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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
二章 魔界編
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街の違和感


---魔王side---


俺たちはゆっくりとだが着実にアリルキアに近づいていた。

水浴びが楽しかったのか、アクアは定期的に体を洗いたがった。

しかし、問題が一つ。


「ねぇ……後何日くらいかかるの?」


アクアが飽き始めたのか愚痴をよく言うようになった。

気持ちは分かる。ここ数日ずっと同じ景色なんだから。正直俺も飽きた。


「我慢しな嬢ちゃん。もうすぐ街に着くさ。アリルキアはそこからもうちょいだ」


ジェイドが宥める。相変わらず優しいおっさんだ。


「お腹空いた……」

「さっき食ったろうが」


こいつ、暇になったら腹が減るのか?

さっきから「暇だ」と「腹が減った」しか言ってないような気がするぞ。


盗賊を撃退してからはまた何事もない日々に戻った。要するに滅茶苦茶暇なのだ。

最初の方は面白かった景色もかれこれ10日も見てたら当然飽きる。

何かゲームでもして暇を潰したいところだがトランプすらないのだ。どうやって暇を潰せと言うのだ。

そもそもこの世界にトランプあるのか?


「いつも一人旅だからな、ガキの遊び道具のことなんてすっかり忘れてたぜ」


ジェイドはケラケラ笑いながら言った。


「お前達を見てたらそんなに暇しねえよ」


元々、ジェイドは暇なのが苦にならないらしい。俺たちは体力が有り余っているのだから余計に辛い。

その時、アクアが前方に眼を凝らし始めた。


「どうした?」

「む……街……かな、?あれ……」


アクアが街を見つけたらしい。相変わらず視力良いな。

その言葉を受けてジェイドが双眼鏡を覗き込む。


「何?速いな……おぅ、本当じゃねえか!予定より2日も早えぞ」

「そんな事より……早く行こう……!」


アクアがジェイドの服の袖をクイクイ引っ張る。

待ちきれない様子で、心なしか興奮している様に見える。

まぁやっと街に着くんだし、気持ちは分かるけど。


「街に着いたら飯でも食うか!」

「賛成……!」

「いや、さっき食ったじゃん」

「じゃあリュートの分も私が頂いてあげてもいい」

「何でそこで流暢に喋り出すんだよ」

「ホラホラ、そう焦るな。街は逃げねぇよ」


何だか子供の扱いに慣れてるなジェイドは。

ま、まぁ、俺は大人だけどな。

いかんな、精神は大人でも見た目がこんなんじゃあ、幼児退行してしまう。

気をしっかりもたねば。


「ねえねえ、早く早く……!」


アクアが馬を急かす。

しかし、馬はマイペースだ。

というかこれ感覚感じてんのか?元の世界で言うと輓馬よりデカイぞコイツ。


「おい、嬢ちゃん、馬を叩いちゃダメだ。ものを運んでる時はコイツぁ案外神経質なのよ」

「ごめんなさい……」

「ま、楽しみなのは分かるけどな。久々にベッドで寝れるもんな」


俺だって楽しみだ。荷物の上は地面より柔らかいとは言え、ベッドに比べては硬い。


「最近地べたに寝転んだり、荷物の上で寝たりしてたからなー、俺も体がバキバキだ」


ジェイドは馬の尻あたりを撫でながら呟くように言った。


「こいつも休ませてやんねーと」


ブルルルルッ!


馬が大きく嘶いた。気に障ったらしい。


「おおっ!すまんすまん」


そんなこんなで門が見えてきた。


「入り口が見えてきたよ……!リュート、競争しよう」

「しねえよ」

「……なんで?楽しみじゃないの?」

「楽しみだけどさ……何でお前はそんなにはしゃいでんだよ……」

「……何となく……?」

「何で疑問文?」

「ホラホラ、兄ちゃん、嬢ちゃん。もうすぐそこだぜ、走りたいなら走ってこい。でも迷子になるから入り口で待ってんだぞ?」


ジェイドが父親みたいなこと言い出した。

あんた何で子供いないんだ?


「うん……行ってくる……!」


アクアが走り出した。

さすがは魔族、どう考えても人間より速い。


「兄ちゃんは行かねぇのか?」


ジェイドがニヤニヤしながら聞いてくる。


「…………アクアが心配だから……追いかけてくる。あいつが迷子になったら面倒だし」

「そっかそっか、じゃあ嬢ちゃんの事は頼んだぜ?」

「分かったよ、ジェイドさん」


何だか素直になれない子供みたいな事言ってしまった。

いや、違うんだよ。本当に走るのは面倒臭いんだよ。

俺は内心で言い訳をしつつアクアを追いかけた。


---


「凄いね……人が沢山いるよ……」

「そうか……?」


まぁ、アクアはちゃんとした街を見るのは初めてだからな。城下町は滅茶苦茶になってたし。

しかし、アクアはああ言っているが、俺は少し違和感を感じていた。

でも、人、少ないんじゃないか?

少ないと言うのは語弊があるかも知れないが……少なくとも多くはない。

こういう旅の中継地点にある街はもう少し活気があって然るべきだろう。

何にせよジェイドを待つか。


「おぅ兄ちゃん、嬢ちゃん、どうした?」

「凄いよ……ジェイドさん。人が沢山……」

「お、おう、そうだな……」


やはり、ジェイドも違和感があるらしい。


「ねぇ、ジェイドさん、人……少ないよね?」

「ああ、兄ちゃんは分かるか……。嬢ちゃんは世間知らずっぽいしな。ここの街はもうちょい活気があったんだが……何かあったのか?」


この街で何かあったとしたら面倒だな……。ここで旅の準備を整えないといけないのに……。


「少し調べてみようかな……」


俺は1人、そう呟いた。

行き当たりばったりのせいで更新ペースが落ちてます。

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