VSゼクス
投稿遅れました
「ナヘマー!」
「我が王……ッ⁉︎」
俺がナヘマーへと駆け寄るとナヘマーは驚愕の表情を浮かべた。
やはり死ぬつもりだったのだろう。そんなもの、俺が許すものか。
「ナヘマー、話は後だ。アイツを黙らせたら取り敢えず起こるから覚悟しとけよ。行くぞッ!」
「は、はッ!」
俺はゼクスの目の前へと向かう。
俺はまるで友人に語りかけるように脱力して話す。
「よう」
『……リュート・エステリオ……か』
「あぁ。お前はだいぶ変わっちまったな。どうかしたのか?」
今やゼクスは前のような人の形を保っていなかった。
コレでは魔族ではなく魔物だ。
頭部の両側からは巨大なツノがせり出しており、その四肢は巨大に膨らんでいた。
筋骨隆々な姿へと変貌し、全身から濃密な魔力を絶えず放出している。
確かに化け物だ。守護機兵の比では無い。アレとは比べることすら烏滸がましいと言ったレベルだ。
『俺は……この国を手に入れる……!貴様のような者にこの国は渡せん……!渡すものか……っ!』
「お前……なんでこの国が欲しいんだ?」
俺は静かに問いかけた。
それと同時にゼクスの表情が憤怒に染まった。
『貴様……ッ!この俺が私利私欲のためにこの国を手に入れようとしたと……そう言いたいのかッ!』
「いいや。単純に気になってただけさ。んで、どうなんだ?」
『教えてやる義理はない……。貴様のような放浪王などにはなぁッ!』
「そうか」
恐ろしい速度で飛んでくるゼクスの拳を俺は素早くかわす。
これ以上の話は出来ないだろう。
「行くぞ、お前達。勝つぞ」
「はい。当然ですとも」
「任せて下さいっす!」
『了解、マスター』
「我が王の意のままに!」
俺たち5人は揃ってゼクスへと目を向ける。
ゼクスの巨躯が俺たちの眼前に立ちふさがる。
『貴様ら全員あの世へ送ってやる……!』
ゼクスの声に反応するようにゼクスの両腕から雷雲が発生する。
「来るぞ!」
『くたばれェッ!』
次の瞬間、瞬くような速度で俺たちの元へと雷が届いていた。
「ぐあぁっ!」
「くっ!魔王様!」
「ぐぅうっ!」
「チィッ!」
『攻撃態勢に入る。離れて……』
俺とアスタが雷撃に被弾し、ルシファーとナヘマーがカバーに入る。
マキナは素早く兵装を展開し、攻撃態勢に入る。
『兵装展開。暴風砲撃』
マキナの風魔法による大砲口の砲撃がゼクスの雷を打ち消しながらゼクスへとまともに着弾する。
しかし、
『無駄だ……ッ!殺す……!貴様らの息の根を完全に止めてやるぞッ!』
「バケモノめ……!」
再生を完了させた俺は立ち上がり、強化魔法を限界まで重ねがけする。
「『雷撃強化』!」
雷魔法による全身ドーピングで俺は深く足に体重をかける。
ゼクスの知覚を超える速度で接近し、一気に防御不能な攻撃力で倒す。
「食いやがれぇッ!」
『無駄だ。そう言ったハズだ』
「なんだと……!」
しかし、俺の拳はゼクスに受け止められていた。
「バカな……!お前……何なんだ……!」
『俺はすでに普通の魔族ではない。力を手に入れたのだ……。貴様に勝機はないッ!』
「ごぉはぁっ!」
ゼクスの拳が俺の身体にまともにぶつかり、貫通する。
俺の傷口はすぐに再生を開始するハズ。しかし、何故か今回は再生が遅い。
まさか……!
