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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
九章 妖精界編
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ミストレア城内部


「おらぁぁっ!」


俺とアスタは窓を割りながら派手に城内に侵入した。

一応ルーナから姉と父の人相についてはカイル村で聞いているので取り敢えずその二人を探すとしよう。

派手に突入した理由としては祐奈達に注意を向けさせないためだ。


「ここまで運んでくれてありがとな、危ないから逃げててくれ」


話が通じるかは分からなかったが、俺は翼竜種(ワイバーン)にそう声をかけた。

すると、翼竜種(ワイバーン)は『ギャオオオッ!』とまるで「了解」とでも言うように嘶き、粉々に砕けた窓から空へと飛び去った。


「よし、アスタ。行くぞ!」

「はい!」


前方へと目を向けるとそこには既に武装した兵士と思しき男達がこちらへと突撃してきた。


「コイツらはこの国の兵士か?」

「そうですね、多分敵と間違われてます」

「話を聞いてくれるような雰囲気じゃねえし……戦うか。手加減しろよ」

「了解っす!半殺しっすね⁉︎」

「違う、気絶させろ」


何故嬉々として半殺しにしようとするんだ。これだから好戦的な魔族は蛮族とか言われるんだぞ。


---


俺とアスタは襲い掛かってきた妖精族の兵士達を一人残らず気絶させた。

十人程度だったので簡単な仕事ではあったが。


「取り敢えず敵が何なのかってところから知らねえとな……」

「そっすね。妖精族は内乱を起こすような種族じゃ無いっすから、他種族が絡んでるのはほぼ確定だと思うんすけどね……」


妖精族は同胞を家族同然に大切にする種族なので基本的に大きな争い事は起こらない。

家族同士でも諍いは付き物なので全く無いわけでは無いが、流石に内乱を起こすという者など居ないのだ。


俺とアスタが少し考え事をしていると前方から今度は先ほどの兵士とは別の黒い鎧に身を包んだ兵士らしき人達がやはり武器をこちらに向けて突っ込んできた。


「おいアスタ。あれは敵か?」

「見たことの無い鎧っすね。締め上げて正体吐かせましょう」

「よし、気絶はさせるなよ?話を聞くんだから。さっきよりもう少し手加減だ」

「了解っす!任せといて下さい!」


俺たちは少し邪悪な笑みを浮かべながらこちらへと突撃してくる一団へと襲い掛かった。


---祐奈side---


「ルーナ!待って!」

「お姉ちゃん!お父様!」


ルーナは生死の不明な父と姉を想いながらひた走り続けた。

祐奈はそんなルーナを追って走る。


「勇者!」

「あ、ルシファーさん」

「私が後ろについている。行かせてやるべきだ。家族の一大事とあらばじっとしていられないのが人の性質(サガ)だろう……」


すると前方と後方から黒い鎧を着た兵士らしき人達が現れた。軽く見積もって五十人はいる。


「貴方達……誰⁉︎」


ルーナは足を止めて問いかける。

しかし、黒い鎧の兵士達はその問いには答えず、代わりに槍を構えた。


「ルーナ王女か。殺せ」


一言、そう言うと兵士達はルーナへと突撃した。


しかし、


「おい、今何て言った……?」


その槍はルーナへ届くことはなかった。


一閃。


光の斬撃がまるで一陣の風の様に散り乱れる。


それはまるで台風の様に。そして木枯らしの様に兵士達を吹き飛ばす。


「今……、私の妹に向かって、何て言ったって……聞いてんのよ‼︎」


そこには憤怒に燃える勇者の姿があった。


怒りに体を焦がしながら全身から刺すように光を放っている。


「私の妹を殺すだと……?出来るものならやってみろ。その代わり、命を捨てる覚悟をしろ!私がこの世に生きる限り、私の妹を殺すだなんて一言も言わせない!『神聖勇剣(セイクリッドブレイブフォース)』‼︎」


