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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
十章 獣人界編 其の二
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4つ目の奥義

寝てたせいで投稿が遅れた。予約投稿を使うべき


「ローグ……ッ!」

「やぁ、久し振りだね。リュートくん」


そう行ってヒラヒラと手を振るローグ。

久しぶりに出会ったが微塵も見た目が変わっていない。

見た目だけはどうみても小学生の男の子だ。


「デウスエクス・マキナはダメだったね。面白い試みだと思ったんだけど、君の頭のおかしさが感染してコイツも頭がおかしくなったらしい」


ヘラヘラと笑うその表情に虫唾が走る。


気が付いたら俺は大地を蹴っていた。


「ん?はは、君も懲りないね……僕に勝てる訳なあぁぁっ⁉︎」


回避したと思って油断していたローグの顔面に拳を叩きこむ。


ドオオオオオッ!


そこで殴るのをやめるほど俺はお人好しじゃないし、俺とローグの間の溝は浅くない。


「ぶっ殺す」


俺は明確な殺意を示し、ローグへと一撃加える。

どの一撃も殴る対象を殺す気で殴って居る。

既に強化倍率は限界をとっくに超えていた。

先程のデウスエクス・マキナとの戦闘は五分以内に終わった。さらにその後休憩出来た。


だから、もう少しの間なら……戦える……!


「お前はいつも油断している。それはよく理解してたつもりだ」


俺の口からは極めて冷静な声が出た。

自分で不思議なほどに心は静かだった。頭も酷く冴えていた。

ただ拳が熱く滾っていた。


「ここで……死ね」


唯の事実を告げるように言う。


ここで殺すと、


しかし、


「いつまで……調子に乗っている……ッ!?」


光の矢が全方向へと放たれ、俺は先程のデウスエクス・マキナ戦の時のように全身を撃ち抜かれる。


「ぐぁぁっ!」

「雑魚のくせに……バカにしやがって……!『神光純槍(ホワイトストライク)』ッ!」


極太の光の槍が俺を貫いた。


「がはぁぁぁっ!」


再生……出来ない……!


「君を殺すのはもう少し後だ。今は時期じゃない。ま、その辺の兵士とかは死んでも良いし、全員ぶっ殺して来るかな」

「や……め、ろぉっ……!」

「黙れ」


ザクッ!と俺の四肢に光の矢が突き刺さる。


「君はそこで大人しくしていろ。祐奈ちゃんにも死んでもらっちゃ困るけどね……アクアには死んでもらおうかな……?」


コイツ、今、なんで言いやがった……?


『アクアには死んでもらおうかな』だと……?


アクアを、殺すって事か……?


巫山戯んな……!


「あ……あ……あぁぁ……あぁあああ……!」


声を絞り出す。


己の痛みを誤魔化すために絶叫する。


こんなの痛くねえ。痛くも痒くもねえ……!


