第一話
MMORPGシリーズ第二弾です。
前作品(MMORPG -ダルシオン-)とは、まったく別物ですが、オンラインゲームを通して主人公達の成長というテーマで書いております。
ダルシオンは恋愛色の強い作品ですが(ちなみに電子書籍で売ってたりします……)、Electric Worldはもっと少年向けにな感じに……。
最後まで書き抜きますので、どうぞお付き合いよろしくお願い致します。<(_ _)>
制限時間は一時間。
時間内に倒さないと、討伐は失敗だ。
敵は、目の前に鎮座する巨大な怪物、ベヒモス。
頭部は象に似ており体は硬質の鱗で覆われている、グループ討伐用レイドモンスターである。
今回集まったメンバーは、百人ちょい。
『シトロン』のメンバーが三十五人で、後は声をかけた友好ギルドの面々だ。
パーティ編成は、完璧だった。
近接攻撃型パーティ、遠距離攻撃型パーティ、それぞれ職別けをして回復役も十分にいる。
「龍樹、全員配置に付いた。いつでも開始できるぞ」
ナスカの声にコクリと頷く。
俺は両拳に装着した【ドラゴンナックル】にエレクトリックパワーを充電した。
ビリビリと体が振るえ、頭上から稲妻が降りてくる。
ドカーンという雷鳴と共に、俺の体が黄金色に輝いた。
「FAいくぞ! ビッグ・サンダー・アタック!!」
掛け声と共に、ナックルから黄金の光が溢れ出す。
ベヒモスに向かって拳を叩きつけ、戦闘が開始された。
一パーティが五人。
それが、二十一グループある。
ナックルを装備しているファイター、チェーンソーを装備しているクラッシャー、ヨーヨーを装備しているトリックスターは前衛と呼ばれる近接攻撃型。
銃を構えているシューターは遠距離攻撃型。
鞭を装備しているトルーパーは後方支援型の職だ。
俺のFAの後、一斉攻撃が始まった。
巨大な怪物のHPが、一ミリづつ削られていく。
ビッグ・サンダー・アタックは【英雄】だけが使用できる特化スキルだ。
だが待機時間が二時間と長いので、もう使えない。
でも、始めに大ダメージを食らわせるのには大きな意味合いがあった。
これで俺への敵対値が固定される。
「ダブル・パンチ! ヘル・ブリッツ! スクリュー・アタック!」
スキルの三コンボでエネルギーが、がたっと減る。
「フル・チャージ!!」
後方支援から、エネルギーの充電が行われた。
出し惜しみすることなく、スキルを連発する。
ベヒモスが頭を高く上げ、両足を上げて鼻を上に持ち上げた。
「くるぞ!」
ナスカの緊迫した声。
これはベヒモスが最大攻撃スキルを発動する時の体勢である。
「ゲルウウウウウウウウウウウウウウウッ!」
地の底から沸きあがるような咆哮と共に、全員エネルギーを半分ほど吸われた。
「ギャウウウウウウウウウウウウウウウウ!」
「レインストームがくるぞ! 各自、回復アイテム使って!」
ナスカが張り叫んだ。
討伐隊に、暴風雨が襲い掛かる。
トルーパーの回復スキルだけでは間に合わないので、俺も充電器を使った。
「おい、ヤバイぞ!」
誰かが叫んだ。
「ギャウウウウウウウウウウウウウウウウ!」
二度目の咆哮に、全員が凍りついた。
「こんな……連続で発動させるのか?!」
俺はドラゴンナックルに、再びチャージを始めた。
「ミスティックガード!!」
もう一つの【英雄】スキルを発動する。
討伐隊の体が金色の粒子に包まれる。
「す、スゲー!俺、初めて見た」
「俺もだ。おいおい、ダメージがほとんど通ってないぞ」
沸き立つギルメン達を横目に見ながら、次の指示を送った。
「このままガンガン行くぞ! トルーパーの充電が切れる前に止めの一斉攻撃だ!」
「おう!」
「いくぜー!!」
ベヒモスの体力が減っていく。
そして……討伐が終了した。