タイトル未定2025/03/19 20:17
私たちが新たな扉を開けると、そこには無限に広がる空間が広がっていた。どこまでも続く暗闇の中に、ぼんやりとした光が漂っているだけで、その先が見えない。まるで無限の迷宮に足を踏み入れたような感覚に陥る。
「ここが、最終試練の場所…?」
エリスが呟き、周囲を見回した。その目には警戒心がにじみ出ていたが、同時に確信を持ったような決意も感じられる。アレンも同じように、空間の中に何か異常を感じ取っているようだった。
「どうする?進むしかないだろうけど、何かが待っている気がする。」
アレンが静かに言った。彼の声には、何か不安を抱えつつも進むべき道を選ぼうとする強い意思が込められていた。
「この空間、何かおかしいわね…」
私はしばらく黙って周囲を見回していたが、答えが出ずに口を開いた。「でも、進むしかない。もう後戻りはできない。」
私たちは再び歩き始めた。その足音は静かで、まるで誰かに聞かれているような気がした。しかし、周囲に誰かがいるわけではない。今までの試練のように、空間が私たちを試すような静寂が続いていた。
やがて、遠くの方にぼんやりと人影が見えた。それは人間のような形をしていたが、何かが違った。その姿が徐々に近づいてくると、私たちはその正体に気づいた。それは、以前試練で見た女性だった。
「お前たちが進んできた道の先にあるのは、ただの虚無だ。」
女性は冷たく言った。その声に含まれる力は、今まで私たちが感じてきたものとは異なり、どこか哀しみを感じさせるものであった。
「虚無…?」
エリスが問いかける。女性は無言で頷き、そしてその目が私たちを一人ずつ見据えた。
「お前たちが進んできた道は、全てが無に帰する運命だった。お前たちが求めている力、絆、それらはすべて虚構に過ぎない。」
その言葉に、私は思わず息を呑んだ。今までの試練、仲間たちと乗り越えてきた数々の困難、すべてが無に帰すというのか?
「そんな…そんなことはない!」
私はその言葉を否定するように叫んだ。アレンもエリスも、私の言葉に反応して立ち上がった。
「私たちの絆は、決して虚構じゃない!どんなに試練を乗り越えても、それが無意味だなんてあり得ない!」
「そうだ!俺たちは信じているんだ、お前が言うような虚無には負けない!」
アレンが力強く叫び、エリスもその言葉に賛同するように頷いた。その瞬間、周囲の空間が揺れ、女性の姿が歪んでいく。
「お前たちの言葉は虚しさの中に響くだけだ。だが、これが最後の試練。お前たちはその試練を超えることができるか?」
女性の姿が消え、代わりに目の前に現れたのは、無数の扉だった。すべての扉が異なる色をしており、どれを選んでも最終試練に進むことができるようだった。
「これが、私たちの最後の選択か?」
私はその扉を見つめながら、心の中で考えた。それぞれの扉が、私たちに何をもたらすのか。だが、迷うことなく、私は一番奥に見える扉を選んだ。
「ここしかない。私たちの進むべき道は、これだ!」
私はその扉を開けると、そこには新たな空間が広がっていた。そこに広がっていたのは、壮大な光景だった。無限に広がる星空が広がり、その中に浮かぶ巨大な石のようなものが見えた。それは、まるで試練を受けた者だけがたどり着ける神聖な場所のように感じられた。
「これが…試練の最終地点?」
エリスが感嘆の声を漏らす。アレンもその景色に圧倒されていた。しかし、すぐにその視線は鋭くなり、何かを察したように周囲を見渡した。
「気をつけろ。ここはただの美しい景色じゃない、何かが待っている。」
その言葉が終わると同時に、空間の中に現れたのは、あの女性だった。だが、今度はその姿が完全に変わっていた。彼女の体から放たれる力は、あまりにも強大で、私たちにとっては到底立ち向かうことができないものに感じられた。
「最終試練の本当の姿は、これだ。」
女性は冷ややかな笑みを浮かべ、その目は私たちを見透かすように注がれていた。