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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
207/220

破壊魔法


---ゼクスside---


これだけは使いたくなかった。


ゼクスが使用したのは強化薬を守る為にずっとある場所で止まっていた兵器。


守護機兵(ガーディアンゴーレム)


この圧倒的な巨体と力はあらゆるものを破壊する。

こんなものが守護に使えるはずもない。この兵器を使ってしまった末路は破壊しか残らない。


先代魔王バゼルは「守る」とは名ばかりで、この守護機兵(ガーディアンゴーレム)も強化薬と共に封印していたのだろう。

それをわざわざ内乱に勝つためだけに持ち出してしまった。

ゼクスはそれほどなりふり構っていられなくなったのだ。


「コレで無関係な住民も何人かは……死んでしまうだろうな……」


ゼクスは自嘲気味に呟いた。


近くには誰もいない。

アザゼルとファルファレルロも戦場へと向かった。

今回で決着はつくだろう。

だが、今回の戦では圧倒的にゼクス陣営である新政権派軍が優勢と言わざるを得ない。

新政権派軍の兵たちはほぼ全員が強化薬を服用しているのだ。

更には守護機兵(ガーディアンゴーレム)という巨大戦力まで存在する。負けるはずがない。


「だが、これでようやく俺の理想が出来上がる。だから……ここで止まるわけにはいかんのだ……ッ!」


ゼクスはかぶりを振り、前方へと目を向ける。

そこには新政権派を迎え撃とうとする旧政権派軍の姿があった。

鬨の声をあげ、士気は十分の様子だ。


「これから始まるのは蹂躙だ……!蹴散らせ!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


ゼクスの掛け声と共に轟音が鳴り響いた。


---リュートside---


「さぁて、準備は万端だ。良いな?お前達」

「勿論、いつでも行けるっすよ!」

「私も、臨戦態勢でございます」

「我が王よ、私はいつでも敵の首を取る準備は出来ております」


俺の言葉にアスタ、ルシファー、ナヘマーが順に頷く。

アリスは右舷に、ベルは左舷に、それぞれ兵を率いて回り込んでいる。

遠くに見えた巨大な『ナニか』の処理はマキナに任せた。

俺たち4人はここで兵を率いて敵兵を正面から迎え撃つ。

アクアには無理を言って城の中に隠れて貰っている。子供達がいるので仕方がない。


『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


前方で声が上がった。

その声と同時に砂埃を巻き上げながら、こちらへ突進して来る。


「来たぞ!迎え撃つぞ!突撃だ!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


こちら側も応戦する。

戦力の差は大きい。数もそうなのだが、敵兵一人一人が強化薬を服用しているため並みの強さではない。


「持ちこたえろ!」


俺は檄を飛ばしながら周囲の様子を見る。

アザゼルとファルファレルロはまだ遠くにいるようだ。


「などと……思っておられんでしょうなぁ……?」

「な……にぃ……ッ⁉︎」


何とアザゼルとファルファレルロは目の前に現れたのだ。

しかも突然である。気配すら感じないとは……一体何をしたんだ……⁉︎


「不思議そうな顔ですな。我が魔法の真骨頂は防御にある。我が防御魔法を使い、『周囲の光を防御した』まで」

「光を……だと……?」

「我々は光を取り込むことで視界を得ております。故に、光を遮れば見えぬ、と言うことですな。勿論こちら側からも見えませんが……」


つまりアザゼルの防御魔法は透明になることもできると言うことだ。

防御魔法を極めたと言っていたが、文字通りデタラメな汎用性を持った魔法だ。『極めた』と言う言葉は誇張表現でも何でもない。


「チッ……!ここで戦力を分散させる腹か!ルシファー!ナヘマー!」

「「はっ!」」


俺の言葉に2人は前へ出る。

もはや指示は不要だろう。ナヘマーはアザゼルを、ルシファーはファルファレルロを睨みつけている。


「アスタ、お前は目の前の敵兵を止めておいてくれ。アリスとベルが上手く挟撃に成功するまでの辛抱だ!」

「了解っす!任しといて下さいっすよ!」


俺とアスタは目の前の敵兵との戦いだ。

正直言ってアザゼルの能力はルシファー出なければどうにもならないのではないかと思っている。

しかし、ナヘマーには破壊魔法というチート級に強力な魔法がある。

