表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
二章 魔界編
14/220

旅立ちの前に

魔王と勇者の話を同時進行で書いてみました。その結果サブタイをつける作業が難航しました。

---魔王side---


「取り敢えず街に行こう」

「良いけど……ないよ……?街……」

「城下町じゃなくて!遠くの方!」


そう、勇者が全部ぶっ壊したのだ。

城だけでなく街も。


流石に住民全滅……なんてことは無いが、それでも街への被害は甚大だった。

コレでは人は住めないだろう。

もう、魔王もいないし、城もない。


街道沿いに街が滅茶苦茶になっている。

何でここまでされて伝令が来てなかったんだろう……。


(もしかして、俺の誕生日の所為か!)


皆浮かれていて情報の伝達が遅れたって事か……。だとしたら……。

俺に甘すぎて滅ぶとかお前ら……フォローし辛いんだけど……。


「はぁ…………」


俺はため息をついてしまった。不謹慎だけど。


「元気出して……リュートは悪くないよ……」


アクアは何か勘違いしたらしく、俺を慰めてくる。


「いや、別にそういう訳じゃ……」


と、答えようとしたところで、でかい魔獣を連れたおっさんに出くわした。


「でっか……」

「大っきいね……」


このおっさんは俺のことを知らないらしい。

そりゃそうだ、俺は殆ど城から出ねぇんだからな。


「んん?見ねえ顔だな……どうした坊主?」


俺は名探偵コ○ンの真似をして聞いてみた。


「この魔獣大っきいね〜。おじさん、どっかいくの?」


アクアはびっくりした様子で俺を見ていたが無視だ、無視。


「ああ、こいつはブラックホースって言ってな……速く走れる上にそりゃあ力のある馬なんだよ。

最近家が壊れちまってな。俺には家族もいねぇし、コイツに荷物括り付けて新天地に出発って訳よ。

ちなみに俺はおじさんじゃ無い。まだ36だ。」


成る程……そりゃあ勇者に襲撃されたんだし、どっかに逃げたいよな……。

あと、個人的な意見だが36はおじさんだと思う。


「何処まで行くの?」

「アストレアだ。ホラここ」


そう言いながらおっさんは地図の端の方を指差した。そこは魔界の最西端だった。

人間界が近いな……。だが、そこなら情報収集には困らんだろう。城も無いし、ここに留まる意味も無いな……。

俺はこそっとアクアに耳打ちした。


「アクア、これからの事だけどさ、俺が勝手に決めて良いか?」

「構わないよ……?私は……リュートに着いて行くだけ……」

「すまん、ありがとう」


俺はおっさんに再度話しかけた。


「人間界物凄く近いけど大丈夫なの?」

「ああ、アストレアはな、俺の故郷なんだ。中々良いところなんだぜ?」

「へぇ〜、そうなんだ」

「ああ、何つったってメシが美味えのよ」

「本当に⁉︎」


ちょっと食いついてしまった。冷静になれ。

よし、ここからちょっと急かもしれんが、頼んでみよう。


「実は僕達兄妹なんだけど、僕達もそこに行くんだ。おじさん、一緒に連れて行ってくれないかな?」


やはり兄妹という設定にしておいた方が良いよな。

いちいち俺たちが一緒にいる理由を説明しなくていいから楽だし……。


「いや、でもよ、危ないぜ?道中は辛いだろうし、命の保証はできねぇぞ?俺も自分の身を守るので手一杯だしよ。それに悪いけどよ、手持ちも大してねぇんだよ」

「大丈夫だよ!自分の身は自分で守れるし、お金もいっぱい持ってるよ。ホラ」


そう言って俺は袋から金貨を取り出して見せた。ボンボン舐めんなよ。


「な、こりゃあ大金じゃねえか!しまっとけしまっとけ。誰かに見られたら盗られちまうぞ……」


この大金を見て「しまっとけ」とは……このおっさん良い人だな……。


「ね、良いでしょ?おじさん」


俺が上目遣いで聞くととうとうおっさんは折れた。


「分ぁったよ。でも自分の身は自分で守るんだぞ?あと俺はおじさんじゃねぇ、ジェイドだ」

「僕はリュート、こっちは妹のアクア。宜しくね、ジェイドおじさん!」

「俺をおじさんと呼ぶな!ジェイドさんと呼べ!」


こうして、俺たちはジェイドというおっさんと一緒に旅をすることになった。


「ねぇ……その喋り方……何?」

「気にすんな」


○ナンの真似辞めようかな……


---勇者side---


祐奈の出発の日が近づいてきた。

魔王を倒しに行くのだから、旅に出ねばならないのは分かるが、何だか厄介払いされるみたいだ。

お金は大量に貰ったが。

これだけあれば一生遊んで暮らせるらしい。


(働くの辞めようかな……いや、ダメダメ、元の世界に帰るって決めたじゃん!)


こんな大金を目の前にしたら決意も揺らごうものだ。


今日出発という訳ではない。

最後に王に会ってなら行かねばならんらしい。


(謁見……だっけ……?面倒くさいなぁ……)


しかも勇者の格好をしなければならないから、鎧が邪魔なのだ(魔法のせいでそこまで重くはない)。


憂鬱になっていたところ、勝気そうな可愛らしい女の子が声をかけてきた。歳は11、2歳ってとこだろう。


「ユーナ!お父様のところに行くの?」

「ナーシャ!」


ナーシャは綺麗な黒髪の王女様で、何かと祐奈に声をかけてくる女の子だ。

人懐っこい性格でとても祐奈に懐いている。

祐奈もナーシャの事が大好きだった。


「お父様、面倒くさいけど……頑張ってね!」


(うぇ……面倒くさい人なのか……さらに行きたくなくなってきた……)


「まぁ、行ってくるわ。ナーシャ、後でね」

「また面白い話してね?」

「勿論!」


祐奈は夜になるとナーシャに日本の昔話を聞かせたりしていた。

ナーシャは正直言って笑いすぎだと思うくらいに笑うのだ。

何がそんなに面白いんだろうか。


祐奈は面倒くさがりながらも王の間へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