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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
209/220

見えざる手

更新遅れました


---リュートside---


「魔王様!」

「我が王!」

「お前ら!帰って来たか!」


ルシファーとナヘマーが同時に俺の元へと帰還した。

アザゼルとファルファレルロを倒したらしく、拘束している。


「よくやった」

「この二人は……」

「本陣に置いとけ。メフィストフェレスと一緒に転がしとくのは危険だ……。一応離しとけよ?」

「はっ!」


俺の指示にルシファーは真面目な顔で答える。


「んじゃ、ルシファー。二人を持って一旦戻れ。ナヘマー、お前はここで俺たちと一緒にこいつらを抑える仕事だ!」

「仰せのままに、我が王!」

「では、魔王様。行って参ります」


ルシファーはそう行って二人を担ぎ、その場から消えた。

時間を停止したのだろうが、二人を担いだ状態で時間停止が使えるのか。


そして気を取り直して正面へと視線を向ける。

そこには敵兵たちが鬼気迫る表情でこちらを向いていた。

旧政権派軍とマキナの機械兵がそれを必死で押しとどめている。


「ベル、アリス、マキナ……。頼むぞ……!」



---マキナside---



『大きい。あなたは、一体何?』


マキナは巨大な守護機兵(ガーディアンゴーレム)に問い掛ける。

マキナのデータには守護機兵(ガーディアンゴーレム)の事は小さく記載(インプット)されていた。

しかし、これは明らかに大きすぎる魔力を体内に持っている。


『ゴオオオオオ……!』

『話せないと言う事?なら、用は無い』


限界を超えて魔力を貯める能力をコピー出来れば更にマスターの力になることができると思ったのだが、それは叶わないらしい。

ならばこの目の前の木偶の坊に用は無い。主人(マスター)からの命令通り、破壊するだけだ。


兵装展開(マキナズ・フォース)殲滅砲撃(エクスキューションカノン)


ガコォン……、と重い音を立てながらマキナは巨大な砲門を展開した。

潤沢な魔力がそこへ供給され、想像を絶するほどの魔力を湛えた魔力弾が装填される。


『消し飛んで』


しかし、


『…………っ』


守護機兵(ガーディアンゴーレム)は無事だった。

無傷では無い。だが、十分に戦闘を続行できるほどには無事で済んでいた。

マキナはそこで久方ぶりに動揺する。


何故?何故壊れない?自分は全力を持って砲撃してはずだ。なのに何故壊れていない?


そしてマキナは自答する。


何故壊れないのか?

頑丈だから。


何故頑丈なのだ?

特異個体だから。


一体何が特異なのか?

確認できる範囲では体躯が巨大であること、そして持っている魔力の量が違うこと。


ならば、勝機は?


それは当然……、


ある。


マキナは胸の内で『断言』した。


勝機が無いなど許されない。

自分は主人(マスター)の命令を忠実に遂行する機械なのだから。


『絶対に勝つ。私が、完膚なきまでに、徹底的に、あらん限りの力で、奴を、破壊する。それだけ、それだけでいい』


マキナはその次の瞬間、『笑った』。


兵装展開(マキナズ・フォース)白兵鋭刃(クロースハーツ)


ビィィィン……!とまるで電撃のような音を撒き散らしながらマキナの左手には細長い刃が出現していた。

それをマキナは構えもせずブラリと地面に垂らす。

すると、その刃はまるでなんの抵抗もないかのように地面にめり込んで行ったのだ。


『貴方を破壊する。今、すぐ』

『ゴオオオオオ!!!』


マキナの声と共に守護機兵(ガーディアンゴーレム)が唸りを上げ、両腕を振りかぶる。


『防御は……した方が良かった。貴方の判断ミス』


次の瞬間、マキナは守護機兵(ガーディアンゴーレム)の身体を通り抜け、後ろから刃を向けていた。

そして守護機兵(ガーディアンゴーレム)の胸には巨大な切断跡が広がっていた。


切断面がバチバチと火花を上げる。


『やはり、魔力攻撃にしか耐性がない。この兵装には物理ダメージも大きく加算されるから……』


ヒュゥゥン……という音と共にマキナの刃が姿を消す。

守護機兵(ガーディアンゴーレム)は動かない。すでに彼には戦闘を続行しうる出力は残っていなかった。


『貴方に魔力耐性があったのは……さっきまで。今は違う……』


マキナが静かに告げる。

マキナの先ほどの攻撃により、胸の中央を穿たれた守護機兵(ガーディアンゴーレム)は既に魔力耐性を失っていた。

更にその巨大な体躯を駆動させる魔力も残っていなかった。


そう、守護機兵(ガーディアンゴーレム)には、既に勝機はなくなってしまっていたのだ。


兵装展開(マキナズ・フォース)殲滅砲撃(エクスキューションカノン)