あのルシファーからも信頼されているのだ。ナヘマーであれば負ける事はないだろう。


---ナヘマーside---


「さて、我が王から承ったこの命。自らの命をかけてでも完遂して見せましょう……。アザゼル、悪く思うな……?」

「フム、私とナヘマーでは少しばかり相性が良くないですな……。これは弱りましたな……」


ナヘマーの魔法は破壊の魔法。

アザゼルの魔法は防御の魔法。

これは完全に矛と盾なのだ。有利不利などが存在するはずもない。

そこにあるのは明確な勝者と敗者のみ。

幾度も打ち合えど絶対に壊れない矛と盾がないように、ナヘマーの破壊魔法とアザゼルの防御魔法を打ち合えばどちらかに限界が来るのだ。


「アザゼル。貴様の魔法は防御の魔法。我が破壊魔法の前には防戦一方。勝機はないのではないか?」

「そうでもありませんぞ……?『防御鎧(バリアメイル)』!」


アザゼルはその身に防御魔法をを纏い、身体能力を劇的に強化して地を蹴った。


「鈍いぞ!」


しかし、ナヘマーはその動きを完璧に見切り、飛び上がる。


「『破壊魔砲(イビルバスター)』!」


黒く巨大な球状の魔法がゆっくりとアザゼルへと近づいて行く。

断続はかなり鈍い。だが、それが濃密な魔力をたたえている事は見ただけでわかるほどであった。


「『破壊槍撃(バスターランス)』!」


そしてナヘマーは間髪入れずに槍状の破壊魔法を行使した。

この魔法の断続はかなり早い。

そう、丁度『破壊魔砲(イビルバスター)』によってアザゼルは移動を制限されているのだ。

この速度の違う二つの魔法を交わすのは至難の技だ。


「フン……!『剛鉄壁(バリアフォートレス)』!」


なんと、超硬質の防御魔法を展開し、アザゼルはそれを防御したのだ。

普通ならば周囲が木っ端微塵になるほどの攻撃力をたった一つの魔法で受け切ったのだ。


「厄介だな……その壁は……。流石は元戦友と言うだけはある」

「褒められても全く嬉しくないですな」

「何、褒めただけでは終わらんよ!『金砕破撃(ブレイクバスター)』!」


アザゼルの展開した強固な防御魔法をいとも容易く破壊するナヘマー。


これは本来の破壊と防御の戦いではない。

片側がひたすら攻撃し、破壊の限りを尽くす。もう片側は耐えるのみ。

それが矛と盾の戦いだ。


この2人の戦闘は違った。

そう、防御側であるアザゼルも攻撃手段を持っているのだ。


「『貪食防壁(バリアビリティバリア)』!」


獣の形を象った巨大な防御魔法がナヘマーに牙を剥く。

しかし、ナヘマーはその獣の牙を無造作に薙ぎ払った。


「ヌルい」

「『防御鎧(バリアメイル)』!『強化魔法(ブースト)』!」


アザゼルが身体能力を二重に強化する。

これはかなりの強化倍率を誇る。

体そのものを強化魔法によって強靭に、そしてその体の動きを防御鎧が補助する。

この上なく体が強化されていながら負荷はかかりにくいというある意味強化魔法の完成系とも言えるものだった。


「フン……!『破壊光撃(ブライトバスター)』!」


しかし、ナヘマーはそれを顕現させた光の大剣で一刀のもとに両断した。


「なに……⁉︎」

「ヌルい。やはり、ヌルいな。アザゼル」


ユラリとナヘマーは歩みを止めずにその大剣を上段に構えた。


「やはり、一朝一夕に身につけた攻撃技術などその程度。我が破壊魔法の敵ではない」

「いい気にならない事ですな。私の防御魔法を貫く程の力を貴方は持っておらんでしょう」


しかし、ナヘマーはアザゼルの言葉にクククと不敵な笑みを漏らした。


「貴様、いつの私の話をしている?我々は停滞などしていない!我が王はいつの日か必ず我らの元へ帰って来ると、そう信じていた!我らが……主人のために研鑽を怠るとでも……?」

「まさ……か……!」


アザゼルは両の目を一杯に見開き、表情を戦慄かせた。


「貴様の防壁を貫くことは決して容易くはない。だが、今の私に不可能なことでは……無いぞ?」


そう呟くとナヘマーは魔力を右腕全体に集め始めた。

先ほどの攻撃魔法を凝縮したかのような魔力だ。


「さて、貴様に受けきれるかな……?」

「くっ……!『超硬堅壁(ダイアモンドフォートレス)』ッ!」

「『破光撃(ライトオブバスタード)』ッ!」


次の瞬間、一筋の光の魔力がアザゼルの防壁を貫いた。

最近忙しくて投稿が滞っています。申し訳ありません。

少しの間投稿ペースが落ちてしまいますが、その内2日に一度投稿に戻しますのでもう少しだけご容赦を。

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