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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
九章 妖精界編
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出陣 ネルヴァ・エステリオ


「100倍だと……?お前、加減というものがわからんのか?」

「いやいや……、お前を最大限に警戒しての100倍だぜ?喜べよ」

「私はどっかの戦闘狂と違って避けられる労力はなるべく避けたい派なのだ」

「成る程。そりゃお生憎様だ」


残念ながら俺と戦うっていう労力は避けられ無い。

まぁこのまま帰ってくれるのならそのまま放っておくのだが。そうもいか無いだろう?


ガシャリ、と。俺が一歩踏み出すだけで床に凹みが出来る。全身から力が迸るこの感覚。

正直言って俺の鋭敏な感覚は異常な痛みを神経に律儀に伝えているのだが、それすら気になら無いほどに今は気分が高揚していた。


だが、油断していたら崩壊のペースが再生のペースを上回ってしまう。ゆっくりしている暇は無い。


「さっさと勝負を決めさせて貰うぜ!」

「潔し……。天使と真っ向勝負を挑む地上の存在など……いるとは思っていなかったぞ……!」

「新たな発見があってよかったな」

「口の減らん男だ」


俺たちはまるで歴戦の好敵手同士のように向かい合い、穏やかな会話を交わしていた。

自分でもどうしてなのかは分からなかったが、どうやら俺はミカエルの事を嫌っているわけでは無いらしい。


まぁぶっ飛ばすけどな。


「いくぜ」


俺は短く、ミカエルに聞こえるか聞こえ無いかくらいの声を発するとその場から瞬時に移動した。


バァァァンッ!


轟音とともに俺の姿が搔き消え、先ほどまで俺の立っていた場所の床は粉々に砕け散った。


「速いッ⁉︎」

「オォラァァァッ!」

「くっ!」


ドゴォォッ!


鈍い音とともに俺の鋭い蹴撃がミカエルの腕へと突き刺さるようにヒットした。

流石の反応速度だ。俺は腹部に直接打ち込もうとしたのだが、腕でガードされてしまった。

だが、完全に衝撃を殺すのは不可能だ。


「くっ……!これが100倍か……。このままでは対応出来んな……」


ミカエルは口から血を吐きながらも冷静に状況を分析する。


「『雷光化(ライトニングシフト)』」


バチッ!


音がしたかと思うとその場からミカエルの姿が掻き消えた。


「なっ……⁉︎」

「後ろだ」


ドゴッ!


「ぐおうぁっ!」


突然背後に現れたミカエルによって俺は無様に吹き飛ばされた。

一体何が起こったって言うんだ?


ふとミカエルを見やると全身からパリパリと電撃を発している。

まるで身体中に電撃を纏っているかのようだ。


「コレが俺の最強の移動魔法『雷光化(ライトニングシフト)』。とりあえず速い。説明は以上」

「成る程。大体わかったぜ……」


随分と適当な説明だが、俺だってこれでも雷魔法をメインで使ってきたんだ。原理は分かる。


アレは、一瞬だけ自分の体を電気に変えているのか?

多分それで合ってるだろう。大方、それによって一瞬だけ光と見紛うような速度での移動が可能になる。とかそんな感じだ。

正直言って光速ともなれば対応は不可能だ。どうしようもない。


「くっそ……、バカだろ……」


光速って簡単に言うけどどうやって対応すりゃいいんだ……?

唯一の救いはアレが攻撃型魔法ではなく移動型魔法って事か……。

つまり攻撃の瞬間は通常状態に戻るって事だ。殴られる瞬間に反射で対応するしかないか?


シュッ!


また少しの光を残してミカエルは俺の眼前から忽然と姿を消した。


早過ぎる……ッ!


