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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十一章 魔界編 其の二
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最強の配下

新年一発目の投稿です。

活動報告でも言いましたが改めて、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


「さて、敵の制圧は完了した。5人とも生きてるか?」

『1人動かなくなった』


ホントだ。1人死んでるんじゃねえか?


「あ、大丈夫っすよ!フンッ!」


ゴッ!と鈍く大きな音を立てながらアスタがほぼ死んでる奴の胸を強打する。


「うげふっ!ぶべっ!ゲホゲホゴホ!」


お、息を吹き返した。

どうやら心臓が止まっていたらしい。

危ない危ない。殺さずに済むのならそれに越したことはないからな。

俺は元々平和な日本でぬくぬくと暮らしていた日本人なのだ。出来れば殺人なんてしたくない。まぁやったのはマキナだがな。

確かに、俺だって必要に迫られたり、激情に駆られたりして殺したことはある。だが、やらずに済むのならそれに越したことはないのだ。気分が悪いからな。


「さて、ルシファーは大丈夫か……?」


薬を服用したウリエルの戦闘能力は計り知れないものがある。

幾らルシファーでも危ないかも知れない。



---ルシファーside---



「シネェ!ルシファー!」

「くっ……!」


間一髪で躱す。


だが、ウリエルの鋭い強打は留まるところを知らず、何度もルシファーの急所を狙い続けた。


ウリエルの奇跡の能力による『炎熱強化(バーニングブースト)』。

そして、現在は『強化薬(ブーストドラッグ)』の力を相まって恐ろしい膂力を発揮している。

それに、奇跡による炎は普通の炎ではない。『燃やす』という概念そのものなのだ。

それは、ルシファーが『凍らせる』という概念の力を持つのと同様に。

ルシファーの氷は全てを氷結させる。だが、ウリエルの炎は全てを燃やし尽くすのだ。


確かに、普段のルシファーとウリエルならば実力はルシファーの方が上だ。一方的な試合展開となることは必至だ。

だが、今は『強化薬(ブーストドラッグ)』の影響でお互いの戦闘能力にあった大きな差が無くなってしまっているのだ。


「『氷結領域(アイシクルワールド)』!」


ガキンッ!と鈍い音と共にルシファーを囲む全ての炎を凍りつかせる。

しかし、ウリエルの凍てつく炎は全てを燃やし、遂にはルシファーの氷すら溶かしてしまった。


「弱くなったナァ、ルシファー……!クタバリやがれェ!」

「『氷結蜃気楼(フリーズミラージュ)』」


超低温で蜃気楼を作り出し、ルシファーはウリエルの首を殺す気で薙いだ。


だが、


「なっ……!」


ウリエルの身体はまるで幻のように揺れて、消え去ったのだ。

これは、先ほど自分が出したのと同じ蜃気楼……。


そして、ルシファーの体を衝撃が襲った。


「かばぁっ……!」


ドゴォッ!と音を立てながら吹き飛ぶ。

パワーが違い過ぎる。代償はあるのかも知れないが、そんなものいまのウリエルには関係ないのだ。

あとでどんな目に会おうとも。ウリエルは捨て石なのだ。勿論ウリエルはそんなこと知らない。


「今のは……蜃気楼……か……」

「『炎熱蜃気楼(バーニングミラージュ)』。テメェの奇跡のモノマネダ」


既にウリエルの両腕は普段の数倍の大きさにまで膨らんでいた。

それに比べて下半身が貧弱に見える。


しかし、ウリエルの身体はどんどん膨れ上がっていくのだ。

このまま放っておくと爆発するのではないだろうか?と思う程には。


「私は……、ここで貴様を止める義務がある……。やはり、今の貴様相手には選り好みしていられないようだ……」


そう言うとルシファーは純白の翼を顕現させた。

12枚の大翼は周囲の光を反射し、自身の氷と相まってとても美しかった。


そして、その純白は突如、漆黒へと色を変えた。


「ウリエル……。貴様のその力はまやかしだ。真の力ではない。だからこそ、私が貴様を止めよう……。この忌まわしき堕天の力で……!」


堕天。


それは、天使の黒化現象。


ルシファーはその黒い十二の翼を制御し切っていた。

これからどう動くのかは頭の中に入っている。

さぁ、潰そう。自身の主に仇なす愚かな天使を。


「ウリエル、今の()は手加減出来んぞ……!」


ユラリ、と。


まるで幽霊のようにその姿がブレたと思ったらルシファーは瞬く間にウリエルの目の前に現れたのだ。


「ナァッ⁉︎」

「『暗黒凍刃(ブラックブレード)』」


ザンッ!


