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第八話

私の目の前に立ちふさがる巨大な怪物は、地面を揺るがすほどの足音を立てながら迫ってきた。体中から触手が生えており、その目は赤く輝いている。まるで、異世界の悪夢から抜け出したかのような恐ろしい存在だった。


「来い!」


私は心の中で時間を止める決意を固め、その力を全開にした。だが、時間停止の力を使おうとした瞬間、何かが私を引き止めるように感じた。空間の中に漂う重たい魔力が、私の力を抑え込もうとしているのだ。


「これは…?」


私は驚きとともに、次第にその力に圧倒されていく自分を感じた。時間を止める力が効かない…いや、効きにくいのだ。試練の場所において、私の力も制限されているのか?


怪物は無情に私に向かってその巨大な触手を伸ばし、空間を裂くような音を立てた。私は一瞬の判断で体を反転させ、その攻撃をかわす。しかし、その一瞬の隙間にも怪物の触手が私を狙ってきた。


「くっ…!」


私は飛びのきながらも、時間停止の力を何とか使おうとした。その時、再び異常な重圧を感じ、力を使うことができなかった。


「ここで力を使えないのか…?」


その疑問が頭をよぎった。しかし、今は試練を乗り越えるために冷静さを保たなければならない。時間停止が効かない今、私はどう戦うべきかを考える必要があった。


その時、アリアの言葉が思い出された。「この試練には力だけでは乗り越えられない。心の準備が必要だ」と。


私は深呼吸をし、冷静さを取り戻すように努めた。この試練は、単に力を振るう場ではない。心の強さ、そして判断力が試される場なのだ。


「来い!お前を倒して、私は進む!」


私はその言葉と共に、再び怪物に向かって突進した。触手が私を捕まえようと伸びてくるが、今度はその動きに焦らず、冷静にその隙間を見極めて身をかわした。私は一歩ずつ、怪物に近づいていった。


怪物が再び触手を振り上げたその瞬間、私はそれを瞬時に回避し、間髪入れずに前に飛び込んだ。私は怪物の目の前に立ち、息を整える。


「これで、終わりだ!」


私はその時、改めて思い出した。力ではなく、冷静な判断と強い意志で戦うべきだということを。


その一瞬の隙を見逃さず、私は自分の全力を込めて怪物の目を睨みつけた。


その時、空間が震え、怪物の体が揺れ始めた。目の前の怪物は、一瞬にして消え去り、代わりに広がっていたのは深い闇の中に浮かび上がる扉だった。


「試練を乗り越えた者には、次の道が開かれる。」


その声が再び響くとともに、扉の先に新たな世界が広がり始めた。


私はその扉を見つめながら、静かに歩み寄った。


「試練を乗り越えた…?」


扉をくぐる前に、私はその言葉の意味を反芻していた。怪物との戦いを経て、私は何かを学んだような気がした。力だけではなく、冷静な判断と心の強さが試される場所だった。そして、私はその試練を乗り越えたのだ。


扉の向こうには、さらに強力な力が待ち受けているのだろう。しかし、私はもう一度強くなれると信じていた。


「行こう。」


私は扉をくぐり、次なる試練へと足を踏み入れた。

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