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転生魔王の異世界征服  作者: 星川 佑太郎
七章 竜人界編 其の二
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作戦開始

「うおおおおお!図らずとも大騒ぎになってんじゃねえか!」

「俺の所為じゃないっすよ!」

「そんな事より黙って走るべきでは……?」


俺たち三人は城内の通路を爆走していた。

ミドも見た目に反してかなり走るのが早い。どうやら運動は苦手ではないらしいな。

背後からは「ウボァァァ」みたいな声を上げながら死霊(リッチー)が大量に迫ってくる。


しかし、見つかってしまったものは仕方がない。

逃げながらこの騒ぎに乗じて城をぶっ壊してやれ。


と、その時、近くから爆音が耳に入ってきた。


ドゴォォッ!


轟音とともに背後の死霊(リッチー)達が全滅した。


「な、何だ⁉︎」

「一体……何が……?」


ミドが周囲を見渡しながら思案顔で言う。


「誰かが侵入してきたんすかね?」

「だろうな……」


煙がモウモウと立ち込めており、注視しても人影しか目視することができない。

おそらく2人だ。


「うおおおおおおおおおお!」

「うおおおおおお‼︎」


「ん?」


前方から声が聞こえてくる。物凄いスピードでこちらへやってくる。

若い男の声だ。しかも何処かで聞いたことがある声だ。

もう片方は若い女の声だ。こちらもどこかで聞いたことがある。

というか、最近までよく聞いていた声だ。


「まさか……」


「オラァぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「どおりゃあぁぁぁぁぁ!」


鬼の様な形相の男女が瓦礫を蹴り転がしながらこちらへ向かって突っ込んできた。


って……


「祐奈!ジル!」


祐奈とジルじゃねえか!


しかし、俺が声をかけても二人は止まらない。

よく見たら白目剥いてやがる。

前見えてねえな。アレは。


「アスタ。なんとかしてくれ」

「了解っす」


俺の言葉にアスタは拳をポキポキ鳴らしながら前へと進みでる。


そして、アスタは強化魔法で強化した腕力で突進してくる二人をぶん殴った。

それはもう遠慮の欠片すら無い。


殆ど正気を失っていた2人はなす術なく地面に顔から減り込んだ。


---


「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。さっきはごめんなさい」

「俺も大丈夫だ。体は丈夫なんでな」


2人とも正気に戻ったのか冷静な感じだな。


話を聞く所によると、リーシャ、ルーナ、メイがこの城に囚われているので助けに来たとのことだ。

やはりこの城に囚われていたのか。だったら手間が省けて助かったぜ。

で、この2人は三人が連れ去られていてテンションがおかしくなってたと。


どうも嫌にタイミングが良かったと思っていたら、見張りや巡回の死霊(リッチー)達は全員俺たち三人を追うために出払っていたため、警備が疎かになっていたらしい。


成る程な。

つまり俺たちの行動の結果、2人はここに侵入できたってことか。

まぁ、侵入したと言うよりは押し入ったという方が正しい気がするが。


何にせよ、これは大幅な戦力増強になるな。

それに死霊(リッチー)を全滅させてくれて助かったぜ。


「久しぶりだな、ジル。元気だったか?」

「まあな、お前も元気そうでよかった。アクアとはよろしくやってるか?」

「おう、再来月くらいには子供が産まれるんだ」

「なっ……、お、お前……やる事やってんだな……」


何だか悔しそうなジル。まだ引きずってんのか?


「この話はあとにしようぜ、お前は半年間なにしてたんだよ?」

「ああ、俺はこの半年間シャガルの復興を進めていたが……その矢先コレだぜ?絶対に元凶をぶっ潰してやる」


ジルはメラメラと怒りの炎を燃え上がらせながら拳を握り締める。

頑張って復興していた所に追い打ちをかける様に破壊だからな。

そりゃ殺意も湧くよな。


俺は祐奈に視線をスライドさせて言った。


「祐奈、お前も無事で良かった。心配したぞ」

「いやぁ、ご迷惑をおかけしました。本当は連絡したかったんですけどね……?」

「事情は分かってる。この空間内は音信不可だそうだな?」

「あ、はい。それで助けも呼べなくて……」

「いや、その事については気にするな。俺も祐奈とジルが居て遅れをとる様な敵が出てくるとは思ってなかったし、まさかこんな空間が発生するなんて予測出来なかったしな……」


