タイトル未定2025/03/19 20:35
儀式の準備を再び整えることに決めた私たちは、今まで以上に慎重に、冷静に行動しようとしていた。紫のローブの人物の言葉が、頭から離れなかった。
「力を使う時、お前たちの心がどうあるべきかを見極めろ。心が揺れ動いている時に力を使うと、必ず暴走する。」
その言葉を胸に、私は深く息を吐いて準備を始めた。アレンとエリスも、静かにそれぞれの役割を果たしている。祭具を整え、必要な材料を一つ一つ確認していく。私たちの心は、以前よりもずっと落ち着いていた。
「今回は、必ず上手くいく。」
私は自分に言い聞かせるように呟く。心を乱すことなく、力を制御する。それが私たちの未来を決めるのだ。
「準備は整ったな。」
アレンが私たちを見渡し、確認するように言った。私はうなずいて、エリスも力強く頷く。
「大丈夫、やるしかないわ。」
「そうだな。」
そして、私たちは一斉に儀式を始めた。空気が張り詰める。力を使うための儀式は、言葉通りのものではなかった。毎回、新たな感覚に包まれる。しかし、今回は違った。私たちの心は迷いなく、力を使うことを決めていた。
「力を制御するために、この儀式を行う…。」
私が言葉を続けると、アレンとエリスもそれに続いた。静かながら、強い意志がその言葉に込められている。それが、儀式の中で力を引き寄せていくような感覚を生んだ。
しかし、突然、私たちの周りの空間が歪んだ。
「またか…」
エリスが声を上げる。私は目の前の光景に驚きながらも、冷静に心を保とうとする。紫のローブの人物が再び現れたのだ。今回は、彼の姿がいつもよりも重く、真剣だった。
「お前たちは、力を使う準備ができたようだな。」
その言葉に、私たちは立ち止まった。彼の目は私たちをじっと見つめており、何かを試すような表情を浮かべている。私は思わず息を飲んだ。紫のローブの人物が言いたいことは、すぐには分からない。
「でも、お前たちが力を使う時、その覚悟が足りていないのではないか?」
その言葉に、私たちは驚きと共に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
「覚悟?」
アレンが問い返すと、紫のローブの人物は、ゆっくりと頷いた。
「力を制御するためには、ただ冷静でいれば良いというわけではない。覚悟を決めて、どんな結果が待ち受けていようとも、受け入れる覚悟が必要だ。お前たちは、その覚悟を持てるのか?」
その問いに、私は答えを出せずにいた。心の中で迷いが湧き上がってきたのだ。力を使うことが、どんなに危険で、怖いことかを知っている。もし失敗したら、どうなってしまうのだろう? 力が暴走したら、私はどうすればいい?
でも、他に方法がない。私たちが力を使わなければ、世界は壊れてしまう。そんな覚悟を決めるべきだと、心の奥底で感じていた。
「私たちは、覚悟を決めて進むしかない。」
私は、自分の心に言い聞かせるように言った。その言葉に、アレンとエリスは驚きながらも、すぐに頷いてくれた。
「覚悟…そうだな。俺たちは、怖くても進むべきだ。」
「それが、私たちの選ぶべき道よ。」
エリスもそう言って、目を見開く。私たちの心が一つになった瞬間だった。
紫のローブの人物は、しばらく黙って私たちを見つめていたが、やがて静かに言った。
「覚悟を持って進むべきだ。だが、もしその覚悟を試す時が来たとしても、引き返すことはできない。そのことを忘れるな。」
その言葉に、私たちはすぐに答えることができなかった。確かに、覚悟を決めるということは、引き返せないということだ。しかし、私たちの進むべき道は、もう他にないと感じていた。
「私たちは、もう後戻りできない。」
アレンがつぶやいたその言葉が、私たちの決意を固めた。
紫のローブの人物は、静かにうなずいて姿を消すと、再び儀式を行う準備が整ったことを私たちに告げる。
「これが最後だ。今度こそ、力を制御するための儀式を完了させる。」
私たちは力を制御するための儀式を再開した。その先に待っている未来がどうなるのかは分からない。しかし、私たちはその力を使いこなし、世界を守る覚悟を持って進むしかないのだ。