愛い。

人間に言葉教えて貰うとかコイツの過去も闇深そうだな……。というかこいつに言葉教えた人間は厨二病か?


「あのー、何で怒ってんの?」

『お前、自分の家に他人が勝手に入ってきたら怒るやろ?』

「怒ります」

『せやろ?出て行って欲しいやろ?』

「出て行くって……殺す気は無かったんですか?」

『当たり前やろ。殺す気やったらとっくにお前らなんか火達磨にしとるわ』

「マジすか」


このドラゴン予想以上に強い。多分戦ったら殺される。

ここは下手に出るか?下手に出過ぎるのも良くないが……しかしこのドラゴンそんなに頭良さそうじゃないぞ。

普通に話しても多分大丈夫だろ。多分。


「まぁ、気持ちは分かりますけど、ここは街の人の山なんですよね。例えるなら、公園のベンチを自分の家と主張して、そこに座ったら「そこは俺ん家や!」って言われてる感覚なんですよね」


分かりやすい。今の俺のたとえ実に分かりやすい。そうだろ?アクア。

横を見るとアクアもしたり顔でコクコク頷いていた。


『グググ……生意気な人間だ……身の程を知れ………』

「突然厳格な言葉遣いに戻られましても」


しかし、大阪弁とは……ジェイドの話し方は江戸っ子みたいだが……流石に大阪弁や博多弁や津軽弁などの方言の類は聞いたことが無い。

コイツに言葉を教えたのは異世界人……もっと言えば関西人って事になるな……その可能性は大いにあるだろう。


「あのー、ここから出て行ってくれない?街から人が減ったせいで店が減ってて不便なんだよ」

『いや』

「いやいや、「いや」じゃないよ……駄々っ子か」

『折角見つけたええ住処やねんぞ?普通渡すか?』

「だからそれは公園のベンチを……」

『もうその話はええわ!』

「ねぇ……ドラゴンさん……触っても良い……?」

「お、おい……アクア?」


相変わらずマイペース過ぎるぞこのロリっ娘。好奇心旺盛過ぎる。

アクアはそう言いながら返答も聞かずにドラゴンの鱗をさわさわし出した。


『む……良いぞ……。あと我の名はダークネスフレイムだ。闇の炎と書く。我の炎を見た友人が名付けてくれたのだ』


ダークネスフレイム⁉︎何だその名前⁉︎まさか……本格的に厨二病だったのか……。


「ダークネスフレイム……格好良いね……!」


ええええええ、ここにも厨二病の感性をお持ちの方があああああ!


「でも、ダークネスフレイムは長くて言いにくいし……フーちゃんって呼んでも良い……?」

『え?』

「可愛いよ……?」

『あ、はい』


え?何?早速ウチのロリっ娘がドラゴンを尻に敷き始めたんですけど。

フーちゃんって何?可愛いんですけど。

ダークネスフレイムのフレイムからフーちゃんか?

命名者の友人もこんなアダ名つけられる事なんて想定して無かっただろうな……。


「ねぇ……フーちゃん。行くとこないなら一緒に旅しない?フーちゃんが居ると私達……楽ちん」

「そこは楽しいとか、嬉しいとか言ってあげて欲しかった」


アクアがドラゴンを誘い始めた。鱗の手触りを気に入ったのだろうか。

所でアクアさん、キミ容赦無いね。コキ使う気満々じゃないですか。


「ここにいたら……その内強い人が来て、フーちゃん怪我するかも……私、心配」

『む……それは、確かに面倒だ……メシはついてくるのか?』

「ご飯自分で採ってきて欲しいな。ドラゴンがどれぐらい食うか分からないし。調理は俺たちがするよ」


俺はドラゴンが付いてくるのには反対では無かった。主に戦闘面で助かるだろうし。

魔獣みたいなもんだろ。飼ったことないけど。


「皆で食べるご飯美味しいよ……?私も楽ち……楽しいし……」

「アクアさんや、もうちょい本音を隠そうか」


このガキ……なんて自分の欲望に忠実なんだ。

しかし、アクアの熱心なPRに流石のドラゴンも折れた。


『良かろう……お主達と行動を共にしよう……』

「やった……!これから宜しくね……フーちゃん」

『別に、この小娘がうるさいからついて行ってやるだけだ……勘違いするんじゃないぞ』


言い訳するように俺に言ってきた。ドラゴンのツンデレとか誰得だよ。

アクアは嬉しそうに飛び跳ねながら、ドラゴンの足とか羽とかをポンポン叩いた。


「はいはい、宜しくなフーちゃん」

『お主にフーちゃんと言われるのは不愉快だ』

「じゃあダーちゃん?」

『焼き殺すぞ』

「じゃあ、フレイムでどう?」

『格好良いな、それなら許す』


このドラゴンも大概厨二病だな……。

最終的に飯を調理して貰えるのが魅力的だったらしい。チョロいドラゴンだ。


そんなこんなでチョロい大阪弁ドラゴンのフレイムがウチの仲間になった。

しかし、ジェイドがこれ見たら目ん玉飛び出すんじゃないか?

そう思いながら俺たちは山を降りるのだった。

このドラゴンの話す関西弁は限りなく私のものと同じです。つまり現役の関西人の関西弁です。異論は認めます

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