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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
200/220

奪還作戦

祝・二百話!

ここまで続けることができたのも読者の方々のおかげです。

これからも「転生魔王の異世界征服」をよろしくお願いします。


「お前達、死ぬなよ」

「勿論です、貴方をお守りするのですから」


そう言ってアリスはマントを翻した。

ベルがそれに続く。


「リュート様、ご無事で。アスタ、リュート様を絶対に守って」

「任せるっすよ!」

「ルシファー、心配だからアスタをお願い」

「魔王様を最優先とするが、それでも良いのならな」

「頼んだ」


そう言ってベルは俺たちに背を向けた。

マキナが心配そうにこちらをチラチラと見ながらブツブツと呟く様に言葉を紡いだ。


『マスター、私の兵達を置いていく』

「おう、お前もちゃんと戻って来いよ?」

『壊れるかもしれないけど直る範囲内で帰ってくる』

「よし、なら行ってこい。任せたぞ、マキナ」

了解(アクセプト)、マスター』


マキナは少し元気だ戻ってきたようでいつもの調子で頷いた。

全員揃って俺の事が心配らしい。


「さて……」


俺が立つ場所は城のバルコニー。

見おろすと下には多くの旧政権派の人々の姿があった。


『リュート様ー!』『魔王様ー!』


多くの人々がこちらを見てはしきりに声を張り上げる。

これからの戦いにコイツ達の力は必要不可欠だ。


俺は少し前へと進み出て、大きく息を吐き、言葉を紡ぐ。


「俺が、先代魔王の息子のリュート・エステリオだ。お前達には長いこと苦労をかけてしまったな……。すまなかった!だが、この戦いももう終わりだ……。ここで全てを終わらせるぞ……!勿論、俺たちの勝利でだ!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


