表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/120

第四話

時間を止めたまま、私は部屋の中で意識を集中させていた。強い意志と、感情の波動を極限まで高める。自分の願望を心の底から信じ、異世界へ戻り、魔王を倒すことを強く望む。


「異世界に戻る…そして魔王を倒す…!」


私はその思いを繰り返し、心の中で声を張り上げるように呟いた。急激に体温が上がり、血が騒ぐのを感じる。その瞬間、まるで大きな波が体を包み込むような感覚が走った。


そして、何かが弾けるように感じた。


「これだ!」


目を閉じ、強く願った。心の中で異世界に戻ること、そしてその世界で魔王を倒すことを強く求めながら、私は時間を止めたままその波動を全身で感じた。何かが、私の周りに集まってきている。


「異世界…来い!」


その一言とともに、突然、目の前が真っ白に輝いた。


「え…?」


目を開けると、周囲の景色が一変していた。私の目の前には、広大な草原が広がり、遠くには見知らぬ城がそびえ立っている。空は異世界らしい色合いをしており、風が心地よく頬を撫でる。


「異世界…!本当に、戻ったんだ!」


驚きと興奮が一気に押し寄せる。心の中でずっと願っていた場所に、ついに戻ることができた。私は周囲を見渡し、すぐにその足を踏み出した。


「さて、今回は何をしようかな?」


私は自分の姿を確認するため、手近な湖に映る水面を見た。そこには、以前のように美少女の姿が映し出されていた。まるで夢の続きのようだ。服装も、異世界の貴族らしいドレスに身を包んでいる。


「うん、やっぱりこの姿、いい感じ!」


私は少し鏡のような水面に映った自分を眺めながら、心の中で次にするべきことを考えた。


「まずは、この世界で自分の力を試してみよう。魔王を倒すには、まずその力を自分の意志でコントロールできるようにしなきゃ。」


その思いを胸に、私は歩き出した。周囲の景色を見ながら、自分の足取りを確かめる。どこに行けばいいのか、何をすべきかが分からないけれど、この世界で勇者にならなければならない。


その時、視界の端に何かが動いた。私の目の前に、一人の騎士が現れた。


「おや、姫様。こんなところでお一人でいらっしゃるとは。」


その声に振り向くと、そこには金色の鎧を身にまとった騎士が立っていた。顔は見えないが、彼の姿からは力強さと高貴なオーラが感じられる。


「姫様、王城に戻られるお時間では…?」


彼が少し困惑した様子で言う。だが、私はその問いに答えず、じっと彼を見つめた。


「そうね。戻らなきゃいけないのはわかるけど、まずはあなたにちょっとしたお願いがあるわ。」


騎士が私を見つめている。その目が一瞬、私の言葉を待つように静止した。私はその瞬間、時間を止めることを決意した。


「時間を止めて…」


無意識のうちにその言葉を口にした瞬間、全てが静まり返る。騎士の体も、まるで石像のように動かなくなった。


「これで、自分の意志で力を使えた。」


私は騎士の前に立ち、その鎧の隙間を見つけて手を伸ばす。時間が止まっているから、彼が反応することはない。ただ、私はその体を少しずつ調べながら、興奮した気持ちを隠せない。


「やっぱり、この力は楽しい…!」


そのまま、私は何度も何度も、時間を止めて動かして遊んだ。時間が止まっている間に、私は騎士の鎧を少しずつ変えていったり、動かしてみたり、彼が目を覚ましたときにどんな表情をするか想像しながら楽しんでいた。


やがて、時間が動き出す。騎士の体が再び動き始める。


「ひ、姫様…!? いったい、どうされました?」


彼の顔には驚きが浮かんでいる。だが、私はその反応に満足し、にっこりと微笑んだ。


「何もしてないわ。ちょっとした遊びよ。」


その後、私は騎士に何事もなかったように王城へと導かれた。しかし、その心の中で私は確信していた。この異世界では、私は思い通りにすべてを操ることができる。そして、次に待っているのは、もっと大きな冒険、もっと自由な世界だ。


「この世界で、私は魔王を倒す勇者になれるのだろうか?」


心の中で新たな目標を定め、私は歩みを進める。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