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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
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アザゼルとネヴィロス


「アリス、ナヘマーは何処にいるんだ?」

「現在は魔王城にて守りを固めております。しかし、あの男は行動の読めない男ですので……。突然全く別の場所へ姿を表すこともしばしば……」


何だか苦労してそうな表情のアリス。

ナヘマーって奴は結構な問題児のようだ。

よく言えば臨機応変。悪く言えば人の話を聞かない。みたいな?


「ここは既にエステリオに近い。奴等がいつ来るか分からない以上警戒態勢に入っておけ」

「了解っすよ!」


一応警戒させておく。

戦力的には俺は心配はしていない。だが、もしもがあっては困る。


「魔王様。これまでにやってきた奇襲はあまりにお粗末でした……。何か仕掛けて来るやも知れません」

「だろうな。油断を誘ってデカイ戦力をぶつけるとかそんなことやってきそうだな」


だが、こちらの戦力は油断などしない。

油断して痛い目にあったことが何度かあるからな。流石に反省するのだ。


「マキナ。偵察を頼む」

『そう言うと思って既に偵察機(サーチャー)を飛ばしている。褒めてもいいよ、マスター』

「はは、流石だ……」


思わず絶句した。コイツ、機械じゃ無いんじゃないだろうか?

自発的に行動するし、俺に褒めてもらいたがるし、レスポンスも的確だし。


「流石はローグ様作の機会神。驚くべき性能です」

「だな。あいつが作ったってのが釈だが、マキナには関係ないか」


マキナは少し暇になったのかアクアの真横について歩き始めた。

俺がアクアの護衛を頼むと言ったのを忠実に守っているらしい。

現在、いつ敵が来てもいいように常に敵襲に備えている。アスタやベル、アリス、ルシファーは常に戦闘に入れるようにしている。

そうなるとジンとエマの護衛はどうするか?一応アクアがいるとは言え、少し手が足りない。

そこでマキナだ。

マキナはたった一人で大量の機械兵を保有している。これを使わない手はない。

その為、戦闘、護衛、偵察、全てをマキナがやっている。

流石過ぎる。帰ったら褒美をやらねば。

褒美って何がいいんだろうか?オイル?


『マスター、ご褒美はマスターの撫で撫でで良いよ』

「心読むんじゃねーよ」


何なのお前。エスパーなの?


「リュート様。ご注意を。何か来ます」


その時、アリスが上方を向いて言った。


「あぁ、禍々しい魔力を感じるぜ……。誰だよ?コイツぁよ」


ウリエルは天使だからだろうか、魔族の魔力に顔をしかめる。

俺たちの魔力も気持ち悪がっているのだろうか?


「じゃあ……、アスタ、加護の魔法はちゃんと働いてるか?」

「はいっす!いつでも行けるっすよ!」

「私も万全。リュート様、指示を」


さて、アリスの説明を聞いてからこの二人と加護の契約をしたのだ。

あれから初の戦闘だ。二人の実力が見たい。


『マスター、数が多い。大体20人ぐらいいる。どうする?』

「そうだな……じゃあその20人はベルとマキナに任せる。残りはまだ別働隊がいるだろうからそれに備えろ。今の俺たちに20人程度でどうにかなるとは敵さんも思っちゃいないだろうしな!」

「了解っす!」

「了解」

「はっ!」

「御意」

了解(アクセプト)、マスター』


アスタ、ベル、ルシファー、アリス、マキナが順に頷く。


「リュート、わたしは……?」

「アクアはここから水魔法で援護を頼む。お前は遠くから攻撃する方が性に合ってるだろう。それと、誰かが怪我をしたら治療を頼めるか?」

「……うん。分かった」

「それと、当然だが子供達を頼むぞ」

「勿論。絶対守るよ……」


これで全てに対して対抗策を用意した。

どこからでもかかって来やがれ。


「リュート、気をつけて……」

「あぁ、絶対魔王城へ戻るぞ。絶対だ」

「ん……」


その時、アクアが俺にキスして来た。

軽く触れるようなキスだった。


「いってらっしゃいのチュー……してみた」

「あぁくっそ。何でここ家じゃ無いんだろ」


今すぐ押し倒したくなって来た。

待て待て落ち着け、もうすぐ戦闘なんだよ。それに子供達が見てる。

物心付いてる子供に見せるもんじゃ無い。


「アクア。一つ言っとくことが増えた」

「何……?」

「帰ったら取り敢えず抱くからな」

「………………う、うん」


全くこの女は俺を興奮させるツボを弁えている。

顔を真っ赤にしてめちゃくちゃ可愛い。今すぐ食いたい。


「よし、お前達悪かったな。備えろ!」

「本当っすよ。家でやって下さいよ」

「悪かったってだから」

「仲が良いのは良い事です。ジン様とエマ様に弟や妹が生まれるのも近いですね」


お婆ちゃんはもうちょい自重してほしい。

しかし、部下の前でイチャつくのもどうかと思うな。今後は俺も自重しよう。


「来たぞ!迎え撃て!」


そして、約20人の襲撃部隊が姿を現した。

全員同じ顔に見えるのは気のせいだろうか?


「ベル、マキナ!予定通りだ!殲滅しろ!」

「了解。『獄炎爆熱撃(ヘルフレイムブレイズ)』!」

武装展開(マキナズ・フォース)。『殲滅砲撃(エクスキューションカノン)』!」


広域破壊型魔法を使用し、一気に殲滅にかかる。

この程度ならば二人に任せておけば間違いはない。


だが、アテは外れた。


「何故……無事なの……!」

『マスター。ごめんなさい。計画通りに行かなかった』

「バカな……!」


20人全員がその場に立っていたのだ。


何故だ?あれほどの火力砲撃を食らって何故無事なんだ?

