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下人と少年

下人が少年に会ったあとのお話となっています。

結構改変している。

下人の気持ちは私にもよくわからん。

理解できなくても頑張って!!

 下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中に蹲まっている人間を見た。

檜皮色の着物を着た、背の低い、痩せた女顔の少年である。

その少年は、右の手に火を灯した松の木片を持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。

髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。


 下人は、あまりの神秘さに暫くの間呼吸をするのさえ忘れて見入っていた。

少年は、松の木片を、床板の間に片手でゆっくり挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に小さくしなやかな両手をかけると、お花を摘むように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。


 その髪の毛が、少年の細いしなやかな手によって一本ずつ抜けるのにしたがって、この少年に対する激しいとある感情が、少しずつ沸いてきた。

男にはそれがどんな感情かわからなかったが、少年の床に挿した松の木片のように、勢いよく燃え上り出していたのである。


 下人には、勿論、何故少年が死人の髪の毛を抜くのかわからなかった。

従って直感的に、それを美しいと思った。

しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くという事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。

勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいたことなど、とうに忘れていたのである。


 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。

そうして聖柄の太刀に手をかけながら、大股で少年の前へ歩みよった。

少年が驚いたのは言うまでもない。


 少年は、一目下人を見ると、まるで弩にでも弾じかれたように、飛び上った。

「おのれ、どこへ行く。」

 

 下人は、少年が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行く手を塞いで、こう罵した。

少年は、それでも下人をつきのけて行こうとする。

下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。

二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。

しかし勝敗は、はじめからわかっている。

下人はとうとう、少年の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。

女人のような白くて今にも折れそうな細い腕である。


「何をしていた。言え。言わぬと、これだぞよ。」


 下人は、少年をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼をその眼の前へつきつけた。

けれども、少年は黙っている。

両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球をまぶたの外に出そうになるほど、見開いて、執拗黙っている。

これを見ると、下人は始めて明白にこの少年の生死が、全然、自分の意志に支配されているという事を意識した。

そうしてこの意識は男を興奮させた。

そこで、下人は、少年を見下しながら、気持ちを抑えつけ、少し声を柔らげてこう言った。


「己は警察などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄をかけて、どうしようというような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をしていたのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」


 すると、少年は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその下人の顔を見守った。

肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。

それから、唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏が動いているのが見える。

その時、その喉から、鴉の啼くような声が、喘ぎ喘ぎ、下人の耳へ伝わって来た。

「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うた。」


 下人は、少年の答えが存外、平凡なのことにただただ可愛いと思った。

すると、その気色が、先方へも間違って伝わったのだろう。

少年は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ちながら、つぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を言った。


「成程な、死人の髪の毛を抜くという事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。だが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、われが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸ばかりずつに切って干したのを、干魚だと言うて、太刀帯の陣へ売りに行ったわ。疫病にかかって死ななかったら、今でも売りに行っていた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと言って、太刀帯どもが、欠かさずおかずのように買っていたそうな。われは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのだって、仕方がなくした事であろ。されば、今また、われのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするとて、仕方がない事じゃないの。だから、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」


 少年は、大体こんな意味の事を言った。


 下人は、自分のすることを正当化しようと頑張っている少年をただただ愛おしく思ってこの話を聞いていた。

しかし、これを聞いているうちに、下人の心には、ある勇気が生まれてきた。

それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この少年を捕えた時の勇気とは、全然、反対の方向に動こうとする勇気である。

下人は、饑死するか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。

その時のこの男の心持ちからしてみれば、饑死や盗人などという事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。

「きっと、そうか。」


 少年の話が終わると、下人は嘲るような声で念を押した。

そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をニキビから離して、少年の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう言った。


「では、己が何をしようと恨むまいな。己もそうしなければいけない体なのだ。」


 下人の忍耐が限界に達した。下人は、すばやく、少年の着物を剥ぎとった。それから、少年を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。


{18禁、SMありのため省略。各自で妄想してね♡}


なんやかんやあったあと__

 しばらく死んだように倒れていた少年は身を起こし、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。


 下人の行方は、誰も知らない。


よくわからん部分が多いのにもかかわらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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