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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
206/220

開戦

長らく投稿が遅れ、申し訳ありませんでした


---ゼクスside---


「アザゼル。メフィストフェレスの事は非常に残念だ。だが、奴に構っている暇はない。直ぐに体制を立て直さねばならん」

「はっ」

「俺たちの最終目標はこの国の王座。そのために必要なのはリュート・エステリオを殺し、アクア・エステリオを妻とする事だ。それが出来ればそのほかに必要なものなどない」

「承知しております」

「だったら……次こそは、奴らの首を取ってこい」

「御意」


アザゼルはゆっくりと顔を上げると部屋から退室した。

退屈な空間に我慢出来ない性質のファルファレルロは外に待たせていたのだ。

アザゼルを見るや否やトトトッと駆け寄ってくる。


「アザゼルー、ワタシ達はこれからどうすれば良いのだ?」

「フム……まぁ我等に出来ることなど戦う事のみでしょうな」

「そっかー、ワタシは超強いから良いけど今回みたいに雑魚ばっかり大量にいたら流石にしんどいぞ」

「それはそうですな」


アザゼルは言いながら少し考える。

敵兵との兵力差はそこまで顕著なものではない。

しかし、今回破れたのには大きな理由がある。

それが敵将であるアリスとベルだ。

この2人は広範囲を攻撃する魔法を得意としているのだ。対してアザゼルは攻撃魔法自体を満足に使えない。

ファルファレルロは大雑把で仲間諸共大量に殺してしまうだろう。戦場で使うには最も向かない人材だ。

多少の犠牲ならやむを得ないが、ファルファレルロは明らかに常識的ではない数の人を殺してしまう。


「どうしたものですかな……白兵戦ならば我輩もどんと来いなのですがなぁ……」

「戦争って難しいね、アザゼル。ワタシは頭が痛くなってきたぞ?」


そう言ってファルファレルロはアザゼルを見上げる。

そんなファルファレルロにアザゼルは優しく頭を撫でた。


「ファルファレルロは細かいこと考えずともよいですぞ。タダでさえバカなのにもっとバカになられては困りますからな」

「なんだとー!いくらアザゼルとはいえワタシも腹立つ時は腹立つんだぞーっ!」


ポコポコとファルファレルロがアザゼルの胸の辺りを叩く。

本気で怒っていたらファルファレルロは土魔法を使って殺しにかかるのでこれが冗談だというのは両者の間では通じ合っているらしい。


「しかし、困りましたなぁ……。メフィストフェレスは口が硬いので余計な事は喋らないとは思いますが……奴程の戦力を失うのはかなり辛いですぞ」

「安心してアザゼル!ワタシがメフィストフェレスの分まで働くから!」

「む、やはりファルファレルロは頼りになりますなぁ」

「でしょでしょー?」


2人はそんな何気無いやり取りをしながらゼクスの部屋から遠ざかって行った。

まだ2人は未来に絶望などしていない。だが、ゼクスは違った。


「くそっ……!どうすればいい……!この戦力差はどうしようもない……!強化薬だけでは足りない……。だが、アレを動かすのは……危険過ぎる……」


ゼクスは長く葛藤した。

長く支え続けて来た魔界だ。その未来のためと言い、現在を破壊するのだ。

そんなことが許されるはずがない。


「だが……やるしか……やるしかないんだ……!」


ゼクスは勝つために手段など選んではいられなかったのだ。


---リュートside---


「リュート様、次はこちらから攻勢に出ます」


徐にアリスがそう切り出した。


「今は停戦中だろ?」

「ですのでその停戦協定は反故にします。事前にその旨を伝え、攻め込む日も通告しますので問題ないでしょう。国家間の問題ではなくこれは内乱ですし、何処かの誰かから叩かれる謂れはありません」