全く見え無い。

強化魔法を使って動体視力を強化してもどうにかなる問題じゃない。

前世でよく読んでいた漫画で光を能力として使う奴はよく出てきていたが、歴戦の主人公達は良くこんなバケモノと対等に渡り合えたな。


「ぐあっ!」


また俺の視覚からの攻撃。

不意を突かれるという事もあってか俺の精神力も少しずつ磨耗していく。


……チッ……!何処から攻撃が飛んでくるのか見当もつか無いのだ。これでは勝負にすらなら無い。


ならばまた戦闘方法を変えるか……。


俺はすぐに強化を攻撃方面ではなく防御方面に全振りした。

これで即死の危険性はほぼゼロになった。

正直言って神聖力を扱う神族が相手だったら緊急時の頼みの綱である再生能力があまり信用なら無いのだ。


「『魔力反射(マジックカウンター)』、『絶対不侵圏(アブソリュートライン)』」


二つの技を同時に使う。

『魔力反射』は俺の周囲に不可視のバリアを張り、そこに直撃した魔法攻撃を自動で反射するというものだ。

『絶対不侵圏』とは『魔力反射』と同じ様に俺の周囲に不可視のバリアを張り、そこの中に侵入してきた異物を自動で攻撃し、排除すると言うものだ。


攻撃の瞬間は通常状態に戻るという俺の予想が正しければミカエルの攻撃は通ら無いはずだ……。


「トドメだ」


ミカエルの声が虚空から聞こえたかと思うと次の瞬間にはミカエルは俺の眼前に現れていた。


「妙な魔力の流れを感じるな……。だが、全てを粉砕してやる!『疾風迅雷(ボルテックロア)』‼︎」


雷光が俺の体を貫通した。


「がはぁっ!」


何故……⁉︎魔力が反射できない……⁉︎


「成る程、やはり反射魔法か。だが、アテが外れたな……。我々天使の扱う魔法は厳密には魔法ではない。コレを我々は『奇跡』と呼ぶ。貴様ら地上の存在の様に魔力を使う事もなく、無尽蔵に、そして魔法よりもはるかに高度な事象を起こす事が可能だ」


「『奇跡』……?だと……?」


初めて聞くワードだぜ……。ルシファーの奴……そういう大事なことは言ってくれよな……。取り敢えずアイツは後で文句を言っておこう。


だが、こんな呑気なことを考えてはいるが、俺の腹に開いた大穴は未だ治る気配すら見せない。

やはり神聖力が俺の再生能力を阻害しているのだろう。


クソッ……!俺も強くなったと思ってはいたのだが、コイツら神族はバケモンばっかかよ……!


「さて、貴様にトドメを刺し、残りの奴らを殺しに行くとしよう。さらばだ、魔王よ」

「畜生……!」


ダメだ身体が動かない……。

その時俺の左ポケットがゴソゴソと動いたかと思うとなんだか聞き覚えのある声がした。


『ワシの助けが必要なようじゃの』


その時、俺の腕がひとりでにミカエルの腕を掴んでいた。


「何……ッ⁉︎バカな……!貴様は動けるような体では……ッ⁉︎」

『残念じゃのぅ、アテが外れて』


ドゴォォォッ!


そして俺の拳がひとりでにミカエルの顔面に打ち込まれる。


俺の拳はどうやら強化魔法で強化されていたらしく、常識をはるかに超えた威力を叩きだしていた。

周囲の壁を突きの余波のみで粉砕するほどの威力。我ながら凄いと思うぜ……。


って……、


「ジジイ!」

『おう孫よ。勝手に身体を借りたぞい』

「そりゃ助かったけどよ、今まで何してたんだよ?」

『前の戦闘で力を使い過ぎてな……。休んどったんじゃ。でももう安心せい。ワシが戦う』


そう言ってジジイはニヒルに口の端をニヤリと吊り上げた。

ちなみにこれは俺の体の中で精神同士の交わしている会話だからミカエルには独り言に見えることだろう。


「大丈夫なのかよ……?」

『お主の体は歴代魔王の中でも最強レベルに強い。大方、幼少期からの壮絶な戦闘三昧の生活が影響したんじゃろ。しかし、魔法の方はまだまだ未熟じゃ』


ジジイは久し振りに祖父らしい顔をのぞかせていた。

こんなに真面目な顔をしたジジイは中々見られるものじゃない。普段からずっとおちゃらけた態度をとっていやがるからな。


『ワシはどちらかと言うと肉体戦闘よりも魔法戦闘を好むタイプじゃった。肉体は孫よ、お主のもの。そして精神、つまり魔法はワシのもの。つまり……』


そこでジジイは少し貯めて言った。


『最強じゃ』


その時、俺の体を鳥肌が立つような感覚が襲った。

そうだ。俺は強くなったと言いながらもまともにジジイに勝ったことはまだ無いのだ。

そして昨日に見た妖精王の実力も正直言って俺に手が届くようなレベルではなかった。


つまり、これから見せるのが……真の魔王の実力……。


『孫よ。お主は高みの見物でもしておれ。なぁに、爺ちゃんがすぐに片付けちゃる』


そう言ってジジイは俺の身体で関節のあらゆる箇所をバキバキと鳴らしながら前へと進み出た。


『よぉ、天使さんよ。とっとと起きてこんかい」


ジジイの声に応えるようにミカエルが瓦礫の中から姿を現した。


「…………。雰囲気が変わったな……」

『なぁに気にすんな。さぁて、第二ラウンドと行こうかの』

王様はめっちゃ強いっていう設定です。ちなみに今考えたのではなくこれは前から練ってました。

しかし、人族の王様はローグの作った替え玉なので弱いです。

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