マキナが大口径の砲門を出現させ、それを守護機兵(ガーディアンゴーレム)に向けて構える。

装填される巨大な魔力、放出されるは数多の光の束。

守護機兵(ガーディアンゴーレム)がそれを耐えることは不可能だった。


『消えて。跡形もなく』


次の瞬間、空に魔力の残滓が舞い上がった。



---アリスside---



アリスは上空に魔力の残滓を確認した。

コレはマキナのものだ、と。一瞬で理解したアリスは即座に決断を下した。

今が仕掛どきだ、と。


「今すぐベルに合図を!作戦開始です!」


あの邪魔な守護機兵(ガーディアンゴーレム)はマキナが処理してくれた。

ならば目の前に障害などない。


敵の幹部は主人であるリュートや、信頼できる仲間達が止めてくれているハズだ。

ならばアリスに出来ることは、それを信じて作戦を実行するのみ。


「アリス様、合図の魔力弾を打ち上げました!」

「ではベル達の合図を確認次第、作戦行動に移ります!全員、戦闘態勢に入りなさい!」


そして、作戦開始の時間はすぐに訪れた。


「ベル様からの魔力弾の合図を確認しました!」

「承知しました。では、作戦行動に移ります!総員、作戦開始!」

『うおおおおおおおおおおおお!!!』


アリスの掛け声と共に旧政権派軍は一丸となり新政権派軍へと突撃した。



---ベルside---



「反対側にいるアリス達と挟撃する!リュート様のため、この任務必ずや成し遂げる!命を捨てる覚悟を持て!」

『うおおおおおおおおおおおお!!!』


ベルの掛け声に軍全員が大声を張り上げ、応える。


その時、斥候に出したいた兵が一人、ベルの元へとやって来て跪いた。


「ベル様!東の空に魔力弾を確認しました!アリス様からの合図です!」


それを聞いた途端、ベルは突撃命令を出した。

今ここが攻める時だ。


「よし、ではこちらも合図の魔力弾を撃て!作戦行動に移る!行くぞお前達!突撃だ!」

『うおおおおおおおおおおおお!!!』


そして、ベル率いる西部隊、アリス率いる東部隊による挟み撃ちがここに完成した。



---ゼクスside---



「ゼクス様!幹部であるアザゼル様とファルファレルロ様が両名供敵軍の捕虜となったとの報告が!」


「ゼクス様!守護機兵(ガーディアンゴーレム)が破壊されました!」


「ゼクス様!旧政権派軍は二手に分かれ我が軍を挟撃して参りました!如何致しましょう⁉︎」


それら三つの知らせを聞いたゼクスはあまりの事に歯をギリギリと鳴らした。


「何故……何故……何故、何故何故何故何故!何故だ!俺の計画は完璧だったはずだ……!戦力も十分あったはずだ……!なのに……何故だ!」


非人道的な薬物にまで手を出し、なりふり構わず危険な兵器を流用し、万全の体制を整えて旧政権派軍を正面から押し潰そうと策を講じた。

しかし、それでも届くことはなかった。

このままでは敗戦だ。

この敗色濃厚な局面を切り抜けることなどできるはずもない。


「アザゼルもファルファレルロもメフィストフェレスも居ない……。最早……ここまでか……」


ゼクスがうな垂れた時、ゼクスの頭上から光が降り注いだ。

室内だというにも関わらず、まるで屋外で陽の光を浴びているかのようなまばゆい光だった。


『だったら、キミに力を貸してあげよう。ボクの強大な力をね……フフフフ……』


その声はとても透き通って居た。


「誰だ……。貴様、姿を見せろ……!」

『信じないかもしれないけど……『神』って言ったら……分かるかなぁ?』

「神……だと……?そんなバカなことが……」


驚きと困惑を隠せない様子のゼクスに対して神を名乗る何かは楽しそうに笑いながら言った。


『あるんだなぁコレが。さ、如何する?このままじゃどうせ勝てないよ?神の力に縋ってみない?』


神はゼクスへと手を差し出した。


魅力的な申し出には必ず裏がある。

長らく魔界の秩序を保ってきたゼクスは普段ならばこのような誘いに乗ることなど絶対に無い。


だが、今のゼクスは違った。


目の前にいる存在は明らかに人ならざる存在だ。

それにすがりたくなるのも致し方ない状況でもあった。


そして、ゼクスは……その手を取ってしまったのだ。

予告していたとはいえ1週間も更新が滞り申し訳無かったです

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