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ある勇者の物語  作者: 立住正吾
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目覚め2

なんなんだろうな、これは。


右腕の蛇のような紋様を見ながら俺は独り言を呟いた。


二週間ほど前、俺は森の中で目覚めた。あの時は考えることが一杯で気付かなかったが、もしやあの時からあったのか。

何度か布で力を込めて強く拭いてみたりしたが、腕がヒリヒリと痛む他に、紋様が薄くなることはなかった。

違和感は全くない。感触もちゃんとある。

試しに右手に意識を集中し、ほんの少しばかし魔力を込めてみると、紋様が弱く黒くぬらぬらとした光を放った。気のせいか、蛇が身動ぎをしたように見える。ただ、不思議なことに全くといって良いほど魔力が右手まで伝わらない。まるで黒い蛇の紋様が魔力を吸収しているようだ。


これ、思いっきり魔力を込めたらどうなるんだろう??


少し興味に駆られたが、直ぐに思い止まった。魔力量が回復していない時にやるのはリスクが高いし、何よりこの変な蛇が動き出しても困る。呪いか何かの類いかもしれないし。


その後も色々と振ってみたりつねってみたり臭いを嗅いでみたりして小一時間遊んで、もとい試してみたが、諦めて、というより厭きて俺はまたベッドに寝転んだ。

考えても仕方ない。まずはこの元の世界に戻る方法を探そう。俺はそう考えた。


この二週間ほどの間に学んだこの世界のことについて色々と考えを巡らせる。

まず、この世界は自分のいたアナレムアとは違い、アレサという世界らしい。また、この村の名前も、この国のペルレという名前も、レオアルン連合国という名前も聞いたことがない。そして彼らは魔王のことは勿論、俺のことも知らなかった。また、魔物や獣たちは、自分の知っているものと良く似ていたが、名前が違違う。そして、マナ。魔力の素たるこの存在は、確かに感じられるのだか、魔力になかなか変換できない。まるで異国の食べ物が身体に合わないかのように、身体が受け付けないような感触だ。お陰で身体がだるくて仕方がない。しかしどうして俺はこの世界に飛ばされたんだ??この世界の誰かが召喚したのか??俺の世界に伝わる古の英雄のように・・・。


あれこれ考えていたが、埒が明かない。俺がこの世界に飛ばされたように、他の仲間たちも飛ばされたかもしれない。きっとそうだ。アイツらを探し出さないと。


そう考えたが俺は頭を振った。


そもそもどうやって探し出すんだ??ダビッド隊長は俺の他に人は倒れていなかったというし。何より右も左も分からない土地で人を探せるわけがないよな。


まずは情報の収集と魔力の回復が先か。


ベッドから立ち上がった俺はそう考え、遅めの昼飯を食べるべく、寝室の扉を開けた。




アリクの言っていた料理とはこれか。


俺は鍋の中にある肉と野菜だらけのスープを見て驚いた。何も不満があるわけではない。メイアの料理の腕はお世辞ではなく上手い。俺は、恐らくは先程まで煮込まれていたであろうそのスープの量、というか大量の具に唖然とした。

アリクとメイアは決して裕福なわけではない。アリクがジュフィ森で狩った魔物や獣から取れる毛皮や牙と、メイアが作る編み物が唯一の収入源だ。時折都に行く商隊が、これらを都で売り得た僅かばかりの現金で生活している。

そんな彼らにとって、この料理は随分なご馳走だろうに。働くと言った自分のためにメイアが作ってくれたのだろう。ますます彼らのために手伝わないと。

俺はそう考えスープを皿に移し、木のスプーンで湯気の立つスープを腹に流し込んだ。

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