タイトル未定2025/03/19 20:30
紫のローブの人物が去った後、私たちはただ黙って立ち尽くしていた。言葉にできない重圧が、私たちの心を押し潰すようだった。
「私たち…本当に、こんな選択をしなければならないのか?」
アレンが小さな声で呟く。その言葉に、私もエリスも反応できなかった。私たちが持っている力が、こんなにも世界を危うくしているとは思わなかった。私はこれまで何度も、自分の力で戦ってきた。しかし、今やその力が世界を破壊する可能性を孕んでいるという現実を、受け入れなければならない。
「私たちがやってきたことは、間違っていたのか?」
エリスの声が震えていた。彼女の目には、涙が光っていた。彼女もまた、この選択を迫られていることに深く苦しんでいるのだろう。
「でも、どうすれば…?」
私は心の中で問い続ける。私たちの力を封じることが、世界を救う唯一の方法だと言われても、そんなことをしたら、私たちの存在そのものが意味を失ってしまうのではないか。私たちが持っている力、それは、私たちの命そのものだった。
「封じる方法を探すのは、難しいだろうな。」
アレンが呟く。彼は深く息を吐き、肩を落とした。力を封じるという選択肢が、どれほど辛いものであるかは、誰もが分かっている。しかし、それでも選ばなければならないのだろうか?
「それに、力を封じたところで、私たちが本当に幸せになれるのかも分からない。」
私はその言葉に、深く頷いた。確かに、力を封じることで、この世界を守ることができるのかもしれない。しかし、それによって私たちは何を失うのだろうか。力を持たずに生きることが、私たちにとって幸せなのだろうか?
「でも…」
エリスが静かに言う。
「もし私たちが力を使い続けて、世界が崩れていったら、それは許されることじゃない。」
その言葉に、私は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。エリスの言う通りだ。もし私たちの力が世界を壊すことになったら、その責任は私たちにある。そして、どんなに悔いても、戻すことはできないのだ。
「それでも、私たちは選ばなければならないんだよね。」
アレンが呟くと、エリスと私は黙って頷いた。私たちには、この世界を守るために、何らかの決断を下さなければならない。それがどんなに辛い選択であっても、他に道はないのだ。
「でも、封じるって言われても、どうやって…?」
私が尋ねると、アレンは少し考えてから答えた。
「おそらく、あの人物が言っていたように、力を封じるためには特別な儀式が必要なんだろうな。でも、私たちにその方法が分からない限り、どうしようもない。」
その言葉に、私たちは再び沈黙した。どうしてこんなにも無力なのだろうか。私たちは、この力を持ったことで、逆に足枷になってしまったのだろうか。
「それに…」
私はもう一度口を開いた。
「力を封じたところで、それで本当に終わりなのかな? もし私たちが力を失っても、別の問題がまた出てくるんじゃないかと思う。」
アレンがうなずく。
「その通りだ。何もかもが終わるわけじゃない。力を封じても、世界の問題は残るかもしれない。私たちが何かを守るために戦うことは、これからも必要だ。」
その言葉に、私は少しだけ心が軽くなった。封じることが唯一の答えではないのかもしれない。でも、それでも私たちができることは限られている。自分たちの力がどこまで役立つのか、それを試さなければならない。
「でも…私たちは、世界を守りたい。」
私はゆっくりと口を開いた。その言葉に、アレンとエリスは黙って頷く。
「だからこそ、私たちがどうするべきかを決めなきゃ。」
アレンが力強く言うと、エリスも深くうなずいた。私たちが抱えている問題は、解決できるかもしれない。それには、きっと何か方法があるはずだ。
「私たちは、世界を守るために何かをする。力を使う方法を見つける。それが、今私たちができる最善の道だと思う。」
その言葉が、私たちの心に決意をもたらした。力を使うことが世界を壊す原因になるなら、私たちはその力をどう使うかを見極めなければならない。それが、今私たちにできる唯一の選択肢だ。
「さあ、行こう。」
アレンが顔を上げて言う。その言葉に、私たちは頷き、再び歩き出すことに決めた。私たちの力をどう使うか。それを見つけるために、進むべき道を探しながら、歩き続けるのだ。