熱意が冷めた:中期目標を立てる
【熱意が冷めてエタった場合】
エタった理由がはっきりと自分で熱意が冷めたのだとわかる場合。
これは単純です。
盛り返すのは不可能です。
無理に続けようなんて考えず、『俺たちの戦いはこれからだ!』みたいなエンドででも区切り、連載を終えることです。
読者さんの側からすれば、中途半端で強引な締めくくりに不満を持つでしょう。
でも作者さんの側は、その期待に添えなくなったのです。
誰だって面白いと思えない、興味がないことを続けられるわけありません。
これがプロなら、仕事に対する使命感から続けることも不可能ではないですが、アマチュアが趣味で書いている作品ではまず無理です。
焚き火が消えたところに、いくら薪を追加したところで、再び火が大きくなることはないのです。
でしたら完全鎮火させて、また新たな作品作りに燃えましょう。
以上です。お疲れ様でした。
……これで終わるのも芸がないので、こうなる理屈の分析と、こうなる前の予防策などを考えてみましょう。
書き始めは誰でもテンションが高く、筆が進みます。
ボンヤリと思い描いていたことを、文章にして明確化させる作業が楽しいです。
しかし続けていくと、どうしても進みが鈍くなります。
初心が忘れられ、もの珍しさ、新しさといったものを感じなくなるからです。
学生さんは今現在を、社会人の方は学生時代を思い出してください。
進学し、四月に新たな学校に入学した時には、新たな環境に意欲や不安があったでしょう。
しかし五月六月くらいになれば、『中学(高校)ってこんなものか』と、入学当初の心機一転な気持ちは忘れてしまっているでしょう。そんな気持ちより中間定期試験の準備の方が大切でしょう。
これが二年目、三年目になれば、学校に通うのは慣れきってしまい、生活がルーチンワーク化します。
小説執筆の熱意がなくなるのも、これと同じです。ただ、普通の公立校とは違い、なぁなぁの生活を続けていても卒業はできず、自主退学させられます。
その対抗策は、ふたつです。
ひとつは短期決戦。
中華料理や鍛冶のように、熱意が燃え盛っているうちに、小説を手早く書き終えてしまうこと。
このサイトの利用者の多くは、やっていないやり方でしょうが、大まかに一本のストーリーを書き終えて、修正し、それから投稿することです。
熱意が冷めてしまった時にも、作品は相応の出来で完成してます。
ひとつ問題があるとすれば、長期連載は不可能な方法です。経験則からすると、長くてもせいぜい三ヶ月程度の時間で書き上げられるストーリーにしか使えません。
しかし少なくない作者さんが、100万文字を超えるつもりの長期連載型大冒険小説を、この方法で作ろうしてエタってるはずです。
長期戦を行うつもりなら、その心構えと作り方が必要です。それがもうひとつの対抗策です。
簡単に言えば、中期目標を立てて行動することです。
気に入らないクラスメイトがいて学校が嫌になっても、学年末までだと思えば、なんとか耐えられたりするものです。進級してクラス替えがあれば、入学時ほどの熱意はなくても、心機一転して頑張れたりするものです。
そんな感じでエピソードを重ねていき、大きなシナリオを完結させることです。
もっとわかりやすく言えば、中規模のエピソードを完結させる、『章』や『編』を作ることです。
ただ、ここで注意がひとつ。
章や編で中規模エピソードを作っても、エタることは多々あります。
このサイトで多い、異世界召還型のファンタジーを例に挙げて考えてみますと。
一番最初、現代社会に生きる主人公が、ファンタジー的異世界に召喚されます。
魔王を倒す使命を帯びたり、あるいは見聞を広めるためであったりと、理由は様々でしょうが、最初の国・街から主人公は旅に出るでしょう。
章や編で区切る場合、多くの作者さんは、ここで区切るでしょう。
問題なのは、次です。
エタる作品の多くは、旅の道中を延々と書かれたりしています。
章や編が変わったとしても、中規模エピソードとしては完結しておらず、なにも心機一転していないのが、理解できるでしょうか?
作者さんは必要だと思って書かれたシーンでしょう。その気持ちは理解できます。
しかし不要です。
いきなり別の国・街に話が飛んでも、よほどの事がない限り、困ることはありません。
伏線で道中で誰かと会う必要がある? 街中で会って困ることがありますか?
次の話では地形がカギだから見せる必要がある? 地図や後々見に行くことは不可能ですか?
必要ならば当然、その道中の描写を作成しなければいけません。
しかし残念ながら、少なくない作者さんは、『必要』と思って順序立てた説明のためだけに、不要なことをしています。
城門から旅立った次のシーンが、違う国の宿屋での食事でもいいのです。そこでの会話で、いかに旅路が大変だったか話をすれば、その道中は想像できます。
あるいは見覚えのないお花畑の中に立っていてもいいのです。今度は逆にどういう経緯でそうなったかの説明が、回想形式で必要ですし、飛んだ展開に読者さんも興味を持ちます。
旅の道中を必ず書かなければならない理屈はない。中規模エピソードの完結と、心機一転とは、そういうことです。
3階建ての家を作るのと、平屋の家を3軒建てるのは、違うのです。
この回の内容だと、作者さんという大工は、『平屋の家を3軒』建てているはずなのに、気づかないまま『3階建ての家』を建てているのです。
強度計算通りになるはずありません。資材が余るのはともかく、足りなくなったりもします。
だからエタるのは、イメージできるかと思います。