ゴオオオオ!と声が響き渡る。


全ての兵達が俺の声に賛同し、歓声を上げている。


「我が魔王様!この命、貴方様のために!」

「リュート様!俺もっす!」

「魔王様……。この命に代えても……貴方をお守りいたします」

「リュート様。安心して欲しい。ここは任せられた」

「リュート様、どうかご無事で……!」

『マスター、命令を遂行する』


ナヘマー、アスタ、ルシファー、ベル、アリス、マキナ。

六人の配下達が順に意思を表明する。


「行くぞ!お前達!全てを……取り返す!」


『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


---


俺はアスタ、ルシファー、ナヘマー、そして少数の機械兵を連れて薄暗い森を突っ走っていた。


「リュート様!ここはもう敵陣奥深くっす!注意して下さいっす!」

「おう、分かってる!」


背後にはガシャガシャと、しかし普段よりは比較的小さな音を立てる機械兵達。

魔族の生身の兵に比べると格段に戦闘能力と耐久性能が高い。

姿を消すこともできるので隠密行動に向いている。


「我が魔王よ、前へ出るのはおやめ下さい。どうか私の後ろに……」

「ナヘマー、魔王様はこういうお方なのだ。やめておけ」

「むっ……、フン、貴様らの方が長く仕えていると言いたいのか!」

「そんなことは誰も言っていないだろう」

「貴様、今笑ったな?見たぞ、私は」

「ふん……(笑)」

「貴様ぁぁぁぁぁあッ!」

「お前ら喧嘩すんな!」


何だこいつら、仲悪かったのかよ。


「魔王様、彼方をご覧に」


ルシファーの言葉に顔を上げる。

そこには大きめの建物がそびえ立っていた。

間違いない。あそこにゼクス達がいる。


「あの建物か……。何つーか城って感じじゃねぇな……」

「かと言って屋敷というわけでもありませんし……」

「なんすかね?あれ」

「私にも分からんな」


三人が分からないのも無理はない。

それは、前世の世界では馴染みの深い高層ビルだったのだ。

しかし、高層と言うには些か高さが足りないかも知れないな。

だが、この世界の建物としては格段に高い建物だ。


「何であんなもんが……。誰かいるのか……?」


もしかすると俺の様な転生者や祐奈の様な転移者がいる可能性がある。

ソイツが何を作り出しているのか俺でもあまり推測はできない。


そもそも俺が前世で精通していたのはIT関連だからな。異世界に来ても特に使い道のない特技だったのだ。

だから俺は異世界転移もの主人公がよくやる技術革新(イノベーション)を全く行なっていないのだ。

いくら機械を上手く扱えるからと言っても、PCを何もないところから自作するなんて芸当が出来るはずもない。

俺の会社は俺の様なシステムエンジニアを大量に抱えてアホな営業供が大量に無理難題(いらい)を取ってくるというアホ会社だったからな。


「まさか、建築士か何かだったのか……?」


この世界にはコンクリートはない。

だが、魔法を使えばそれに類するものは作り出せるのかもしれない。

この世界に重機はない。

だが、それもやはり魔法を使えば解決するのかもしれない。


素材の問題が解決すれば理論上は作ることが出来るだろう。


「技術者が一番強いんだなぁ……。こうなると分かってりゃ俺だって知識を詰め込んでいたんだが……」


そうボヤくも後の祭りである。

異世界に転生するだなんて分かるわけないだろ。


高層ビルという事は見た目だけでは無いのだろう。

何らかの罠が大量に用意されているだろうし、そもそも外壁からして堅牢に作られている事だろう。


「遠くの方から声が聞こえるな……」


振り返ると少し遠くの空に火の手が上がっていた。

旧政権派軍と新政権派軍が激突しているのだろう。


「散っていった同胞達のためにも頑張るっすよ!」

「そうだな。散ってないけどな」

「嫌っすねー、気分じゃないっすかー」

「気分で殺すな。んじゃ、バレねぇように入るのと正面突破するの、どっちが良い?」


「「「正面突破です(っす)!」」」


「お前ら実は仲良いだろ」


そう言うことになった。


---


「お前ら、正面突破って簡単に言うが……何か考えてんだろうな?」

「何も考えてないっす!」

「死ね!」


アスタが何も考えていないことを即答で表明したので取り敢えず黙らせる。

なんて能天気な顔してやがる。本当に何も考えてませんって顔だ。

どうしようもないな。次、ナヘマー。


「私は我が魔王様に全てをお任せいたします」

「要するに何も考えてねえじゃねえか、アホめ」

「も、申し訳ございませんッ!」


そのままナヘマーは五体投地に移行した。

というか、何かあったら五体投地するのやめろ。

日本人であり現代人である俺からしたら五体投地が匍匐前進でパンツ覗こうとしてる変質者に見えて仕方がないのだ。

次、ルシファー。


「僭越ながら、私の策をお聞きいただいてもよろしいでしょうか?」

「お前はやっぱり考えててくれたんだな、流石はルシファー頼れるぜ」


流石はルシファー、頼れる男だ。


「お褒めに預かり光栄至極」


慇懃に礼をするルシファー。仕草ひとつひとつも決まっている。

アスタやナヘマーとは大違いだな。


「流石はルシファーっす!」

「ぐぬぬぬ、これで勝ったと思うなよルシファー!」

「負けてんだよ、認めろナヘマー」


なぜまだ負けていないと思ったのだろうか?ボロ負けなんだが?


「んで、策ってのは?」

「アスタ、ナヘマーの2人が正面突破し、我々が裏側から回り込めば良いかと。機械兵も陽動に使いましょう。目的はアクア様とジン様の奪還。奴らとの決着自体は後日でも構いません。でしたら、何よりも先にアクア様とジン様の安全を確保するのが先決かと」


確かに、無理して奴らを倒す必要はない。

目的を一つに絞り、行動を特化させることで成功率を上げることができれば……こちらの方が安全だ。


「成る程な、出来るだけゼクス達とは遭遇せずに……って事か」

「はい。という訳でだ、アスタ、ナヘマー。お前達の役回りは危険な事この上ないが、これは魔王様も同意された策だ。存分に働いてもらうぞ。良いな?」

「勿論、構わねぇっすよ!」

「フン!癪だがこれも我が王とお妃、そして王子のためだ。良いだろう」


2人が同意し、俺たちの今後の行動方針は決まった。


「よし、行くぞ!お前達!」

「「「はっ!」」」

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