「お前……ッ!この力は……!」
『だぁぁぁぁあっ!』
「ぐぉあっ!」
俺の言葉に全く耳を傾けずゼクスは俺の体を地面に叩きつけた。
「魔王様ッ!」
「ルシファー止せ!俺に構うな!」
「し、しまっ……!」
ゼクスの超高速の拳が急いで俺に駆け寄ろうとしたルシファーが先程まで立っていた場所を薙いだ。
『うおおおおおおぁぁぁぁぁぁあ!』
ゼクスの巨大な咆哮が周囲に轟く。
「あの野郎……神の力を持ってやがる……!なんでだ………!」
「奴のあの不可解なパワーアップ……。差し詰め……」
「あぁ。どうせあのクソ野郎だろ……」
俺はクソ野郎のムカつくにやけ面を思い浮かべて激しく歯ぎしりした。
こうやって俺の邪魔ばかりしてくるのはローグ以外にこの世に存在しない。
「いつか絶対に思い知らせてやるぞ、ローグ……。まぁ、今はゼクスだ!」
「はい……。流石の私も腹わたが煮えくり返りそうです……!」
俺とルシファーは苛立ちながらも立ち上がる。
今のゼクスは速さと巨大さを兼ね備え、更には俺に対してのジョーカーである神聖力を持っている。
更には強大な雷魔法まで乱発してくる始末。正直言って心の底から相手にしたくない男だ。
「ルシファー。ちょっとばかり魔力を貯める。時間を稼げ」
「仰せのままにッ!」
俺の言葉と同時にルシファーは大地を蹴った。
マキナ、アスタ、ナヘマーと共にゼクスに襲いかかる。
そして俺はその間に周囲から一気に魔力を吸収する。
そう、こうして俺の魔力をの地力を底上げし、正面からあのゼクスを突破するのだ。
しかし、問題はある。俺が魔力をためている間ゼクスが大人しくそれを見ててくれるはずが無いのだ。
もし、ゼクスが正気を失っていた場合、この策を実行するのは簡単だっただろう。しかし、ゼクスはあれ程の変貌を遂げながらも慎重かつ確実に俺たちの命を奪いに来ている。
気が付かないわけがない。
「頼むぞお前達……!」
「魔王様の元へは行かせんッ!」
「リュート様!安心して下さいっす!俺たちが絶対に止めてみせるっすから!」
「我が王よ!この命に代えても!」
『マスターの元へは行かせない……』
『ぐおぁぁぁぁぁぁぁあ!』
ゼクスの魔法に押されながらもなんとか4人が協力し、ゼクスの足止めに成功していた。
「お前らなぁ……!何回も言うけど命はかけんで良いっての!」
俺はそんな4人をみてニヤリと笑みが漏れる。
さぁ、俺は俺の役目を果たそう。
「『魂喰』!」
周囲から魔力を一気に徴収する。
周囲の植物が枯れ、大地が乾く。空からは雲が消え、突然陽の光が差し込む。
『リュート・エステリオ……!貴様……!』
「決めさせて貰うぞ!ゼクス!これで全てを終わりにしようぜ……」
魔力を十全に吸収した俺は毅然としてゼクスを睨みつける。
すでにナヘマー達は満身創痍だ。
ここで俺が勝てなければ終わりだ。退路はない。
「まぁ、いつものことだ」
俺はそう呟いて魔力を一気に解放した。
「『魔王降臨』」
全ての魔力を体内で爆発させ、循環させる。
全身が破壊と再生を繰り返し、激痛が走る。
周囲の視界がクリアになり、俺の身体は戦いを求めて疼き始めた。
『リュート・エステリオ……。ここで貴様の首を取り、俺が王となる!』
「いくぜ、ゼクス。さっさとその変な姿から元に戻りやがれ」
『その余裕の表情が驚愕に変わるのが楽しみだぞ……リュート・エステリオッ!』
「フン、言ってろ」
ゴオオッ!
まるで爆風のような衝撃を周囲に振りまきながら俺たちは同時に大地を蹴った。
そして二つの影が中央で交差した。
話は考えてるんですが文章が考えつかない……。
物語って長く続けてるとだれてくるので良い感じのところで切り上げたいとは思っているのですが、なかなか終わりが見えてきませんね。




