表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/120

第三話

スマホの画面に表示された「強い意志」や「願望が鍵となる」という言葉に、私はすぐに心を奮い立たせた。異世界に戻るためには、何か特別な力が必要なのだ。けれど、それが具体的にどのように実現するのかは、まだわからない。


「強い意志…強い願望…」


私は部屋をぐるぐる歩きながら、頭をフル回転させた。夢の中であんなに自由に動き回ったことが忘れられない。時間停止の力で、王宮内で好き放題していたあの楽しさをもう一度味わいたいという気持ちが、私の中でどんどん膨らんでいく。


「でも、それだけじゃダメなんだよね…もっと強い願望が必要なんだ。」


そのとき、ふと気づく。あの異世界で私は、美少女の姿で一度も自分の力を試すことなく過ごしてしまった。あれは一種の冒険だったけれど、本当に自分がその力を試し、活かすためにはもっと深い動機が必要だ。


「強い願望が必要なら…」


そのとき、私の中でひらめきが生まれた。私には、ただ「異世界に戻りたい」というだけでは物足りない。それに加えて、強い目的があればいいのではないだろうか?


「そうだ!異世界というば...魔王! 私は魔王を倒しに行くんだ」


目を閉じ、心の中でその思いを強くした。時間停止の力を使い、異世界で好き放題してきた自分を思い出す。美少女になった自分を思い浮かべ、その姿で何をするべきかを考えた。


「異世界で、この力を使って…魔王を倒したい!」


私の中で、確かな「目的」が生まれた。力を持ち、魔王を倒すこと。それが、私がこの力を使う目的だ。


「それなら、きっと戻れるはず!」


強く決意を固め、心の中でその願望を何度も繰り返した。その瞬間、何かが弾けるような感覚が走った。


そして、再び周囲の時間が止まった。これが、私の願望が通じた証拠だ。


「やった…!本当に時間が止まってる!」


興奮しながら、私は周囲を見渡した。静止した世界の中で、私は改めてその力の凄さを実感していた。手を伸ばして、窓の外に見える景色を無理やり引き寄せてみたり、部屋の中を歩き回って思い通りに動かしたり。全てが私の思い通りだ。


「でも、これじゃダメだよね。」


時間を止めるだけでは、異世界に戻る方法にはならない。もっと、何か特別な方法が必要だ。私は再びスマホを手に取り、異世界転移についての情報を必死に調べ始めた。


すると、もう一つ気になる記事が目に入った。


「異世界転移には、強い感情の波動が関係している。怒り、喜び、悲しみなどの極端な感情が、異世界への扉を開く鍵となる。」


その瞬間、私は何かがひらめいた。異世界に戻るためには、ただの願望では足りない。もっと感情を高ぶらせ、その力を利用することで、異世界への扉が開かれるのでは?


「感情…極端な感情を…」


その時、私は思い出した。夢の中で感じたあの興奮。王宮での自由、時間停止の力、あれらを存分に楽しんでいたあの瞬間、私の中にあふれる感情がきっと鍵になる。


「じゃあ、次は…」


私は決意した。今度は、ただ「戻りたい」だけでなく、「異世界で魔王を倒す!」という強い目的を持ちながら、感情を極限まで高めて、その力を解放する。


「いくぞ!」


その思いを胸に、再び時間を止め、次に起こすべき行動を決める。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