↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

あんぎゅうさん

作者: 石丸淳也
掲載日:2026/09/19

いつもの仲良しのメンバー3人で集まって、遊んでいた時に、ゆうちゃんが、こんな提案をした。

「ねえ、あそこの神社行ってみん?」

あそことは、地元では結構有名な神社で、昔、罪人の首を切った刀を祀ってあるのだ…

みんなも怖い物見たさで、行くことに決定した。

自転車で移動しながら、皆で、色々、あんな風なんだろう、こんな風なんだろう、祟られるかもなあ…とか話してるうちに神社に到着。

お目当ての刀は小さな祠に祀ってあり、立ち入り禁止の柵を乗り越えて、祠を開けた…

中には錆びついた刀が一振り。

正直、こんなもんかあと拍子抜けして、全員帰路についた。

夏休みが終わり学校で再開したゆうちゃんから、妙な相談を受けた。

毎日、自分にだけ鬼が視えると言うのだ。

気のせいだよと慰めたが、なんだか心に引っかかった…

3日後、ゆうちゃんは、窓ガラスに頭からぶつかり、そして首が落ちて亡くなった…

葬儀の時に、一緒に神社に行った、たけちゃんから同じ事を聞いた。「最近、鬼が視えるんだ…」

次の日、たけちゃんは交通事故で亡くなった。

首は切断されていた…

たけちゃんの葬儀が終わり、家に戻った時、部屋の隅にこちらを視ている鬼がいた。

ニヤニヤと笑いながらこちらを視ている。

怖くて怖くて、親に話したが、相手にされなかった。ただ祖母だけが真剣に話しを聞いてくれた。

祖母は話しを聞き終わった後に、「大丈夫だから、大丈夫だから」と抱きしめてくれた。

祖母は次の日からいなくなり、僕は体調も悪くなり、学校を休み続けた。

鬼はニヤニヤ笑いながら、少しずつ近づいてくる。もう、ダメだ…と諦めかけたその時、突然、鬼の表情が怒りに変わった。

窓の外を凄い形相で睨んでいる。

外から鈴の音が聞こえてくる。

玄関が開く音がして、誰かが2階に上がってくる。

ドアが開くと、がっしりとした体格のお坊さんが立っていた。部屋に入るなり、鬼の方を一瞥した。

鬼は睨みつけながら、消えていった…

お坊さんは、側に座ると、「ワシが側にいるから、安心して寝なさい」と笑いながら頭をなでてくれた。

全身が暖かい空気に包まれて、眠りに落ちた。

目が覚めると、お坊さんは座禅を組んでいた。

私が目を覚ましたのに気付くと、「何があったか話してみなさい」と言われ、今までの事を全部話した。

全てを聞いた後に、「えらいことしたなあ…」と言われ涙が出てきた…

「だが、命を取るほどではない」と抱きしめてくれた。

次の日、例の神社に向かったお坊さんは、鬼と話し合い七日七晩飲まず食わずでお経をあげる事ができれば許してもらえる約束を取り付け、その約束をやりきった。

家に戻ってきたお坊さんは、「もう大丈夫だから」と言い、二度と罰当たりな事をしないように言われた。

両親が謝礼を渡そうとしても、決して受け取らないので困っていると、祖母が大きな握り飯を3つ持ってくるとニッコリ笑いながら、それは受け取ってくれた。

祖母は私の話しを聞いた後、すぐに有名なお寺に行き、「孫を助けて下さい」とお願いしたが、門前払いをくらった。

祖母は、そのまま座りこんだそうである。

雨が降ってきて土砂降りになっても座り続けて、そのまま気を失ってしまった。

気が付くと、住職の部屋で寝かされており、しばらくすると住職が部屋に入ってきた。

「話しを聞きましょう」と言われ、祖母の話しを黙って聞いていた住職は、「あんぎゅうを行かせますから安心して下さい、明日の朝イチで向かわせます」といった経緯を話してくれた。

あれから、私は心霊スポットには近づかないし、目に見えない存在も信じるようになった。

そして今も、あんぎゅうさんが、どこかで私のように、自分の力ではどうしようもなくなった人を命がけで助けている事を思うと手を合わさずにはいられない。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。