タイトル未定2025/03/19 19:30
私たちは、破滅の神殿へ向かうための長い旅路を始めた。その道のりは、誰もが知っているわけでも、誰もが踏み入れたことのない未知の世界だった。エリスは、神殿へ向かう道に精通しているようだったが、彼女の顔にはこれまでにない深刻な表情が浮かんでいた。
「破滅の神殿は、ただの神殿ではない。そこに足を踏み入れる者には、必ず試練が待ち受ける。それに、神殿自体が生きているかのように、常に変化している場所だ。だから、覚悟を決めておくように。」
エリスの言葉に、私たちは一層緊張感を高めた。試練が待ち受けることは分かっているが、実際にその場所に向かうとなると、やはり不安が募る。私たちが一番恐れるのは、アザリウスの復活だけではなく、この神殿に潜む、想像を超えた恐ろしい力だった。
道中、風景は次第に荒れ果てていった。木々は倒れ、岩々は崩れ、空は常に曇っている。周囲には異様な静寂が漂い、何かが私たちを見守っているような不安を感じさせた。
「なんだか…嫌な感じがする。」
アレンが呟くと、私も頷いた。恐ろしい予感がする。だが、今更引き返すことはできない。
「みんな、気をつけろ。」
エリスが低い声で警告した。その瞬間、突然、周囲の空気が一変した。土が揺れ、空気が重くなり、そして…遠くから不気味な音が響いてきた。
「これは…!」
アレンが駆け出そうとした瞬間、地面が割れ、巨大な影が現れた。それは、まるで生きているような、蠢く影だった。私たちの前に立ちふさがったそれは、異形の生物で、目を開けた瞬間、私たちの心に直接語りかけてきた。
「ここから先は、誰も通さぬ。」
その声は、耳の中に直接響くようで、冷たい感触を伴っていた。影は目を光らせながら、私たちをじっと見つめている。
「私たちが通る必要があるんだ! 邪魔はさせない!」
アレンが力強く叫び、剣を抜いた。その瞬間、影が動き出し、素早くアレンに襲いかかってきた。私はすぐに時間停止の能力を発動しようとしたが、再び感じるあの圧倒的な力が、私の能力を封じ込めていた。
「また…か。」
エリスが冷静に呟くと、杖を構えて、反撃の準備を始めた。
「この影は、試練の一部だ。倒す必要がある。私が足止めするから、みんなは後ろに下がって。」
エリスの言葉に、私たちは一瞬立ち止まったが、すぐにそれを受け入れ、後退した。エリスは冷徹に杖を掲げ、力を込める。
「光の神殿に仕える者よ、闇を払え!」
その声と共に、エリスの杖から強烈な光が放たれた。光は影を貫き、数瞬のうちに影は一時的に後退した。しかし、それだけでは終わらなかった。
「愚かな者ども。私を退けたところで、試練は続く。」
影の中から、さらに多くの異形の存在が現れた。それらは、無数の触手を持つ怪物や、目が無数に散らばった顔を持つ化け物だった。それぞれが異様な形をしていて、その姿を見るだけで胸が締め付けられるような恐怖を感じた。
「一体…どうしてこんなに多く…!」
アレンが呆然としながらも、戦う準備をしているが、次々と現れる敵に、私たちの力ではどうしようもないと感じていた。
「これは…試練だと言っても、どうにもならない!」
私はつぶやきながら、時間停止を再度試みる。だが、依然としてその力は封じられていた。私は焦りを感じながら、周囲の状況を見渡した。
「エリス…!」
私は叫んだ。エリスはその言葉を聞いて、しばらく黙っていたが、すぐに冷静に目を閉じた。
「私がやるべきことはわかっている。」
その瞬間、エリスの体から放たれる光が、全ての試練を前にした私たちを包み込んだ。エリスは何かを発動させ、全身から光を放って、周囲の異形の存在を打ち砕き始めた。
「光の力よ、邪を断ち切れ。」
その声と共に、光の波動が周囲の闇を払った。しかし、まだ完全にすべてを倒したわけではない。光と闇の戦いが繰り広げられる中で、私たちは再び一歩踏み出さなければならない。
「行こう、みんな。これが試練だ。必ず乗り越える。」
エリスの言葉に、私たちは再び力を合わせ、歩みを進めた。
試練の中で、私たちは強くなり、そして絆を深めていく。しかし、破滅の神殿への道は、まだまだ続いていた。