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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
九章 妖精界編
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妖精王は自由気まま


『グルアオォォォォ!』

「む……?」


登場した妖精王に向かって早速噛み付こうとする古龍種(ドラゴン)

しかし、


「邪魔である」


メキョ。


妖精王のまるで鈍器のような拳が古龍種(ドラゴン)の目の下あたりを抉った。


「ぬぅ、少々痛みが残っておるが、この程度如何ということはないな!フハハハハ‼︎」


ドコドコドコドコと何度も何度も古龍種(ドラゴン)の体の至る所を殴りまくる妖精王。


「ぬああぁぁぁ‼︎」


そして、フィニッシュとばかりに裂帛の気合いと共に最大の一撃を腹部にかます。


古龍種(ドラゴン)をまるで赤ん坊の手をひねるように……。

これが王の力か……。王様に会うのは初めてだが、此処までとは……。


「ヌハハハハ!我最強!」


妖精王は動かなくなった古龍種(ドラゴン)を豪快に笑いながら一瞥し、すぐに此方へ向き直った。

するとただでさえ緩んでいた表情を更に崩し、此方へと突進して来た。


「ぬおぉ!サリア!無事だったか!そしてルーナに祐奈殿!久方振りであるな!」


しかしまぁうるさいな。もう少し静かにできないものなのか?

祐奈も含めて俺たちは引き気味だ。ルーナとサリアはそうでも無いようだが。


「あはは、久し振りです……」

「お父様久しぶりー!」

「ぬおぉ!ルーナ、相変わらずな頭突きだ……!」


隣でちょっと引いてる祐奈をよそにルーナも妖精王に突撃する。

しかし、妖精王はルーナの飛びつく勢いを肉体で完全に殺して受け止めた。

恐ろしい筋肉だ。

良き見たら耳が長いし、ツンツン頭だが銀髪だ。一応この肉達磨がサリアとルーナの父親らしい。


妖精王……って、エルフ……だよな?

どこから見てもオーガにしか見えないのだが。

こんな肉体派のエルフ見たくなかった。


「お父様、その方々が私を救って下さったリュート様とその部下だそうです」


サリアが俺たちを紹介する。


「む、お主達が……、おぉ、アスタとルシファーではないか!久しいな!壮健であったか⁉︎」

「勿論俺は超元気っすよ!アンタも相変わらずっすね、妖精王様!」

「お久しぶりです、妖精王。このお方は今の我らが主。リュート・エステリオ様でございます」

「リュートです。よろしく」


ルシファーが俺を紹介してくれた。そういう所、やはり優秀だな。アスタなんて俺のこと忘れてただろ。

俺は一応敬語で挨拶する。


「何、バゼルの奴の息子か!ほほぅ、奴の息子はもうこんなに大きくなったのか……。しかし、お主ら何故ここに来たのだ?」

「あー、実は色々あってだな……」


俺が事情を説明しようとしたら外が何やら騒がしい。


「なんだ?」

「む、どうやら先程の馬鹿共の残党のようだ……。よし!我が少々暴れてくるとしよう!なに、客人は此処で待っておるが良い!小一時間ほどで戻ってくるわ!」


豪快なおっさんだな。外見てみろよ、どう考えても一人で相手できる数じゃねえだろ。

敵兵たちはまるでアリ大群のように城門の前で武器を構えて編隊を組んでいる。

アレは軍隊レベルの戦力を整えねば対応不可だろう。


「この中で一番力の強い者は誰だ?」

「リュート様っす!」

「え、アスタじゃねえか?」

「いいえ!絶対リュート様っすよ!」

「そうか?じゃあ、まぁいいけどさ……、で、何すればいいんだ?」


俺はアスタに推薦されるがままに名乗り出た。

一体このおっさんは俺に何をさせるつもりなんだ?


「よし、ではお主。我を投げよ(・・・)


「は?」


俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

何を言ってるんだ?このおっさんは。


「城門の前に向かって我を全力で投げよ。それだけやってくれれば良い」


えー……、このおっさん、どう見積もっても200kgぐらいはありそうなんだが……、まぁ、その程度大丈夫か?


「分かった。怪我しても知らねえぞ?」

「ヌハハハハ!我は妖精王ぞ!その程度どうということは無い!」

「妖精王様は強いっすから大丈夫っすよ、リュート様!殺す気でぶん投げちゃっても構わないっす!」

「それは不味くないか?」


アスタ、お前自分の主じゃなきゃ遠慮が無いな。


俺は妖精王の背中に手をかけ、右腕を一気に強化した。


「『雷撃強化(サンダーブースト)』!」


雷が俺の腕を駆け巡り、腕力が一気に上昇する。

さぁて、じゃあいっちょやりますか!


