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救済しようなどと思っていない小説エタり時保健室  作者: 風待月
エタらないためのブレイクスルー
11/18

熱意が冷めた:中期目標を立てる


【熱意が冷めてエタった場合】


 エタった理由がはっきりと自分で熱意が冷めたのだとわかる場合。


 これは単純です。

 盛り返すのは不可能です。

 無理に続けようなんて考えず、『俺たちの戦いはこれからだ!』みたいなエンドででも区切り、連載を終えることです。


 読者さんの側からすれば、中途半端で強引な締めくくりに不満を持つでしょう。

 でも作者さんの側は、その期待に添えなくなったのです。

 誰だって面白いと思えない、興味がないことを続けられるわけありません。

 これがプロなら、仕事に対する使命感から続けることも不可能ではないですが、アマチュアが趣味で書いている作品ではまず無理です。


 焚き火が消えたところに、いくら薪を追加したところで、再び火が大きくなることはないのです。

 でしたら完全鎮火させて、また新たな作品作りに燃えましょう。

 以上です。お疲れ様でした。



 ……これで終わるのも芸がないので、こうなる理屈の分析と、こうなる前の予防策などを考えてみましょう。


 書き始めは誰でもテンションが高く、筆が進みます。

 ボンヤリと思い描いていたことを、文章にして明確化させる作業が楽しいです。

 しかし続けていくと、どうしても進みが鈍くなります。

 初心が忘れられ、もの珍しさ、新しさといったものを感じなくなるからです。


 学生さんは今現在を、社会人の方は学生時代を思い出してください。

 進学し、四月に新たな学校に入学した時には、新たな環境に意欲や不安があったでしょう。

 しかし五月六月くらいになれば、『中学(高校)ってこんなものか』と、入学当初の心機一転な気持ちは忘れてしまっているでしょう。そんな気持ちより中間定期試験の準備の方が大切でしょう。

 これが二年目、三年目になれば、学校に通うのは慣れきってしまい、生活がルーチンワーク化します。

 小説執筆の熱意がなくなるのも、これと同じです。ただ、普通の公立校とは違い、なぁなぁの生活を続けていても卒業はできず、自主退学させられます。



 その対抗策は、ふたつです。


 ひとつは短期決戦。

 中華料理や鍛冶のように、熱意が燃え盛っているうちに、小説を手早く書き終えてしまうこと。

 このサイトの利用者の多くは、やっていないやり方でしょうが、大まかに一本のストーリーを書き終えて、修正し、それから投稿することです。

 熱意が冷めてしまった時にも、作品は相応の出来で完成してます。


 ひとつ問題があるとすれば、長期連載は不可能な方法です。経験則からすると、長くてもせいぜい三ヶ月程度の時間で書き上げられるストーリーにしか使えません。

 しかし少なくない作者さんが、100万文字を超えるつもりの長期連載型大冒険小説を、この方法で作ろうしてエタってるはずです。



 長期戦を行うつもりなら、その心構えと作り方が必要です。それがもうひとつの対抗策です。

 簡単に言えば、中期目標を立てて行動することです。


 気に入らないクラスメイトがいて学校が嫌になっても、学年末までだと思えば、なんとか耐えられたりするものです。進級してクラス替えがあれば、入学時ほどの熱意はなくても、心機一転して頑張れたりするものです。

 そんな感じでエピソードを重ねていき、大きなシナリオを完結させることです。

 もっとわかりやすく言えば、中規模のエピソードを完結させる、『章』や『編』を作ることです。


 ただ、ここで注意がひとつ。

 章や編で中規模エピソードを作っても、エタることは多々あります。


 このサイトで多い、異世界召還型のファンタジーを例に挙げて考えてみますと。

 一番最初、現代社会に生きる主人公が、ファンタジー的異世界に召喚されます。

 魔王を倒す使命を帯びたり、あるいは見聞を広めるためであったりと、理由は様々でしょうが、最初の国・街から主人公は旅に出るでしょう。

 章や編で区切る場合、多くの作者さんは、ここで区切るでしょう。


 問題なのは、次です。

 エタる作品の多くは、旅の道中を延々と書かれたりしています。

 章や編が変わったとしても、中規模エピソードとしては完結しておらず、なにも心機一転していないのが、理解できるでしょうか?


 作者さんは必要だと思って書かれたシーンでしょう。その気持ちは理解できます。

 しかし不要です。

 いきなり別の国・街に話が飛んでも、よほどの事がない限り、困ることはありません。

 伏線で道中で誰かと会う必要がある? 街中で会って困ることがありますか?

 次の話では地形がカギだから見せる必要がある? 地図や後々見に行くことは不可能ですか?

 必要ならば当然、その道中の描写を作成しなければいけません。

 しかし残念ながら、少なくない作者さんは、『必要』と思って順序立てた説明のためだけに、不要なことをしています。


 城門から旅立った次のシーンが、違う国の宿屋での食事でもいいのです。そこでの会話で、いかに旅路が大変だったか話をすれば、その道中は想像できます。

 あるいは見覚えのないお花畑の中に立っていてもいいのです。今度は逆にどういう経緯でそうなったかの説明が、回想形式で必要ですし、飛んだ展開に読者さんも興味を持ちます。

 旅の道中を必ず書かなければならない理屈はない。中規模エピソードの完結と、心機一転とは、そういうことです。


 3階建ての家を作るのと、平屋の家を3軒建てるのは、違うのです。

 この回の内容だと、作者さんという大工は、『平屋の家を3軒』建てているはずなのに、気づかないまま『3階建ての家』を建てているのです。

 強度計算通りになるはずありません。資材が余るのはともかく、足りなくなったりもします。

 だからエタるのは、イメージできるかと思います。


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