「そ、そうか……」


俺は少し引き気味に答えた。

アリスは武官ではなく文官だ。こういう国家間の問題も請け負って来たのだろうか。

昔の事はよく分からないが。


「現在ゼクス陣営はメフィストフェレスを失い、士気が下がっているでしょう。今こそが好機です」


ルシファーが言った。

そうだ、俺は勝たねばならない。相手が疲弊しているのなら攻めるべきだ。

アリスが停戦を受け入れた理由は俺の安否の確認のためらしいが、今俺は無事だ。

ならここで止まっている理由はない。


「分かった。進もう」


進むしかない。

俺は、戦うしかないのだ。


「明日には開戦します。通達は事前に出しておきますが。それまで魔王様はお休みくださいませ」

「分かった。すまないな」

「いえ、礼には及びませぬ、我が魔王様。これも臣下の務めです故」


ナヘマーがルシファーの背後からヌッと姿を表し、口の端を歪めた。

凄く悪役のような顔だ。計画の佳境で裏切りそう。


「我が魔王様……、私の顔に何か付いてますかな?」

「あ、いや。何もないさ。しっかり頼むぜ」

「はっ!仰せのままに!」


その時、遠くの方から何かが聞こえた気がした。

俺ははっと顔を上げ、窓の外へと目をやる。しかし、特に何もない。

だが、まだ俺の不安は拭えなかった。何かが近づいてくる。そんな気がするのだ。


「ナヘマー、ルシファー。何か聞こえないか……?」

「はて……、何か……とは……?」

「いや、聞こえないなら良いんだが……。まるで地響きのような……」

「ま、魔王様!確かに聞こえます!」


音が聞こえたらしいルシファーは血相変えてその場から消えた。

時間を凍結させて移動したのだろう。


「ナヘマー、アリスはどこだ?」

「アリスは……部屋におるのではないでしょうか……。疲れていると言っておりました故……」

「ルシファーのあの焦りよう……。不味い事が起こっている可能性がある!付いて来い、ナヘマー!」

「はっ!」


俺は正面のバルコニーへと走った。


---


バルコニーから正面の景色を眺めた俺は絶句した。


「なんだ……アレ……⁉︎」


大きな砂ぼこりとともに新政権派の軍がこちらへ攻め込んでくる。

だが、俺が驚いているのはそんなものにではない。


その背後だ。


「何だよ……あれ……!何であんなものが……!」


それは巨大なナニかだった。


その正体はわからない。


だが、俺には前世の二次創作の知識がある。戦車のようで、それでいて巨大だ。さらに自走してこちらへ幾つもの砲門を向けている。


それは巨大化された戦車のようなものだった。

最近見たものと似ているといえばマキナの殲滅機(エクスキューショナー)だ。


蜘蛛のような細く長い足をガシャガシャと前後させながらその巨体からは想像もつかないほどのおそるべき速さでこちらへ迫ってきている。


まだ停戦協定は破棄していない。

にも関わらず、新政権派は俺たちの本拠地である魔王城へと攻めてきたのだ。


「勝算がある……ということでしょうか……」

「だろうな。あの兵の目を見てみろ」

「目……。な、アレは……!」


そう、新政権派の兵達の目は普通じゃなかった。

明らかに狂った目をしていた。


「先日遭遇した者たち同様……強化薬(ブーストドラッグ)による副作用でしょうな……。アレでは数日ほどしか命は持ちますまい」


強化薬は強大な力と引き換えに多大な副作用を及ぼす恐ろしい劇薬だ。

だからこそ、親父はそれを封印していたのだ。


その時、背後から血相変えたベルとアリスがやってきた。


「リュート様!これは一体……!」

「新政権派軍だ。すぐにこちらの兵を出して迎え撃て。奴らは強化薬によって正気をなくしている……。右舷と左舷にわかれ、挟み撃ちにしろ!正面はアスタ、ルシファー、ナヘマー、お前たちに任せる。ベルは左舷を、アリスは右舷の指揮だ。俺はルシファー達と共に正面で戦う。良いな?」


メンツが揃ったところで迅速に指示を出す。

少しでも指示が遅れてしまうと俺たちは城諸共ぺしゃんこだ。


「マキナ!」

『マスター、お呼び……?』

「お前はあの後ろのデカイやつを片付けろ。全力を持って破壊するんだ。良いな?」

了解(アクセプト)、マスター」


二つ返事で答えるとマキナはその場から消えた。

1人であの巨大な兵器の元へと向かったのだろう。だが、マキナには異常な攻撃力と物量を兼ね備えた兵器がある。この実力を互角異常だろう。


「さて、一通り指示を出したところで聞くが……アリス、あのデカイ奴……何か分かるか?」

「はい……。忘れもしません。バゼル様が強化薬を封印した時、その門番として配置したものです」


なんてものに薬守らせてるんだよ親父は。

しかも薬取られてその門番は敵に乗っ取られてるし。


「長らく魔界の政権を握っていたゼクスの事です。全て手の内という事でしょう……」

「成る程な。ぶっ壊して良いんだな?」

「構わないでしょう。今は緊急事態ですし……誰にも文句は言わせません」


マキナの言葉に満足した俺は正面を睨み付け、叫ぶように言った。


「よし、ならばお前達は今すぐ配置につけ!マキナの兵と何人かの一般兵を正面につかせろ!開戦だ!」


「「「はっ!」」」


俺の言葉に頷いた配下達はその場から散会した。


携帯壊れてたのと、ストックが尽きてたので書きためていました。

その為、約1週間更新が遅れました。

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