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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十章 獣人界編 其の二
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7人の戦士


「リュートさん!さっさとコレぶっ壊して、アクアさん達の事抱き締めてあげてください!」

「あぁ……。そうだな」

「あ、そうだ。えい」


と、その時、突然祐奈が俺に剣を突き刺して来た。


ブスリ。


「いだぁぁあっ!な、何すんだ!」

「嫌ですねぇ、魔力供給じゃないですかー」

「事前に予告してくれますかね!俺は不死身だけど痛いもんは痛いんだよ!」


全くこいつは……、あぁ、もういいや。言ったって仕方がないか。

魔力が供給されたので俺の再生速度が上がった。みるみる俺の傷が癒えていく。


「リュートよ、これを破壊するのか」

「おう。壊さねえと獣人界全体に被害が及ぶ。ここで壊さねぇと……沢山の人が悲しむ事になる」

「クハハ……!リュートよ、お主は真に王の器を持っておったのであるな!クハハハハ!」

「リュートさん。私たちも微力ながら助太刀します」

「やっほ〜、リュートく〜ん」


カイリはいつものように硬い態度で腕組みをしている。

マイルは緊張感をどこかに置いて来た、といった様子で手を振っていた。


「さぁて、最後の一仕事だ!」


魔王 リュート・エステリオ、勇者 佐藤祐奈、陸王 ジャード・シャルリア、海王 カイリ・オルガ、マイル・オルガ、空王 ヴィシャス・ガレオン。


俺たちは王として、ここでアレを止めるのだ。


刻一刻と隕石は迫って来る。

この巨大な魔力光弾を破壊するのは至難の技だ。


だが、


「このメンツで……、やれねぇ訳がねぇ!」

「ですね!」

「その通りだ!フハハハハハ!はがぁっ!」

「ジャード殿。良い加減に顎を外す癖をお直しに……」

「カイリ〜、言っても仕方がないよ〜?」

「で、あるな」


そして、俺たちの背後からはもう1人の強大な戦力が姿を現した。


『リュート……、エステリオ……。私も力を貸そう……。どうか、私の力を使って欲しい……』


そう、デウスエクス・マキナだ。


今、7人の戦士が集まったのだ。


「お前、動けるのか?」

『緊急時専用回路を使用した。現在から時間で行って約十五分間の間だけ私の全身の機構は稼働が可能だ』


何やら難解な言葉を使ってはいるが、要するに15分経ったらまた動けなくなるってことだな。


「なに、15分もあれば十分だ。デウスエクス・マキナ、力を貸してくれ!」

『了解した……、新しいマスターよ』


そして俺は前方から迫り来る隕石へと視線を向けた。


「俺たちならやれる。俺たちの持つ最強の攻撃でアレをぶっ壊す!いいな!」


「「「応ッ!!」」」


そして、次の瞬間、


あり重なる魔力の閃光があたり一帯を包み込んだ。


---


「皆んな……無事か……?」

「わ、私は……なんとか……!」


俺の声に真っ先に答えたのは祐奈だった。

相変わらず人間離れしたタフネスだ。

やはり勇者は規格外だな。


「ぬぅぅ……、余も問題なぁいッ!」

「我も、無事だ……」


俺たちが7人全員で全身全霊の魔法攻撃を一つの対象に打ち込んだのだ。


ギリギリで破壊はできた。


しかし、破壊された魔力光弾は周囲へと爆散し、あたり一帯を滅茶苦茶に破壊してしまったのだ。


「カイリ〜、大丈夫〜?」


言いながらマイルが瓦礫の山からカイリを引っ張り出す。

膂力で言えばカイリよりもマイルの方が上らしい。

カイリはどちらかと言うと魔法の方が得意なのだ。逆にマイルは魔法はそこまで得意ではない。カイリに力を貸すことが出来る、と言う程度だ。


「うう……、何とか……。ありがとう、マイル……」

『ガガ……、マ、スター……、私も……問題……ない……ギギ……』

