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救済しようなどと思っていない小説エタり時保健室  作者: 風待月
エタったと思ったら始める認識改革
2/18

エタ。それは凡人作家の限界

【エタるはどういことか?】


 処女作、あるいは初の長編で筆が止まったということは。

 あなたは残念ながら、『天才的な作家の素質』など持っていなかったということです。


 嫌でしょうか? 認められないでしょうか?


 世間には『未完の傑作』というものも存在します。

 だから作品の完結が、必ずしも評価に結びつかないと考えるでしょうか?


 しかし作品の評価は、作家以外の人間が作るものです。

 そして作家当人が、筆が止まった自分の作品を見て、『この作品は未完の傑作として評価されるだろう』と考える人がいるでしょうか?

 もしもいたら、一般的には『世間知らず』『厚顔無恥』と呼ばれるでしょう。



 完結させることより、エンドレスでエピソードを積み重ねることが重要な作品もあります。

 小説よりはマンガの分野ですが、ギネス記録を作るほどの長期連載もあります。


 しかしそういった作品は、一貫した巨大ストーリーを持たずに短いエピソードを積み重ねて、話の前後を入れ替えても読むのに全く困らない――もっと言えば、突然終了しても困らない内容のはずです。

 共通した設定を使った短編連載であって、長編とは異なり、このサイトでエタった作品の多くとは違うはずです。

 それにひとつのテーマや舞台や設定で、長く作品を書き続けることが、優れた作品の条件にはなりません。超大作を書き続ける作者さんの情熱には敬意を抱きますが、長いだけの駄作であれば『早く終わらせろ』というのが、見る側や制作に関わる側の意見です。



 もしも『天才的な作家の素質』があれば、スラスラと素晴らしい物語を作って発表できるはずです。

 しかも、それだけではありません。

 完結できるはずです。


 一般的なシナリオは、完結させなければ良作にすることが不可能です。

 映画などの単発ストーリーを思い出してください。その物語で一番の盛り上がりを見せる部分――クライマックスは、どこにあるでしょう?

 ラストシーンの直前です。

 なのでその場所を一番盛り上げるように、脚本家はシナリオを書きますし、同時にラストがなければ、クライマックスが盛り上がらないことになります。


 クライマックスが他にあってもいい。途中が面白ければいいとお思いでしょうか。

 それはラストに近づくほど物語が盛り下がるということです。クライマックスは『一番面白いところ』なんですから。

 どんなに頑張ったところで、作品の評価は『途中までは面白いけど最後はイマイチ』にしかなりません。



 広げた風呂敷は、畳まなければならないのです。

 そして優れた作家は、上手な風呂敷の畳み方を知っています。


 どのような作品であっても、ご自分の作品をエタらせた以上は、凡人作家です。

 嫌な言葉に聞こえるかもしれませんが、反論の余地がない現実です。

 無限の可能性、と言えば聞こえはいいです。

 しかし現実には、可能性は無限ではないのです。小説を実際に書いてみてエタったことで、その可能性が有限であることを思い知ったわけです。

 何事も続けていれば、壁にぶつかります。万事なにごともなく順調にスマートな人生を送れることができればいいですが、そんなこと現実には不可能です。

 『物語の中くらいは』とそんな成功オンリーの主人公の人生を思い描いた小説作りがエタったのは、その壁にぶち当たっただけのことです。


 それが作者さんの『現状の』限界であることを理解してください。

 これを認めることができなければ、今後一切成長することはありえません。

 作品をエタらせたことが終わりではなく、始まりなのです。

 壁に突き当たっていることを認識できなければ、突破することもできないのです。

 限界は現状のものであって、努力次第で乗り越えることは充分に可能です。

 そして同時に、天才と呼ばれた人も、凡人以下に成り下がることもありうる……どころか、ありふれた話だというも理解してください。


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