第四話
「礼二から伝言。いつも通りに俺たちにジュースを買ってくる事。それと」
昭成が、キッと細い目を吊り上げた。
「昨日のふざけた茶髪野郎の居場所を教えろ。以上だ」
茶髪野郎。
明らかに、それは龍樹の事だ。
仲間を集めて報復でもする気なのだろうか?
でも龍樹は、もう消えてしまっている。
例えいたとしても、不良仲間を何人集めたって勝てる相手ではない。
「あいつ、お前の知り合いなんだろ?!」
何と答えればいいのか迷うが、偶然通りかかっただけだと言うしかなかった。
「黙ってたら、わかんねーんだよ!」
返事をする前に、昭成に左の頬を殴られた。
「ぐえっ」
更に、誠に腹を蹴られる。
裕平が口元に手を当てて床に這う。
今、さっき食べたパンを戻しそうになった。
「きゃあっ!」
コーヒーのペットボトルを抱えた美寿々が、小さな悲鳴を上げる。
昭成と誠が一斉に振り向き、ぞっとした。
誠は、楽しそうに美寿々をマジマジと見ている。
「おいおい、まさかお前、彼女できたんじゃねーよな?」
「ち……、違う! その人は関係ない!」
思い切り否定をしても無駄だった。
二人は、新しいおもちゃを与えられた子供のように口元を歪ませる。
「こりゃー、礼二に報告しないとな」
不適な笑みを浮かべる昭成をぎりっと睨む。
自分のせいで、美寿々が不良たちに絡まれるなんて、絶対に嫌だった。
「だから、関係ないって言ってるだろ!!」
思わず、声を荒げてしまう。
いつもと違う強い口調に、一瞬、昭成と誠がたじろいだ。
「お前、礼二がいないからって、俺たちにそんな態度とっていいと思ってんのか?」
昭成が祐平の胸倉を掴んだ。
また、殴られる。と、思わず目を瞑る。
「止めて下さい!」
この光景を見て、泣き出すかと思ったのに、美寿々は負けていなかった。
大人しそうな顔をきりっと引き締め、昭成と誠を睨んでいる。
「なんだぁ。やっぱり、彼女かぁ?」
昭成がいやらしい目つきで、ニタリと美寿々を流し見た。
「可愛い子の前で、情けない姿を晒してカワイそうに、入野くん」
誠が、手のひらにパンパンと拳を当てた。