死なないにしても重傷になるぐらいはやったはずだ。

二人が手を抜いたのか?いや、そんなはずはない。

アリスは仲間になってから日が浅いし、ウリエルはそもそも俺の部下じゃないので分からんが、他の四人に限って俺の指示を違えるハズがない。


「くっ……!接近戦になる……!アスタ!ウリエル!対応しろ!アクア、援護を頼む!」

「行くっすよ!ウリエル!」

「へいへい、いくぜー!」

「分かった、リュート……」


大丈夫だ。この二人は接近戦のエキスパート。

それに、二人共確実に意識がなくなるまで攻撃するタイプだ。


「コイツら……、強いっす!」

「おいおい、これ全部俺たちだけでやんのかよ!」

「チッ!全員でやるしかねえか……。不意打ちに注意し、二人一組でかかれ!」

「はっ!」


アスタはウリエルと、ベルはマキナと、ルシファーはアリスと組ませる。

俺はアクアとだ。子供たちもいるがアクアは遠距離主体だし、近づいて来た場合回避に専念すればなんとかなるだろう。


そして、その時、二人の影が上空に現れた。


「見つけましたぞ。リュート様。やはり生きておいでだったご様子」

「んじゃ、命令を遂行するぜ、アザゼル。対象は生きたまま捕獲。他は皆殺し……で良いんだよなぁ?」

「その通りですな、ネヴィロス。行きますぞ」


二人の男がスーッと地上に降りて来る。

特に奇襲を仕掛けるでもなく、普通にゆっくりと俺たちの目の前に現れた。

一人は赤い長髪の男。こちらがアザゼルと呼ばれていた方だ。

もう一人は黒い短髪の男。こっちがネヴィロスだろう。


「アザゼル、ネヴィロス!貴様ら……!どのツラ下げてここへ来た!」


激昂したルシファーが声を荒げる。


「知ってるのか、ルシファー」

「はい。アザゼルもネヴィロスもバゼル様の部下でした。しかし、バゼル様の死後、エステリオ家を裏切り、ゼクス率いる新政権派に入った忌々しい者達です……!」

「まぁた裏切り者かよ」


親父が死んだ途端コレって……。それだけ親父が圧倒的だったのだろうな。

無理やり押さえつけられていたのだろうか?それとも、俺が親父に比べて頼りないからだろうか?

しかし、それは無茶だろう。俺は当時生まれたばかりだぞ。


「んで、その対象ってのは……誰だ?マキナか?それともウリエルか?」


マキナは特別な存在だ。なにせ神によって作られた機械の神なのだから。戦力として欲しい、とか言う線が考えられる。

そして、ウリエル。この間までウリエルは操られていたのだ。また欲しいのかも知れない。


しかし、俺の予想とは全く違った答えが返って来た。


「対象の名は……、アクア・エステリオだ」

「何だと……?」


何故アクアが?いや、理由を考える必要はない。

奴等の目的は全く分からんがアクアを守りきる必要があるのは変わらない。


「つまり、アクアを除く俺たちを皆殺しにするって事か……」


どの道皆殺しにするつもりだったから誰を狙っているのか明かしたのだろう。

しかし、思い上がりだな。いくら戦力で優っているからと言っても、俺たちは黙って殺されるようなタマじゃあない。


「魔王様、アザゼルは私にお任せを。アスタ、ネヴィロスを頼む」

「うぃっす」

「アスタ、俺も手を貸すぞ。ルシファー、一人でやれるな?」

「問題ありません。奴程度、確実に捻り潰してやります」


かなりの自信だ。

だが、雑魚だと思っていた20人は予想を超えた強さだった。

ならばアザゼルとネヴィロスも相応の強化状態だと考えるのが自然だ。

大方、加護の魔法を使っているのだろう。


「ベル、マキナ、アリス、アクア。そっちの奴頼めるか?」


少々手間取る可能性が高い。

正直言ってこの四人ならば問題ないとは思っているから任せるのだ。


「問題ない。一撃では倒せなかったが、勝てる範囲内」

『確実に息の根を止める。マスター、心配はいらない』

「リュート様。御安心を、我々が責任持って処理致します」

「リュートこそ……怪我しないようにね……?」


良し。四人共やる気十分だ。

だったら俺たちも目の前の敵に集中するとしよう。


「ルシファー、できるだけ手早く仕留めろ。良いな?」

「はっ!魔王様こそ、御武運を!アスタ、魔王様を絶対にお守りしろ!」

「了解っすよ!任せろっす!」


アザゼルとネヴィロスは二人で顔を見合わせ、フゥっと息を吐いた。


「ルシファー。ひさしぶりですな。壮健な様で何よりですぞ」

「白々しい物言いを……!アザゼル!」


ルシファーの中ではこのアザゼルとネヴィロスは最高に許せない相手らしい。

俺たちに一度も見せたことのない様な怒りの表情を見せている。


「さぁてと、アザゼル。リュート様とアスタは俺がぶっ殺すぜ?テメェは責任持ってルシファーをブッ殺せ。その後アクア以外を皆殺しだ!」

「それでは、健闘を祈りますぞ」


ネヴィロスは俺たちに血走った目を向けながらニヤリと笑った。

成る程。やはり皆殺しか。先ほども言っていたが、アクアの何が目的なのだろうか?


考えていても仕方がない。

こいつらをぶっ飛ばして聴きだすか。

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