「よぉし、若造!手柔らかに頼むぞ!」

「いくぜ、おっさん!おうるぁぁぁぁぁぁあ‼︎」


俺はそこから城門の前の敵兵たちのど真ん中に向かって妖精王をぶん投げた。

妖精王はまるで砲丸の様に一直線に飛んで行き、そして。


一瞬にして兵士たちを吹き飛ばした。


まるで中央に爆弾でも落としたかの様だ。


「ヌハハハハハハ!爽快!」


しかも先程の筋肉爆撃で死んでない奴を笑顔でタコ殴りにしている。


ヤバイ、怖い。


何あの狂戦士(バーサーカー)。あれ本当にエルフなの?オーガなんじゃ無いの?


自分で投げといて言うのもアレだが、敵兵たちの冥福をお祈りする俺たちであった。


---


「ヌハハハ!鈍っておった身体も幾分か調子を取り戻した様だ。世話をかけたな客人たちよ!丁重にもてなそう!しかし、城がこの有様では満足なもてなしは出来んか!ヌハハハハハハ!」


一通り敵をぶん殴って妖精王は高笑いしながら帰ってきた。

体の至る所に血が付いている。が、これすべて返り血である。

ちなみに城をこの有様にしたのは俺の隣に立っている勇者様です。


「フンッ!」


妖精王は腕にひっついていた手錠を容易く引きちぎり、地面に無造作に捨てた。


「さて、色々聞きたいことはあるんだが……何でアンタ捕まってたんだ?」

「睡眠の時間だったのだ!抜かった抜かった!ヌハハハハハハ!」


笑い事じゃねえだろ。


「気がついたら拘束されていてな、馬鹿共がサリアは捕まえたから嫁にもらうと言い出すからぶん殴ってやったのだ!」


豪快に笑う妖精王。物凄い人相悪いのに何だか親近感の湧くこの笑顔。

何だろうな、分かんねえな。


「もう、お父様!反省して下さい!」

「そーだよお父様!お姉ちゃんがどんだけ怖い思いしたと思ってんの⁉︎」

「むぅぅ……、そう言われると辛いが、トレーニングの後の睡眠には大きな意味があるのだ……。流石にやめることは出来ぬ……」


虐めた身体を休めると、鍛える前よりも強靭に回復するってやつか。そう言えば筋トレに昼寝は相性がいいって聞いた事あるな。

このおっさん、かなり効率的に身体を鍛えているらしい。


「さてと!この服は少しばかり汚れてしまった、着替えてくるとしよう!しばしの間待たれよ客人!」


そう言って妖精王は何処かへズンズン歩いて行ってしまった。多分自室に向かったのだろうが、自室が残ってるといいな。

ちなみに「少しばかり汚れてしまった」と言っていたが、全くもって少しばかりではない。見るも無残な事になっていた。

ところどころ破れているし、上半身に至ってはほぼ裸である。

しかし、妖精王からするとそれも些細な事なのだろう。


その時、祐奈が俺に耳打ちした。


「私が前にここに立ち寄った時もサリアが連れ去られたんです。実はその時も妖精王は寝てまして……」

「反省しろよな……」


あのおっさんに隠密行動が出来るとは思えない。だから祐奈が助けに行ったのか。


「では皆様、お父様が戻ってくるまで広間で待っていましょう。応接間は粉々になっておりますので申し訳ありません……」

「おい祐奈」

「ご、ごめんなさい……」

「?」


祐奈は何も知らない様子のサリアに深々と頭をさげるのだった。


---


「ヌハハハハハハ!リュートよ!今回の件は大いに助かった!お主がサリアを助けてくれたそうだな!礼を言う!」


妖精王は豪快に笑いながら俺の背中をバンバンと叩いた。

吐くほど力強いんだが。


「なに、俺がいなくてもアンタが助けてたろうよ。しかし、アンタ強いんだな」

「これでも昔は戦場で腕を鳴らしたものよ!今は歳をとったので専らトレーニングだがな!ヌハハハ!」


歳をとったと言っても精々30代後半と言った程度の出で立ちだ。

エルフは老化の遅い種族だからとはいえ、この見た目ではおっさんの実年齢を測りかねるな。

昔はって言ったが、ついさっきまるで羽虫を叩き潰すように敵兵を吹き飛ばしてたのはどこのどいつだ?しかもめっちゃ笑ってたし。


「食事の用意をしようにも使用人がおらんな、どうしたものか……」

「じゃあ俺が何か作るっすよ!台所借りるっすね!」

「台所が無事だといいけどな」


見に行くと、やはり台所は無事ではなかった。

これからどうやってここで生活するんだ?

妖精王の見た目はFateのイスカンダルみたいなイメージ。エルフってなんだっけ……

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