と言うか、そんな事出来たら未来予知じゃねえか。


「一体どういう経緯で三人は捕まってるんだ?」


この2人なら戦闘を行っていた以上、相手の顔ぐらい見ているだろう。


「それが……、沢山の死霊(リッチー)が街に出て来てそれと戦っていたんです」

「上級死霊がかなりの数で押し寄せてきてな……。俺たちはそいつらの処理に追われていたのさ」

「それで?」

「あまりの数に不意を突かれて、三人は連れ去られたってわけだ。俺たち2人も一度捕まったが、自力で抜け出してきた」


言っておくが、メイとルーナは決して弱く無い。勇者の仲間としてやっていける程度の力は持っている。

ジルと祐奈の戦闘能力の高さは言うまでも無い。

そして、リーシャも高ランクの冒険者として名を馳せる程度の強さは持っている。


「敵さんは結構な強さだぜ……。お前が来てくれてこちらも助かった」

「あの親玉の奴、尋常じゃ無いくらいの数の死霊(リッチー)召喚()して来るんですよ。兵力差って割とヤバい問題ですよね〜」


これは苦戦を強いられそうだな……。

ローグが絡んでいなければ良いが……。


「まぁ、何か手はあるさ。それよりお前達、体は大丈夫か?」

「ああ、この大気の事か。俺はまだ少し体の動きが鈍る程度で済んでいるが……」

「メイやリーシャはともかくルーナが心配ね……。ルーナはまだ体が小さいし……」


祐奈は腰の二本の剣をイライラした様にカチカチ鳴らしながら言った。


「それよりお前ら何で連絡しなかったんだ?空間の外に出てから音信すれば良かったじゃねえか」

「「あ」」


俺のセリフに祐奈とジルの2人が同時に口を開けて固まった。

コイツら……三人が連れ去られて頭に血が上ってそんな事にも考えが及ばなかったらしい。

バカか。


「お前らなぁ……」

「まぁまぁ、良いじゃないっすか!今そんなこと言っても仕方無いっすよ?」


アスタが引きつった笑顔で場をとりなす。


「まぁ、そうだけどさ……。お前ら、今度からは何かあったら取り敢えず冷静になれよ?いいな?」

「はーい……」

「ぐぐ……わ、分かった……」


全く2人とも俺より年上なのになぁ……。しっかりして欲しいぜ。

まぁ、精神だけは俺は40代だからなんとも言えんか。


「それより、時間を掛けられないのでは?」


俺たちの掛け合いに飽きてきたのか、ミドが肩を竦めて言った。


「そ、そうだな。一応作戦は考えた。まぁ、簡単なやつだが」

「おお、流石っす!リュート様!」

「ヨイショはいいから」


俺は居住まいを正した。


「さて、作戦は簡潔に説明する。二手に分かれて片側が陽動に徹するんだ。そしてもう片方は三人の救出だ」


作戦としてはこの城にいるであろうボスキャラを陽動し、戦闘を開始する。

その間に少人数でリーシャ達を探すというわけだ。


「いいっすね。現状そうするしか無いでしょうし」

「じゃあ俺は陽動だ」


俺は勿論陽動に参加する。ジルも俺に続いた。


「だな、なら俺も陽動に回る」

「じゃ、私は三人を探しに行く!」


祐奈が捜索に回った。

まぁ、そうなるだろうな。アスタは俺に続くだろうしな。


「俺はリュート様と一緒に行きますよ!」


案の定だ。

そして、戦闘能力の低いミドは……。


「私は陽動の役には立たないでしょうし、捜索に回ります」


控えめな態度を崩さないミド。

まぁ、頭は良く回る様だし、そっち方面に期待しておこう。


「よし、役割分担が決まったところで、作戦開始だ。行くぞ!」


「「「応ッ!」」」

「あ、おう……」


おいミド、ちゃんと乗れよ。

ジル、久し振りの登場です。

出番を増やしていきたいですね。

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