タイトル未定2025/03/19 20:40
魔物との戦いを終えた私たちは、ようやく息をつくことができた。力を使い切り、体力も限界に達していたが、心は以前よりも確かに強くなっていた。あの戦いを乗り越えたことで、私たちは一歩前進したのだと感じていた。
「なんとか、勝ったんだね。」
アレンが息を整えながら呟く。その顔には、安堵と疲れが交じった表情が浮かんでいた。エリスも肩を上下させながら、力なく笑っていた。
「でも…次の試練が待っているんだよね?」
私はその言葉にうなずきながら、周囲を見渡す。霧が晴れ、先程までの戦いの場が静まり返っていた。だが、静けさの中にもどこか不安を感じさせるものがあった。
「次の試練は、もっと厳しいものになるかもしれない。」
エリスが慎重に言葉を選んで続ける。彼女も、私たちがこれから直面するであろう試練に不安を感じているのだろう。それでも、私はその不安を振り払うように胸を張った。
「どんな試練でも、私たちなら乗り越えられる。」
私は強く言った。その言葉に、アレンとエリスも頷き、再び気を引き締める。
「それに、これからの試練には私たちが成長するための鍵が隠されているんだ。」
アレンがそう言って、私を励ましてくれた。その言葉が私の心に響き、さらに覚悟を深めることができた。
その時、再び紫のローブの人物が現れた。彼は静かに私たちを見守りながら、言葉を発する。
「次の試練は、力だけでは乗り越えられない。」
その言葉に、私は驚きと共に疑問を抱いた。これまで、私たちの力が試練を乗り越えるための鍵だと思っていた。しかし、紫のローブの人物は、力だけでは足りないと言っている。
「では、何が必要なのですか?」
私はその問いを口にした。彼はしばらく沈黙した後、答えた。
「次の試練は、心の強さを試すものだ。」
その言葉に、私は思わず息を呑んだ。心の強さ…? それは、どういう意味なのか。
「心の強さ?」
エリスが不安げに呟く。私も同様に、その試練の内容が見当もつかない。
「試練の中で、あなたたちは最も大切なものを失うかもしれない。」
その言葉は、私たちに重くのしかかった。大切なものを失う…? それが何を意味するのか、私はまだ理解できていなかった。
「失うことで、あなたたちは何を得るのか。それを試す試練だ。」
紫のローブの人物がその言葉を続けると、私は心の中で不安が広がるのを感じた。失うものがあるということは、それだけ大きな代償を払うことになるということだ。
「どんな試練でも、私は乗り越える。」
私は強く心に誓った。それでも、心の中に湧き上がる不安を完全に消し去ることはできなかった。これから待ち受ける試練が、どれほど過酷なものになるのか、それを想像するだけで心がざわつく。
「次の試練…」
アレンが短く呟いた。彼もまた、不安を感じていることは間違いない。しかし、私たちには選択肢がない。進むしかないのだ。
「もう後戻りはできない。」
エリスが冷静に言った。その言葉に、私たちは改めて覚悟を決めた。
「行こう。」
私はそう言い、歩みを進める。周囲の風が再び強く吹き始め、霧が立ち込める中で、私たちは次の試練に向かって進み出した。
試練の先に待つものが何であれ、私たちはそれを乗り越える覚悟を持っていた。大切なものを失うことがあっても、それを乗り越えることこそが、私たちの成長に繋がると信じて。
霧が濃くなり、視界がほとんど見えなくなったその時、突然、目の前に光が現れる。それは、次の試練の入り口を示す光だった。
「来た…」
アレンがその光を見つめ、息を呑んだ。
「これが、次の試練だ。」
私はその光に向かって歩みを進める。どんな試練が待っていても、私たちは進むしかない。