「物凄い問題ありそうなんだが⁉︎」

『15分が経過した……強制停止(シャットダウン)する……』


俺の心配をよそにデウスエクス・マキナはまた動かなくなった。

どうやったら動き出すのだろう……。どっかにコンセントでもついてないのだろうか。

多分魔力を供給すると動き出すと思うんだが……。


「しかし、城が無事なのは奇跡だ……」

「どんなもんですか」


そう、近くにあった城まで魔力光弾の被害を受けるところだったのだ。

しかし、祐奈の『神聖勇護(セイクリッドプロテクション)』によってすんでのところで防御することに成功した。

祐奈の魔法は攻撃や破壊といった効果しかないと思っていたのだが、案外祐奈の『守りたい』という心が魔法にも影響を及ぼしているのかもしれない。


「お手柄だぜ祐奈。流石は勇者様だ」

「えへへ〜、もっと褒めてくれても良いんですよぅ?」

「お前は褒めるとすぐに調子に乗るからな……。ま、今日ばっかりは調子に乗っても良いか。祐奈、お手柄だ。流石だ。お前は凄い。俺たちの誇りだ。天才だ」


たまには調子に乗るのも良い。

俺はそう判断して褒めて褒めて褒めまくった。

俺の拙い語彙力で考えつく限りのほめ言葉を羅列した。


「え……あの……」

「お前の防御魔法がなければ何人もの兵士や、俺の仲間たちも死んでいた。今回はお前が居ないとおっさん達も死んじまってたかも知れない……」


俺が褒めると調子に乗っていた表情は鳴りを潜め、どんどん顔が赤くなって行く。


「あの……その……」

「どうしたんだよ」

「あんまり率直に褒められると、その……、は、恥ずかしくて……」

「…………」


祐奈はガントレットを装備した重厚な両手を使い、必死でその真っ赤な顔を隠そうとして居た。


何だこの可愛い生き物は。


誰だ?


祐奈だ。


マジか。


祐奈ってこんな可愛い顔出来たのか。


「ユーナよ!今回の件の1番の功労者は満場一致で其方だ!自らを誇りに思うが良い!フハハハハハ!」


油断して顎を抑えていないジャードの代わりに、カイリが顎が外れないように顎を抑えていた。

笑うたびに顎が外れるのはやはり気になるらしい。


馬鹿(ジャード)の言うとおりであるぞ、ユーナ。もっと胸を張るが良いのである」

「おい貴様。今、余の名前を何の(・・)ルビとして振った?」

「フム……、何の話であるか?」

「ええい惚けるでない!余にはわかるのだ!何故だかわからんが非常に不愉快な気分になったぞ!このバカ鳥!焼き鳥にして食ってやろうか!」

「バカ猫め、今日こそ鍋にしてくれるのである」


すきあらば喧嘩するなこの2人は。

戦争中はあんなにも息ぴったりで仲間っぽかったのに、平和になった途端にコレかよ。


「そうだ!ミドさんは……⁉︎」

「あ、やべっ……忘れ」


「ほほぅ、忘れていた……ということか?この1番の功労者である、龍神 ミドガルズオルムのことをよもや……忘れていたと?」


背筋にぞくりと悪寒が走った。


ヤバい。


回答を誤ると殺される。


比喩でも何でもなく。


「私がお前達のために必死に魔力光弾を止めていたのに貴様は忘れていたと……?」


二人称が『お前』から『貴様』にかわった。

ど怒りだ。


「あ、いや……その……違うんだ……。俺たちも大変でさ……」

「貴様らが7人がかりでやっと破壊した魔力光弾を私はたった1人で3個も受け止めていたんだがなぁ……?」


何この人。やっぱりバケモンだ。

そしてこんなにも強いのに器が小さい。


「まさか忘れられるとはなぁ……、感謝はされなくても労いぐらいはあると思っていたのだが……よもや、忘れられるとはなぁ……?」


「「すいませんでしたぁーーッ!」」


俺と祐奈はその場で土下座した。


他のメンツは状況が飲み込めていないのか目ん玉を白黒させていた。

7人の侍意識した

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