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Electric World  作者: 静野月
学校
16/31

第一話

いつも通り目を覚ますと、ベッドの下ではゴロンと龍樹が横になっていた。

ベッドで寝るなんて仕様がなかったため、どこでもいいそうだ。

龍樹も祐平が寝ている時は同じように寝てるようで、同時に目を覚ます。


就寝前は、もしかしたら全部が夢で朝起きたら龍樹はいないかもしれないと思っていたのだが、やはり夢ではなかったらしい。


もしくは、今も長い夢を見続けているのか?

今が、現実だと判断する術を祐平は知らない。


祐平は居間のテレビを点けた。

あれから、家の近所で悲鳴は聞いていない。

でも、もしも【Electric World】のモンスターやキャラクターがどんどん現れていたとしたら、世界中がパニックになっているはずだ。


「……全然、ニュースになってないね」


画面に映っているのは、いつものニュースキャスターで、朝特有の清清しい笑顔を振りまきながら、今週の映画興行ランキングを発表していた。

バチバチとチャンネルを変える。

だが、どの番組もスポーツ関係やくだらない芸能人のゴシップニュースばかり流していて、EWに関係がありそうなニュースなどやっていない。

新聞は取っていないので分からないが、パソコンで調べても、これといってモンスターが暴れているという記事は見当たらなかった。


「まだ現れていないか、これから現れるのか……って、とこだろ?」


「そうなのかな。でも、できればもう会いたくないや」


龍樹は食事を取らないので、一人だけトーストをかじり制服に着替える。

少し汚れていたが、クリーニングに出す時間もない。



「ねえ、学校にいる間、どうするの?」

「んー、考えたんだが、屋上にでも行って隠れてるよ」



確かに、授業中なら誰もこない。

しかも、真上なら十メートルの範囲内だ。


それでも、色々無理はある。

祐平は生身の体なのでトイレにだって行くし、体育や化学などは教室を移動する。

その全部の移動に龍樹が合わせて動くなど不可能に近い。



「やっぱり……学校行くの止めようかな」


学校の生徒達に龍樹を見られたら大問題だ。

まったく説明が付かないし、EWをプレイしている人がいたら、それはそれでもっと問題だ。


「んじゃ、俺と巡回行かねぇ?」


「巡回って……」


龍樹は【Electric World】の世界で巡回好きだった。

落ち着きがないと、よくギルドの連中に笑われたものだ。


「祐平だって気になるだろ? この世界がどうなっちまったのか」


「そりゃー、気にはなるよ。でも、例え世界がおかしくなってても僕らに何ができるっていうのさ。もちろんメカ・ドッグ一匹くらいなら簡単に倒せるよ。でもレイドや高レベルのパーティ狩場モンスターが現れたらいくら龍樹でもソロじゃ無理だ」


祐平の言うことも一理はあった。

龍樹も分かっている。

本当に、EWのモンスターが暴れだしたとしたら、一人ではどうすることもできない。


「せめてナスカでもいないかなー」


ナスカはこういう場合、一番頼りになりそうなギルメンだ。

だが、プライベートの情報を一切公開していない祐平は、ナスカの年齢どころか、どこに住んでいるのも知らない。

他のメンバーは、携帯電話の番号やアドレスを交換したりしているらしいが、誰一人聞いていなかった。


「とにかく、龍樹がEWの世界に戻ればいいんだ」


祐平がボソっと呟く。

一緒にいられるのも嬉しいが、変な気持ちだ。

それに、こんなことで悩むくらいなら、ネットゲームをやっていたかった。



「世界がピンチの時にネトゲーねぇ」


そのネットワークゲームのキャラのくせに龍樹の反応は冷ややかだ。


「仕方ないだろ! 僕は、現実の世界が好きじゃないんだ」

「だからって、いつまでも閉じこもっているわけにはいかないだろが!」


本当に……これは僕? と龍樹を見上げる。

そりゃあ、ゲームの中では人望あるリーダーとしてやってきた。

面倒見もよく慕われていたが、ここまで自分が考えられるだろうかと疑問が出てくる。


まるで、もう別人格が中に入っているかのようだ。

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