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救済しようなどと思っていない小説エタり時保健室  作者: 風待月
エタったと思ったら始める認識改革
3/18

『許される』ことであっても『やっていい』ことではない

【そもそもエタってはいけない?】


 趣味で書いてる小説なんだから、完結させなくてもいいじゃない。

 プロならともかくアマチュアなんだから、別にいいじゃない。


 そう思っていますか?


 断言します。

 それは大きな間違いです。

 作品をエタらせていい理由は存在しません。


 自分がこういった意見を出せば、きっと反論される方もいるでしょう。

 エタった作品も、作家さんの頑張りが形になったものです。それを否定されたくはないでしょう。

 そんな作品を愛した読者さんも、作者さんと作品を擁護したいでしょう。

 その気持ちと行動は正しいと思います。


 矛盾したことを言ってるように感じるでしょう。『エタらせていい理由などない』と言って、エタ擁護を容認するのですから。

 しかし、矛盾はしていないのです。


 その理由を証明するために、まず、よく考えてください。

 反論する場合、どの立場から述べるでしょうか?



 『小説を未決で終わらせていいか?』という質問に対して、アンケートを取ることにしましょう。

 選択肢は四つです。


①賛成

②どちらかといえば賛成

③どちらかといえば反対

④反対


 この中で自分の意見は、明確に『④反対』に入ります。

 そして、その意見に反論するということは、『①賛成』の立場だと思うでしょうか?


 違います。

 反対の反対が賛成です。『④反対』の反対意見が『①賛成』になります。

 『小説を未決で終わらせていいか?』という質問に対して、『未決で終わらせてはならない』という意見の反対が『①賛成』に属する意見になります。

 つまり選択肢を書き換えると、こうなります。


①小説は未決にするべきだと思っている。

②どちらかといえば小説は未決にするべきだと思っている。

③どちらかといえば小説は完結させないとならないと思っている。

④小説は完結させないとならないと思っている。


 『①賛成』の意見は、『小説は完結させてはいけない。未決のまま終わらせるべきだ』という意見なのです。

 本気でそう思っているのであれば、まともな考え方ではありません。プロもアマチュアも、作家が目指している事を、完全否定するのですから。作品を綺麗に完結させようとしているプロにそんな事を言えば、怒鳴られるでしょう。


 『作品をエタらせてはいけない』という意見に対して、反論する場合、それは『完結させるのは難しいから、どうしてもエタってしまうよね』という意見のはずです。選択肢の中では『③どちらかといえば反対』に属する人が、現実問題と照らし合わせた許容精神を見せて、『④反対』に属する人を取り成しているだけのはずなのです。


 自分は作品をエタらせてはいけないと思っています。

 しかし完結させるのは難しく、多くの作者さんがエタるのも、仕方ないとも思っています。

 理想と現実を同時に言っているだけで、矛盾はしてないのです。


 そして現実のマイナス面を許容し続けるのが正しいとは思えません。

 それがクリエイターの本質ですから。

 今まで誰も作っていないもの、作れなかった理想形を作ろうとする姿勢。文章作品としてそれを表すのが小説家の本道だと、自分は思っています。

 こういう事を言うと『自分はクリエイターじゃない』などと言い出す自称・作家志望もいますが、エタとは違う問題なので、ここでは論じません。



 小説に限らずなんであれ、物事を途中で投げ出すことを推奨する人はいません。

 『執筆を投げ出してもいいか?』という問題と、『執筆が投げ出されても許容できるか?』という問題は、別ものです。そこを勘違いして一緒に考えて反論するのは間違いです。

 百歩譲って、その勘違いを読者がしているのは無視できたとしても、作者がするのは論じる以前の大問題です。

 もしもエタったことをなんとも思わずに、このエッセイを見ている作者さんがいれば、すぐさま意識を変えてください。『エタっても問題ない』などと勘違いして『エタった作品をなんとかしよう』と考えるなど、矛盾しています。


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