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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
199/220

戦いの前

4日ぶりの投稿です。次回はいつも通り2日後になる予定です。


「では、魔王様。一刻も早く奴等の本拠地へ赴きましょう」


アリスは俺の乱れた衣服を直しつつ言った。

なんだか母親みたいだな。妙に甲斐甲斐しい。


「あぁ、そうだな。アリス、お前には旧政権派の兵力の管理を任せる。マキナ、お前は機械兵を大量に展開してこちら側の戦力を傘増ししといてくれ」

了解(アクセプト)、マスター』


マキナは機械兵という強大な戦力を大量に保有している。

正直それを計算に入れて仕舞えば圧倒的な兵力差で押しつぶせるのではないだろうか?


「流石にそんな簡単にはいかねぇか……?」

「リュート様!俺はどうしたら良いっすか?」

「お前はー……、んー、特に何も無いな」


今はここで待機だな。

ゼクス達と戦うには旧政権派の兵力が必要だ。少し待たねばなるまい。


「そっすかー……」

「まぁそう言うな。後で暴れられるさ」

「リュート様……。少し、休んだらどうっすか?」

「ん?何でだ?」

「ちょっと……。怖い顔してるっすよ」


その時俺が相当怖い顔をしていると言う事がやっとわかった。


「悪い、少し休む」

「は、はいっす。俺たちがしっかり起きとくっすから安心してくださいっす」

「おう」


エマの面倒は俺が見るべきなんだろうが、ルシファーやアリスが率先してやってくれている。俺に休めと言っているのだろう。なら、その好意に甘えるとしよう。


俺はアスタ達から離れ、1人で適当に部屋を見繕って入った。

ソファーがあるのでそこで仮眠しよう。

ふと、そばにあった鏡を見ると俺の顔はそれはそれは酷いものだった。


「なんだこりゃ。疲れてますって顔に書いてやがる……」


目には軽くクマができていたし、なんだか普段より痩せている気がする。


「少し寝よう……。アクアと顔合わせるのにこの顔は無いわ……」


絶対にアクアとジンを助けると誓って俺は少しの間眠りに落ちた。


---


「リュート様、よくお休みになられましたか?」

「あぁ、そこそこな。経過はどうだ?」

「いくつかの街で小競り合いがありましたが、大きな問題は」

「そうか」


俺は起床してアリスと短い会話を交わした後少し黙り込んだ。

これから始まるのは戦争だ。気分のいいものではない。

もうやりたく無かったのだが、こればかりは仕方がない。

既に賽は投げられたのだ。


「アリス、兵の指揮は頼むぞ。俺は直接ゼクスに会いに行く」

「はい、奴めの兵達はお任せください。我々が命を賭けて……」

「別に、命は賭けなくていいからな?」


釘を刺しておく。俺としては死んでほしくないのだから、自分の命は大切にしてほしい。

少なくともアスタやアリスは躊躇なく命をかけそうで怖いのだ。

まぁアスタとルシファーは連れて行くけど。


「マキナ、アリス、ベルはここに残れ。ゼクスの新政権派軍を止めろ。ルシファー、ナヘマー、アスタは俺と一緒に手勢を率いて本拠地にカチコミだ」


俺は手短に作戦を説明する。作戦というにはやはりお粗末だったがまぁ細かい事にはこだわらない。

マキナの兵力。ベルの広範囲魔法。そしてアリスの指揮。これだけ残しておけば新政権派軍をしっかりと足止めしておいてくれるだろう。


そして単体の戦闘能力の高いルシファー、アスタ、ナヘマーを連れて俺がゼクスに直接対決を挑む。

メフィストフェレスだけでなく、復活しているであろうファルファレルロとアザゼルを倒さねばならない。だが、この役目は3人に押し付ける。

俺は先ず囚われの身となっているアクアとジンを助け出す。そしてその後、ゼクスを倒してハッピーエンドだ。


正直言って口にするだけなら簡単そうなのだが……、そうでもないのが現実だ。


「うっしゃ!絶対お守りするっすよ!リュート様!」

「我が魔王様をお守りするのは私だ、アスタ」

「はいはい、張り合わんでいい。俺より優先するのはアクアとジンだ。って言いたいところだが……ナヘマーは2人の顔を見た事ねぇよな……」

「問題ありません、我が魔王よ。私は貴方様の元を片時たりとも離れる気はありません故……」


言いながら俺にピトッとくっついてきた。きめぇ。


「離れろ!暑苦しいな!」

「そんな御無体な!我が魔王よ!私は貴方様の事を第一に考えていると言うのに何故(なにゆえ)ですか!」

「分かったからちょっと離れろ!気持ち悪いんだよ!分かれ!」


暑いし気持ち悪いしさっさと離れてもらう。

正直言って俺はナヘマーがホモなんじゃないかとすら思い始めたぞ。

嫌だなぁ……。コイツは配下だから俺のケツを狙うなんて事は無いだろうけど……何だか嫌だなぁ……。


「ルシファーはどうした?なんでさっきから黙ってるんだ?」

「はっ、申し訳ありません……。少し考え事を……」

「珍しいな。何か気がかりでもあるのか?」

「いえ、大した事ではありませんので。ご心配には及びません、魔王様」

「そうか……。なら良いが……。作戦開始は明日の明朝だ。それまでゆっくりと体を休めておけ」

「はっ!」

「了解っす!」

「貴様!魔王様の御前なるぞ!もっと礼儀を尽くせ!」


ナヘマーは黒く逆立った短髪をさらに逆だたせて目を剥いた。

凄い顔だな……、うわ、白目剥いた。グリンって音聞こえた。


「良いじゃ無いっすかー、リュート様はそんな小さな事を言うような男じゃねぇっすよ!ね、リュート様」

「あ、ああ、そうだな……。まぁ楽にしてくれ」

「勿体なきお言葉!我が魔王様はお心が広くあらせられる!」

「何だかバカにされてるような気分だ……」

「滅相もございません!」


心から平伏しているのはわかるんだが……、なんだかドッキリにかけられているような……王様ゲームで王様になったような気分だ。

いや、俺魔王様なんだけどさ。


「さて、行くか。宣戦布告は……必要ねぇよな?」


俺はゆっくりと立ち上がると遠くの景色を睥睨し、独り言のように呟いた。


ゼクス……。首洗って待ってやがれ。

俺の大切なモンをとって行ったツケはきっちり払ってもらうぞ。

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