祐奈なように力任せの剣ではなく、それは技巧を感じる一閃だった。


「ウリエル……。すぐに……、終わらせてやる」


ルシファーは更にユラリユラリと動いたかと思うと瞬時に斬撃の届く範囲に姿を現した。


「これは……」


俺は声を漏らす。

これは俺の推測だが、ルシファーは本当に一瞬だけ時を止めているのだ。

魔力を補足しても何処へ消えるのか全くわからない。


そう。目の前で起こっている通り、ルシファーは突然(・・)現れるのだ。


つまり、ルシファーは時間を凍結させ、瞬時に斬撃の届く範囲内に移動している。


しかし、ルシファーの時間凍結能力は乱発できるような能力ではなかったハズだ。

つまり、その無茶を堕天する事で可能としているのだろう。


「そんな事して……お前の体は持つのかよ……?」


俺は返事をしないであろうルシファーに向けて呟いた。

ウリエルは薬の力でルシファーを凌ぐ力を手にしている。

それを倒すには堕天するしかないのだろう。


「問題……ありませんとも……!」


ルシファーはウリエルの体を両断し、叫ぶように言った。


「魔王様……、お気を煩わせてしまい……申し訳ありません!ですが……、すぐに仕留めます!」


そして、まるで氷の刃そのものが光を放ったかのように光を反射した。


「トドメだ。ウリエル」

「ガァァァァァァァァァァァァ!」


キラリ、と刃が光った時、ウリエルは完全に無力化されていた。


凄い……。

やはり、ルシファーは最強の配下だ。

薬を飲んで強大な力を手にしたウリエルを堕天したとはいえ倒してしまうとは……。


「申し訳ありません……。少し手間取ってしまいました……」

「いや、そんなことより治療だ。アクアに見せよう……」


アクアは治療魔法が得意だ。

水系統、治療系統の魔法は彼女の十八番だ。


「アクア様、お手を煩わせてしまい申し訳ありません」

「ううん……、ありがと。頑張ってくれて……。『治療魔法(ヒーリング)』」


パァァァっと光が灯ったかと思うとルシファーの怪我は大方治っていた。

アクアの性格が反映されているのか何だか大雑把だ。

ところどころまだ切り傷が残っている。


「おいおい……」

「いえ、これだけ治れば後は自分で出来ますので……」


そう言ったルシファーの肌を見ているとみるみる傷がふさがって言った。

どうやらこれは魔法ではなく普通に自己治癒能力らしい。

一応元天使のルシファーだが、今は堕天して地上の存在となっている。分類としては魔族に近いらしいが、少し違う。

魔族に比べると全てにおいて性能が上位互換なのだ。『コレぐらいは出来る』と自分で言っていた。


「さてと……、アスタ」

「はいっす!」


俺がアスタに声をかけると、阿吽の呼吸でアスタが力強く返事をする。楽しそうだな、お前。

アスタはこれから俺が何をしようとしているのかわかっているのだ。


そう、至福の拷問……もとい、尋問……もとい、質問タイムである。


「さぁてと、拷問の時間っすよ〜」

「拷問っていうな。質問だ質問」


言い方に気をつけろよ?

俺たちは良くないことをするんじゃあない。ちょっと質問するだけなのだ。


ただ、目の前で関節をゴキゴキ鳴らしながらニヤリと笑うアスタはさぞかし鬼や悪魔と見紛うモノだったであろう。

まぁ、魔族だから似たようなもんだけどな。

ルシファー強過ぎ

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