このあまりの祐奈の怒りにルシファーは「お前の妹では無いだろう……」というツッコミが出来なかった。


怒れる勇者はその場の敵と認識したもの全てを斬り倒した。


---


「ふぅ、やり過ぎちゃったかな……」

「勇者よ、やり過ぎだ」


ルシファーは祐奈の肩にポンと手を置いて言った。


「流石に城を半壊させるのはやり過ぎだ。一応妹の家なのでは無いのか?」

「ハッ!や、やってしまった……!あわわわ……」


祐奈はルーナのいる方向から目をそらしながらガクガクと震える。


しかし、ルーナはそんな祐奈を無視しし、気絶した兵士達の首をつかんで尋問していた。


「ちょっと!お姉ちゃんとお父様は無事なの⁉︎何とか言ってよ‼︎」

「お、おい……その辺でやめておいたらどうだ……。もう意識が無いだろう……」


祐奈の斬撃によって無慈悲に切り裂かれた兵士達は全員揃って意識を飛ばしてしまっている。

ルーナの問いに答えられるものなど一人も残ってはいなかったのだ。


「取り敢えずリュートさん達と合流しよう。ルシファーさん、場所分かる?」

「すぐに探知する。少し待っていろ」


ルシファーはすぐにリュートとアスタの探知を開始した。


---リュートside---


「よし、いっちょあがりっすよ!」


良い汗かきながらアスタがパンパンと両手を叩いた。


黒い鎧の兵士達は全員無力化した。割と簡単な作業だった。


「よぉーし、至福の尋問ターイム!リュート様、任せて下さいっす!こう見えて俺は拷問は得意っすから!」

「いや、拷問はやめろよ」


俺はジト目でツッコミを入れておく。

流石に拷問はやめてやれ。


「おい、命が惜しけりゃお前達は何者で、目的は何で、王と王女の居場所がどこか、全部吐くっすよ!」


だから命を取ろうとするな。

アスタが頭をつかんで質問をしたが、その男は不敵な笑みで答える。


「ぐぐぐ……、私達は崇高な目的の為に行動しているのだ……。貴様ら如き下賤の者に教えるもの……ガグゲッ⁉︎」


男が言い終わる前にアスタの拳が男の顔面をとらえた。

どうやら下賤の者と言われたのが癇に障ったらしい。


「はぁ……?下賤……?誰に向かって言ったんすか……?もしかしてリュート様に言ったんすか?言ったんすよねえ!『貴様ら』って言ってたっすからねぇ!アンタ、命がいらねえんすか?」

「ガッ!グフッ!グゲッ!ゴベッ……!ゆ……許……ベガッァ!」


ドスドスと色彩を失った瞳で無慈悲に顔面に鉄拳を突き刺し続けるアスタ。


「おい、やめとけ。意識がなくなったら面倒だ。それに、下賤とか言われても別に気にしねえよ」

「俺が気にするんすよ!主が下賤って言われて黙ってられますか!」


いきり立って立ち上がるアスタ。

お前らに大切に思われてて俺も嬉しいけど、全く……尋問には向いてねえな。

知り合いの城が半壊しているという異常事態だからある程度の暴力は辞さないという姿勢は大いに共感できるが。


この兵士、忠誠心だけはそこそこあるようなので口をなかなか割らない。

説得できるなんて思っちゃいないさ。という訳で暴力で解決しよう。


「おい、アンタ。手っ取り早く教えてくれよ……。あんたら何者なんだ?何が目的なんだ?王と王女は何処にいるんだ?」

「フン……たとえ死んでも教えるもの……ガッ⁉︎」


俺は男が何か言い終わる前に男の顔面を地面に叩きつけた。

そして、男の頭を掴みながらもう一度俺の顔の前まで持ってきて再度質問。


「おい、同じ事聞くけどさ。あんたら何者なんだ?何が目的なんだ?王と王女は何処にいるんだ?」

「い、言うわけ……ガブェッ!」


また地面に顔面を叩きつける。


「おい、良い加減学習しろよ。おら、さっさと吐け」

「ぐぐぐ……、私は誇り高き……ゲバァッ!」


俺は先ほどよりも強く力を込めて地面に叩きつけた。

誇り高き……なんだ?


「おい、まだ分かんねえのか?って、気絶しちまった……。あっちゃあ……」


全く、俺も尋問は向いてなかったらしい。


「ダメっすねぇ、リュート様は……。でも大丈夫っす!俺が蘇生魔法を使えるっすから!安心して下さいっす!」


やれやれと手を振りながらアスタは魔法を詠唱した。


「『蘇生魔法(リヴァイヴ)』!」


アスタの蘇生魔法が男の身を包み込み、一瞬後に男は意識を取り戻した。


「う…………」

「おい、吐かねえと無限ループ始まんぞ。それでも良いのか?」

「まだ吐かねえんなら『増幅魔法(アンプ)』を使って痛みを強くするっすよ?」


俺とアスタは邪悪に微笑みながら言った。

ここだけ見たら確実に俺たちが悪役だな。


「…………言います、言いまずがら……。も、もう、やめで下さい……」


兵士は暴力に屈した。

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