「うおおお……あぁあああ……うあぁあああぁぁぁぁあ……!」


俺の体を貫いている光の矢を無視して手足を引っこ抜く。


「うわぁお……、本当にバケモノだね君」

「てめぇ……アクアになんかしてみろ……ブチ殺すなんかじゃすまねぇぞ……」


ゆらりと立ち上がる。

幽鬼の如く。


「雑魚にそんなこと言われてもねぇ」


問答は必要ない。


「死ね」


ローグをぶん殴った。


「がぁぁっ⁉︎」


派手に吹っ飛ぶローグ。

訳がわからないと行った表情で俺の顔を見つめる。


「君……まさか……、それは……」


ローグはわなわなと震え、声を漏らした。


「成る程ね……。僕も本気を出さなきゃいけないらしい……」


そのセリフと同時にローグの周囲を光が渦巻いて囲んだ。


「君を舐めてたよ。でも僕の何気ない一言が君の覚醒を促したようだね……。コレが凶と出なきゃ良いんだけど」


これが本気……か。


ローグの全身からビシビシと大気を弾くような音が響く。

これが本気の五界神。

いつもならまるで勝てる気がしないところだが、今は不思議となんとかなる気がする。


「この力は……一体何なんだ……?」


先程怒りに任せた一撃は何も体を強化せずに殴ったものなのだ。

なのに強化した時以上の力が出たしローグを一方的に殴り飛ばすほどの速さだった。


「君は魔王の奥義は三つだと教えられてるだろ?本当はそうじゃない。危険すぎて封印された奥義が他に四つある。奥義ってのは7つあるのさ……」

「まさか、コレが……」


俺の、4つめの奥義。


「奥義の名は、『怒髪天衝(デビルズアングリー)』」


怒髪天衝(デビルブズアングリー)』。


それは古き魔王が使ったとされる『強化魔法(ブースト)』の極致。

全身に生物の許容限界を超える強化を施す。それも、ノーリスクで。

この超絶理不尽な奥義の正体は怒りという名の感情の爆発である。

『怒髪天衝』の名の通り、この奥義は……心の底から怒っている時にしか使えないのだ。

寧ろ感情が下を向いているときは弱くすらなるという途轍も無くピーキーな能力なのだ。


「君が独学でそこまで来たことに驚きを隠せないよ。唯の人間だったくせにね」

「お前が魔族にしたんだろーが」

「違うね。僕は転生させただけで魔族になったのは君だ。君が勝手に転生先を魔族にしたんだよ」


まぁそんなことどうでも良いが。


「しかし、『怒髪天衝(デビルズアングリー)』を発動させていながらそれほど静かにしてられるのも珍しいね。心の中は爆発寸前かい?」

「バカだなお前」


俺はジリ……!と両足に力を入れた。


「もう爆発してんだよッ!」


神速を超えた。


「くっ!」


本気を出したローグは今まで出会った敵の中で最も強く、最も早い。

全身に纏っている光の魔力は近づくだけで俺の肌を切り裂く。

更に、ローグの攻撃は全て俺の再生を阻害する能力を持っている。


自分の中でもここまで力があったとは思ってもみなかった。

コレなら……、ローグにも太刀打ち出来る……ッ!


「調子にのるなよ……、魔族如きに神が負けるかぁぁぁっ!」


その時、ローグの動きがブレた。


「なっ!」


気が付いたら俺は背後を取られていた。

一体何が起こった……⁉︎


「ごはぁぁっ!」


鋭い蹴りが俺の脇腹へとクリーンヒットし、俺はなすすべなく吹き飛ぶ。

更にそこへ追撃。


「『百神光矢(ゴッドアロー・ハンドレッド)』!」


無数の矢が俺を襲う。


しかし、


「速いね……君」

「それほどでも無いさ」


今の俺なら躱すことは容易い。


「だぁぁぁぁっ!」

「ふっ!」


ゴギッ!と硬質な音を立て、俺とローグのシルエットが交差する。

俺の強化倍率は先程無茶をしていた時よりも確実に高い。

そして体への負担が全く無い。

まさかこんなチート技があったなんて思いもしなかった。

俺は幼少期より強化魔法の連続行使によって肉弾戦主体の魔族になっていたのだ。この能力に覚醒する才覚はあったのだろう。


「本当に……君は強くなった!でも、ね……僕には及ばないッ!」


衝撃。


俺の全身を吹き飛ばす。

しかし俺はすぐさま空中を蹴った。

俺の高速の蹴りは空気を捉え、推進力を得る。


「消えろっ!『神撃光波(ゴッドブライト)』っ!」


極太のレーザーが俺を捉える。

しかし、俺の頑強に強化された体はまだこれに耐えきる。


俺とローグの接近戦は周囲へと衝撃を発生、拡散させていた。

しかし、徐々に俺の体が悲鳴を上げ始める。

強化魔法の代償などではない。単純な疲労だ。

そもそも神との二連戦なんてすると思っていないじゃないか。

ペース配分どころか少しでも手を抜けばデウスエクス・マキナに殺されるところだった。

勿論俺は死なないので、仲間が、という意味だが。


「疲労が見えて来たね。それと、勝機は見えなくなって来たね」

「巫山戯ろっ!」


しかし、俺の虚勢も既に通じない。

地力が違いすぎるのだ。

そもそも神は奇跡という能力を使用する。

これにより、『魂食(ソウルイーター)』を使えずとも魔力枯渇の心配をする必要がない。


「そらっ!」

「ごっ……ふっ……!」


その時ローグの一撃が俺の身体を貫通した。


「さぁ、トドメだ……、『神裁撃(ゴッドジャッジメント)』ッ!」


マズイ……!


避けられないほど広範囲を巻き込む攻撃が飛んでくる。

これを食らって仕舞えば再生するかどうかが分からん……!

昔は死にたいとか思ったことあるが、今は真っ平御免だ。少なくとも今は!


「畜生……め……!死んで、たまるかぁ……ッ!」

「無駄さ。君には息子がいるし……君じゃなくてもいいや。死ね」


ローグは俺への死刑宣告を終えると、興味を無くしたかのように視線を逸らす。


そして、死の光が俺へと迫って……、



「残念だったな。ローグ」



来ずに。


俺の目の前で、声がした。


死の光から俺を守る人影が見えた。


その人影は降り注ぐ光を一撃で払い、不敵に笑う。


「無事か?」


女の声だ。

ある友人を思い起こさせる強く雄大な声だ。


「何で……出て来てるんだい?君」

「地上の問題に私は手を出さんよ。天界の奴らもまぁ黙認しよう。だが、ローグ。お前はダメだ」


ミド。


五界神が一人。龍神、ミドガルズオルムの姿がそこにあった。


奥義が一つ、奥義が二つ、奥義が三つ……zzz……。

って感じで寝られそう

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