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タイトル未定2025/03/19 19:29

「どうやら、これで本当に終わったわけではなさそうだ。」


エリスの言葉が、戦いの終息を一瞬で引き戻した。アザリウスの姿が消え、周囲の闇が晴れたように思えたが、私たちの心の中には晴れない雲が残っていた。あの強大な力がまだどこかに潜んでいる、そんな予感がぬぐえなかった。


「エリス、本当にアザリウスは倒せたのか? 彼はあんなに強かったんだぞ…」


アレンの声には不安が混じっていた。彼も私と同じく、完全に勝ったとは思えなかったのだろう。


「倒したわけではない。ただ、少しの間、力を封じたに過ぎない。」


エリスは冷静に答え、空を見上げた。その目には、どこか遠くを見据えるような、深い思索が込められていた。


「彼は…時間をかけて、また戻ってくるだろう。だが、それまでに私たちがすべきことがある。」


その言葉に、私たちは言葉を失った。戦いが終わったわけではないことは明白だった。そして、エリスの「すべきこと」が何なのか、私たちは気になった。


「すべきこと…それは?」


アレンが尋ねると、エリスはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。


「アザリウスが手に入れようとしていたもの、それは単なる力だけではない。彼は、この世界の根本を揺るがすような存在を狙っている。私たちの力では、それを完全に阻止することは難しい。」


その言葉に、私はすぐにその「存在」が何であるのかを想像した。何度も戦ってきたアザリウスの目的は、単に支配することだけではなかった。彼の背後にある巨大な力、それがこの世界を支配し、あるいは崩壊させる原因になると感じた。


「それを止めるためには、どうすればいいんだ?」


私は思わず口にした。エリスは短く息をつき、深く沈んだ表情で答えた。


「それを止める方法がわからない。だが、一つだけ確かなことがある。」


彼女は私たちを見つめ、その言葉を続けた。


「私たちは、彼がその力を手に入れる前に、先にその力を奪う必要がある。そのためには、アザリウスが狙っている場所に向かうしかない。」


「その場所って、どこだ?」


アレンがさらに問うと、エリスはゆっくりと歩き出しながら、答えた。


「それは…『破滅の神殿』だ。」


その言葉が私たちの耳に響いたとき、すべてが一気に繋がったような気がした。破滅の神殿、それは伝説の中に登場する、世界の根本を揺るがす力が封じられている場所だと言われていた。しかし、それが実在するというのは、ほとんどの者が信じていなかった。


「破滅の神殿? そんな場所が本当にあるのか?」


私は思わず声を上げた。エリスは淡々と続ける。


「ある。だが、そこに辿り着くには数々の試練を乗り越えなければならない。試練を突破するためには、私たちの力を結集し、全てを懸けなければならない。」


その言葉を聞いた私たちは、一瞬で覚悟を決めた。アザリウスとの戦いもそうだが、この先の試練はさらに厳しくなることは明白だった。それでも、私たちは逃げるわけにはいかない。


「エリス、俺たちは一緒に行く。どんな試練が待っていようと、君を信じてついていくよ。」


アレンが力強く言った。その言葉に、私は心を動かされ、しっかりと彼に応える。


「私たちも、絶対に君と一緒に戦うよ。」


エリスはその言葉に、わずかに微笑んで見せた。そして、再び険しい顔をして言った。


「ありがとう。しかし、あなたたちも覚悟を持っておいて。破滅の神殿に向かう途中で、数多くの試練と危険が待ち受けている。それを乗り越えなければ、そこにはたどり着けない。」


その言葉に、私たちの決意は一層固くなった。試練が待ち受けていることを理解している。しかし、私たちは一歩ずつ進むしかない。


「私たちには、もう引き返す道などない。前へ進むしかないんだ。」


私は自分自身に言い聞かせるように、そう呟いた。周囲の空気が変わり、再び静寂に包まれる中、私たちは一歩ずつその先へと進んでいった。


そして、破滅の神殿への道が、私たちを試すように立ちはだかる。新たなる試練と向き合うために。


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